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» 2012年12月07日 18時00分 UPDATE

安藤幸央のランダウン(63):世界的に使われている履歴書的ソーシャルサービス16選

Web上には履歴書的意味を持つサービスが多く台頭している。それらを効果的に活用するのも 就職活動には有効だ。厳選して紹介しよう

[安藤幸央(yukio-ando@exa-corp.co.jp),エクサ]

「継続」という説得力

 一匹狼として、困難なプロジェクトを点々と渡り歩くプログラマもいれば、新卒で大きな企業に就職し、その中で大規模なプロジェクトにかかわりながらコツコツとキャリアと経験を積み上げていくプログラマなど、さまざまな職種/職歴があるでしょう。

 皆さんが最後に「履歴書」を書いたのは、いつのことでしょうか? 就職活動のときにしか書いたことない? 先日転職の際に慌てて書いた? どちらにしろ、いざ履歴書を書くとなると、面倒なものです。

 いざ転職しようと思ったときに、職歴がまとまっていないだけではなく、転職を一切考えていないような人でも積み重ねてきた仕事や、新しく身に付けた技術などを常々更新していくのは、地味ではありますが大切な事柄です。

 過去の仕事履歴や、自分の得意分野、経験をまとめておくと、これからの仕事の幅を広げたり、面白い仕事依頼が舞い込んでくるきっかけ作りに大いに役立ちます。

 最近、特にWeb関連、インターネット関連の職種では、旧来の手書きの紙の履歴書という形態に加えて、オンライン上の履歴書的な情報も重用視されるようになってきました。

 例えば、技術系のブログを何年もコツコツと書き込んできた積み重ねは、2日3日の付け焼き刃のブログには太刀打ちできない「継続」という説得力があります。それに、「技術職であれば技術さえ詳しければ良い」というものではなく、「きちんと論理立てて分かりやすい説明をコツコツと書く」という説明する力を培うには、ブログは最適なメディアだと考えられます。

世界的に使われている履歴書的意味を持つWebサービス16選

 また、ブログに限らず、オンライン上には、数々の履歴書的意味を持つソーシャルネットワーク系のサービスが台頭しており、それらを効果的に活用するのも良い手です。ここからは、世界的に使われているサービスをいくつか紹介しましょう。

【1】職歴専用のソーシャルネットワーク「LinkedIn」

 誰もが、週末にビール飲んでバカ騒ぎしていた様子が載っているFacebookを、就職先の面接官に見て欲しくはないでしょう。誰か有能な人を探している場合、人に紹介してもらうのが一番信頼のある方法であることを皆実感していると思います。その信頼のある紹介をネットワーク上で実現しているのがLinkedInです。

ando1.jpg LinkedInの使用例

 LinkedInでは、仲間がその人の個別のスキルを確認し、信頼証明してくれるrecommendationの仕組みがある点も信頼できるところです。最近メニューなどが日本語化され、より使いやすくなりました。

【2】LinkedInのユーザースキルをまとめる「Kinzaa」

 Kinzaaは、LinkedInの登録データを活用して、データ表記中心のユーザースキルをまとめあげることのできるサービスです。

ando2.jpg Kinzaa

 細かなスキルが見やすいグラフ化され、多岐にわたった長年の経験がある人ほど、見栄えのする重厚なページが作れることでしょう。

【3】LinkedInの登録情報を美しいインフォグラフィックに「cvgram.me」

 cvgram.meは、細かなデザイン選択をしながら、LinkedInの登録情報を美しいインフォグラフィックに変換してくれるサービスです。デザインを選択できるのですが、あまりカスタマイズ性は高くありません。

ando3.jpg cvgram.meの使用例

【4】定番HTML履歴書生成サービス「JobSpice」

 JobSpiceはWebページに載せることのできる履歴書を、体裁を整えたきれいなHTML/CSSレイアウトの履歴書を制作してくれるサービスです。数種類のデザインから選び、必要事項を埋めていくだけで作成できます。

ando5.jpg JobSpiceの使用例

 また、生成されたHTML/CSSに自分で手を入れて、さらにこだわりを持った履歴書を作るようなこともできます。LinkedInに登録されている自身のプロファイル情報を取り込んでJobSpiceで活用することもできます。

