企業向け展開がいよいよ本格化――マイクロソフトがWindows 8 アプリ検証ラボ設置

日本マイクロソフトはWindows 8端末の法人向け導入を支援する「Windows 8アプリ検証ラボ」の設置を発表した。ラボは2013年3月まで設置する。

» 2012年11月30日 12時00分 公開
[原田美穂,@IT]

 2012年11月29日、日本マイクロソフトはWindows 8端末の法人向け導入を支援する「Windows 8アプリ検証ラボ」の設置を発表した。ラボは2013年3月まで設置する。

 ラボはWindows 8タブレット端末向けの業務アプリケーションを開発するSI企業や開発パートナーを対象に、Windows 8端末提供パートナー企業から提供された法人向けWindows 8 ProおよびWindows RT搭載端末や開発環境、ネットワーク接続環境を提供するというものだ。Active DirectoryやSharePoint、Lyncなどのサーバもオンプレミス環境で提供する。検証期間は1社あたり1〜4日を想定している。

 日本マイクロソフトでは2013年3月までに40プロジェクトの開発支援を行うことを目標としている。検証ラボの利用申し込みは同社Webサイトで行える。

米マイクロソフト Windowsビジネスグループ Windows Commercial担当シニアディレクター アーウィン・ヴィッサー氏

 会見では、米マイクロソフト Windowsビジネスグループ Windows Commercial担当シニアディレクター アーウィン・ヴィッサー氏も登壇、Windows 8搭載端末の法人利用における優位性を説明した。

 Windows 8では、アプリケーションが「アプリコンテナー」と呼ばれる閉じた環境で動作する。古いWindowsアプリケーションでは、アプリケーションのインストールによって、共通ライブラリのバージョン変更が発生したり、アンインストール後も関連ライブラリがマシン上に残されるといった面倒な事態が少なくなかった。これらは場合によってはパフォーマンスやセキュリティ上のリスクとなる問題だった。

 Windows 8のアーキテクチャではアプリケーションコンテナーによって個々のアプリケーションの独立性を高め、インストール/アンインストールによる不具合を解消している。また、Windows 8のアプリケーション開発向けライブラリでは省電力化を目指したチューニングも行われているとう。さらに開発環境としては、既存の.NET Frameworkを使ったC#による実装に慣れている開発者だけでなく、HTML5などのWeb標準の環境にも対応することから、開発言語学習のハードルが低い点も利点だとしている。

 マイクロソフトはPC向けOSの他にエンタープライズ向けアプリケーションやサーバOSを持っている。Active Directoryによるユーザー管理の統合や、各アプリケーションの機能呼び出しなどで効率よい開発が可能となる。

 デモではPOSシステムと連動したアプリケーションが示された。ERP製品であるMicrosoft Dynamicsをバックエンドとし、インターフェイスをタブレット型のWindows 8端末とするものだ。デパートなどの店舗内で接客をしながら、POSの情報から在庫の状況を確認してアナウンスできる仕掛けになっている。

 Windows To Goテクノロジについての言及もあった。USBブートによるセキュアな社内環境へのアクセスを実現するもの。通常のUSBブートOSとの違いは、「Trusted Boot」を実装していることだ。信頼のおけるドライバのみを暗号化してダウンロードしなければブートしない。これによりRootkitなどの介入を防ぐという。

 一方、ARMチップ搭載タブレット向けのOSであるWindows RTは、現段階でActive Directoryに対応していない。これについてヴィッサー氏は「Windows RTはモビリティとユーザー体験を重視してリリースしたもの。今後の展開について現段階ではコメントしない」とした。

日本マイクロソフト業務執行役員 Windows本部 本部長 藤本恭史氏

 また、Windows 7の導入中という企業がまだ少なくない状況でのWindows 8の法人展開について、日本マイクロソフト業務執行役員 Windows本部 本部長 藤本恭史氏は、「7と8ではアプリケーションの互換性もある。7移行中であっても、例えばWindows To Goテクノロジの併用などが可能だ。利用者の利便性を高めるためにも部分的にでもWindows 8を試してみてほしい」とコメントした。

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