VMwareとEMCが新組織「Pivotal Initiative」を設立。PaaSとビッグデータに焦点

EMCとVMwareは、GreenplumやvFabric、Cloud Foundryなどのプロダクトを横断し、ビッグデータ市場を狙った新組織を立ち上げた。

» 2012年12月06日 15時45分 公開
[新野淳一,Publickey]

 VMwareとその親会社のEMCは、クラウドの開発プラットフォームとビッグデータに焦点を当てた新組織「Pivotal Initiative」を発表しました。新組織の責任者は、先日VMware CEOを退任しEMCのチーフ戦略オフィサーに就任していたポール・マリッツ氏が就任します。

 Pivotal Initiativeは、VMwareとEMCから以下のチームを集めて組織されます。

  • EMCでデータウェアハウス向けデータベースやを提供している「Greenplum」
  • EMCが2012年3月に買収した開発コンサルタント「Pivotal Labs」
  • VMwareでミドルウェアを提供する「Spring Source」および「vFabric」
  • VMwareのオープンソースのPaaS基盤「Cloud Foundry」
  • VMwareの分析ツール「Cetas」

 EMCから600人、VMwareからは800人の従業員が集まるとのことです。

VMwareとEMCの狙いは、クラウドのソフトウェア分野でのリーダーシップ

 なぜ、VMwareとEMCはこのような新組織を作ったのでしょうか? 新組織を説明したブログで以下のように書かれています。

We are experiencing a major change in the wide scale move to cloud computing, which includes both infrastructural transformation and transformation of how applications will be built and used based on cloud, mobility and big data.

 私たちはクラウドコンピュータへの大規模な移行という大きな変化を経験しています。これには、インフラストラクチャーが変わるとともに、クラウドやモバイルやビッグデータにおいてアプリケーションの開発のされ方、利用のされ方の変化も含まれています。

There is a significant opportunity for both VMware and EMC to provide thought and technology leadership, not only at the infrastructure level, but across the rapidly growing and fast-moving application development and big data markets. Aligning these resources is the best way for the combined companies to leverage this transformational period, and drive more quickly towards the rising opportunities.

 ここに、インフラレベルにとどまらず、急速に成長するアプリケーション開発やビッグデータ分野におけるVMwareとEMCのテクノロジーリーダーシップにとって大きな機会があると考えます。両者のこうした分野に沿った組織を組み合わせることで、この変化の時代を加速し、その機会をさらに押し広げていくことができると考えています。

 VMwareは仮想化市場においてハイパーバイザと管理ツールのトップベンダとなりました。これはクラウドのソフトウェアインフラに当たりますし、一方のEMCもストレージというハードウェアのインフラ分野で一定のシェアを持っています。

 そしてこの両社は、インフラに続いてミドルウェアやソフトウェア分野においても、クラウドの変革の中でトップの企業となるべく、今回の新しい組織を作り上げたわけです。

 もちろんそこには巨大な競合がいます。既存のミドルウェアや開発ツールの分野、ビッグデータなど分散データベースの分野には、IBM、オラクル、マイクロソフトという超巨大なベンダが待ち構えていますし、クラウド上のソフトウェアについてもグーグル、Amazonなどは既に非常に大きな投資を何年も続けてきています。

 EMCとVMwareがばらばらにこの分野に投資していては、とても強力な競合に勝つことはできない。そう考えて両社は共同で新組織に取り組むことにしたのでしょう。ポール・マリッツ氏のVMware CEO退任も、もしかしたらこのことをあらかじめ織り込んでのことだったのかもしれません。

(本記事はPublickeyから許可を得て転載しています。転載元

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。