【5】ビジュアルな履歴書作成サービス「Vizualize.Me」

 Vizualize.Meは、今までのキャリアを美しいインフォグラフィックで示してくれるサービスです。ユーザーがLinkedInに登録してある履歴情報を元に、視覚的に書き直してくれます。

ando6.jpg Vizualize.Meの使用例

 どの時代にどんな仕事をしていたのか、自分の仕事の歴史をビジュアル的に振り返る意味でも有益なサービスかもしれません。

【6】テンプレート豊富なプロフィールページ「Re.vu」

 Re.vuは、各種テンプレートからデザインを選択したうえで簡単にプロフィールページを制作できるサービスです。LinkedInから情報を取り込んで作成できます。

ando7.jpg Re.vu

 顔写真中心のレイアウトデザインは、職歴というよりも自分を売り込みたいときに功を奏するかもしれません。

【7】研究者、学生対応オンライン履歴書サービス「VisualCV」

 VisualCVは写真や動画、データを活用したビジュアル的な履歴書を制作できるサービスです。それも、1種類だけではなく、見せる目的別に何種類も用意しておくこともできます。

ando8.jpg Re.VisualCV

 インフォグラフィックとは違い、いわゆるマジメな履歴書が作れるサービスです。

【8】企業ニーズに合わせた履歴書サービス「HireArt」

 HireArtはテスト形式の履歴書作成サービスです。履歴書に書き込むスキルが本当にあるのかチェックしたうえで、履歴書が作成されます。

ando10.jpg Re.HireArt

 要求される課題は、プログラミング技術を計るようなものではなく、応募者側の企業が出した課題に対する素材を用意しなければいけません。いわゆるオンラインの面接に近いようなものです。

【9】メンバー間の評価ありプロフィール「Zerply」

 Zerplyはプロフィールページのデザインのカスタマイズ性が高く、FacebookやTwitterなどのソーシャルネットのアカウント紹介も見栄え良く、分かりやすく見せることができます。

ando11.jpg Zerplyの使用例

 生真面目で実用一辺倒なLinkedInに比べ、Zerplyはフロントエンドのプログラマ、IT系のライター、デザイナ系の人に好まれて利用されているようです。またメンバー間の評価も指針となっています。

【10】スキル宣伝コミュニティ「Geekli.st」

 Geekli.stはプログラマ、エンジニアが自分のスキルを宣伝することのできるコミュニティです。

 開発者たちは自分の実績や自慢などを「カード」と呼ばれる経歴が記述されたものを用意し、お互いにそれらを参照したり、探したりして、コミュニケーションをきっかけに人材を探したり、職を探したりできるサービスです。

ando9.jpg Geekli.stの使用例

 また、JavaScript、HTML5、iOS、Androidとカテゴリごとに分類されているのも特徴です。それぞれのカテゴリを細かく見ていくと、「俺はこんな便利なライブラリを作っている!」「こんなカンファレンスで発表したぜ!」「○○の開発ならお手伝いできます!」と積極的に得意な事柄がアピールされています。

【11】スキル有無のテストサイト「Smarterer」

 Smartererは各種スキルをスコアリングし、能力テスト込みでアピールできるサービスです。1分の間に専門的な質問10問に回答することで、ある分野への知見があるかどうかを素早く検定し、その分野の「バッジ」をもらえます。

ando15.jpg Smartererの使用例

 簡単なテストで判別できることは限られますが、スキルに関する全くのうそつきを排除する意味では有効に機能しそうです。

【12】プロフィールページ作成サービス「About.me」

 About.meは、デザインに凝ったプロフィールページを作れるサービスです。記載できる情報はそれほど多くなく、各種ソーシャルネットワーク/SNSアカウントのリンクや、簡単なプロフィール、自身の写真など、名刺代わりに使えるものです。

ando4.jpg About.meの使用例

 良い写真さえあれば、フォントやレイアウトを選び、自動的に雰囲気のあるプロフィールページが手軽に作れるのが良いところです。

 また、about.meで作成したページは各人オリジナルのURLが与えられるため、いくつものアカウントやメールアドレスを伝えることなく、About.meにまとめることもできます。

【13】ソーシャルアカウントひとまとめ「flavors.me」

 flavors.meはオンラインで注文できる小さな名刺サービスとして知られる「moo」が買収したサービスです。手軽に自分のソーシャルネットワークサービスのアカウントをまとめて紹介できます。とても短時間でセットアップできるのも売り文句になっています。

ando12.jpg flavors.me

 追加で年20ドルのプレミアムサービスも用意されており、プレミアムでは、独自ドメイン名の利用や、連絡フォームの設置が可能です。

 これからは、日本の典型的なビジネス慣習である名刺交換と、オンラインのプロフィールが、うまく連携していくのかもしれません。若干、翻訳が直訳風で堅苦しい感じがしますが、日本語に対応しているのも便利な点です。

【14】自分ポータルサイト「clapps.me」

 clapps.meは自分の情報をポータルサイト風にひとまとめにして公開することのできるサービスです。アクセス解析の機能も付いており、カスタマイズの自由度も高いのが特徴です。

ando16.jpg clapps.meの使用例

【15】プレゼン共有サイト「SlideShare」

 SlideShareは、履歴書とは関係なく、プレゼンテーション資料を共有するためのサービスです。

ando13.jpg SlideShare

 履歴書とは直接の関係はないのですが、今までにどのようなプレゼンテーションをしてきて、どの分野に詳しいのかをアピールできます。講演依頼や執筆依頼のきっかけになることもあるでしょう。

【16】ソースコードアーカイブサイト「GitHub」の活用法

 GitHubはオープンソース界での活躍をアピールする場としてもソースコードに限らず、技術ドキュメントや、翻訳ドキュメントの置き場としても活用されています。

 GitHubでの活躍の度合いも、ブログと同様に数日で急に作り出せるものではありませんので、コツコツと地道に活動してきたことが評価されます。関わったプロジェクトが多いほど、また関わったプロジェクトの種類によって、得意分野を知ってもらうことができます。

 GitHubの開発者の活躍の度合いを可視化する「Coderwall」というサービスもあり、GitHubにおける活動が重要視されてきているのが分かります。同様に、技術系質問サイトStackOverflowでの活躍も、評価される傾向にあります。

ando14.jpg Coderwallのチーム別ランキング

オンライン時代の履歴書的テクニック

 紙の履歴書でも、オンラインの履歴書でも同じく必要な事柄も存在します。成果や実績を数字で示すのも大切で「○○を頑張った」だけなら、夏休みの課題でしかありません。

 何がいったいどれくらいできて、どれくらいのプロジェクトでどんな経験を積んできたのか? 「Javaができます」といっても、サーバサイドのJavaなのか、携帯電話向けアプリが得意なのか分かりません。

 何年ぐらい使ってきていて、今の最新環境も使えるのか? どのようなプロジェクトでどのような立場で活用したのか? 細かいことまでアピールできて、初めてスキルセットとして生かせるのです。

 海外の技術系カンファレンスに参加すると、常に自分の履歴書とポートフォリオ(仕事履歴を記載した作品集のようなもの)を持ち歩き、気になった人や企業に渡している人も多く、単に名刺だけではなく、常に自分をアピールする材料を用意していることに感心する次第です。

 中には、履歴書風の情報を目立つよう印刷したTシャツを着ているくらいアピールの度合いが強い人もいるくらいです。

 一方で、オンラインサービスの履歴書的活用は、長所だけではなく、プライバシー的な配慮や守秘義務にも気を付けなければいけません。リリース前の極秘プロジェクトなどに関わった場合は守秘義務契約などによって、一般にアピールできないことを留意しておきましょう。

一方、日本では

 日本の大手企業では、まだまだオンラインの履歴書を重視する度合いは低いかもしれませんが、IT系のベンチャー企業であれば、LinkedInやGitHubのアカウントだけで入社希望登録ができるといった先進的な企業も出始めています。

 何とでも書ける紙の履歴書だけではなく、オンラインの履歴書も適切に評価され、本来の意味での「履歴」として活用されていくことでしょう。

 ここで紹介した各種サービスは、最近日本語対応したLinkedIn以外は、主に英語圏のものですが、日本でも、「wantedly」「iddy」「Forkwell」といった便利なプロフィール登録サービスも広がりつつあります。ぜひ皆さんもお気に入りのサービスを見つけて活用していってください(参照:ギーク向けLinkedIn!? 「Forkwell」はどんなサービス?)。


 次回記事は、2013年2月初めごろに公開の予定です。内容は未定ですが、読者の皆さんの興味を引き、役立つ記事にする予定です。何か取り上げてほしい内容などリクエストがありましたら、編集部や@ITのFacebookページまでお知らせください。次回もどうぞよろしく。

プロフィール

安藤幸央(あんどう ゆきお)

1970年北海道生まれ。現在、株式会社エクサ マルチメディアソリューションセンター所属。フォトリアリスティック3次元コンピュータグラフィックス、リアルタイムグラフィックスやネットワークを利用した各種開発業務に携わる。コンピュータ自動彩色システムや3次元イメージ検索システム大規模データ可視化システム、リアルタイムCG投影システム、建築業界、エンターテインメント向け3次元CGソフトの開発、インターネットベースのコンピュータグラフィックスシステムなどを手掛ける。また、Java、Web3D、OpenGL、3DCG の情報源となるWebページをまとめている。

安藤幸央

ホームページ

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所属団体

OpenGL_Japan (Member)、SIGGRAPH TOKYO (Vice Chairman)

主な著書

「VRML 60分ガイド」(監訳、ソフトバンク)

これがJava だ! インターネットの新たな主役」(共著、日本経済新聞社)

The Java3D API仕様」(監修、アスキー)


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