シスコが提唱する組織の「コラボレーション革命」とはビデオ会議システムはきっかけにすぎない

シスコシステムズは2月13日、東京で開催中の同社イベント「Cisco Connect」で、組織が生き残るための「コラボレーション化」を訴えた。IT技術をうまく使って、組織の業務プロセスや企業文化を変えていくべきだとしている。

» 2013年02月13日 19時22分 公開
[三木 泉,@IT]

 シスコシステムズが2月13、14日に東京で開催している「Cisco Connect」。初日の基調講演では、書籍「コラボレーション革命」の著者2人が、市場の変化と競争が激しさを増す現在、「コラボレーション」をキーワードとして組織を変えていく必要があると話した。

米シスコ グローバルコラボレーション担当上席副社長のカール・ウィージ氏

 米シスコのエグゼクティブ&カスタマーエンゲージメント担当副社長であるロン・リッチ(Ron Ricci)氏と、同社グローバルコラボレーション担当上席副社長のカール・ウィージ(Carl Wiese)氏の議論の前提は、「組織は、命令や統制に基づく存在から、協調や連携に基づく存在に変身しなければならない」ということだ。従業員は従来型の部署の枠を超えて、臨機応変にバーチャルチームに参加し、各人がその能力を十分に生かして働けなければならない。このためには従業員全員が、自社の目標、戦略、優先事項を理解し、その上で急速な変化にも対応できなければならない。経営陣は自社の戦略を組織全体に浸透させることで、従業員の自律的な活動を促さなければならない。

 両氏は、上記のような「コラボレーション化」を組織がどのように進めるべきかを、次のように説明した。

米シスコ エグゼクティブ&カスタマーエンゲージメント担当副社長 ロン・リッチ氏

 コラボレーションを競合他社に対する差別化につなげるには、IT技術とプロセス、文化の変革を並行して進める必要がある。例えばビデオ会議システムを社内で本格展開することで、短期的な経費削減が実現できるかもしれない。だが、それを組織変革に再投資し、できるだけ早く成果を出すべきだ。

 特定技術の利用を強制すべきではない。使いたくなるような仕掛けを考えるべきだ。例えば、ユーザーは使いやすいインターフェイスに慣れている。ビデオ会議製品も、だれでもが使えるものでなければならない。また、リモートワークへの対応を真剣に検討すべきだ。これは多くの組織における新たな現実だからだ。

 リッチ氏とウィージ氏は、ビデオ会議やユニファイドコミュニケーションなどのコラボレーション技術が、プロセスや社内文化の改善と組み合わさることで、組織変革を可能にすることができると話した。ビデオ会議の導入で、ネットワークを集約して運用コストを削減でき、出張費とオフィスコストも減らせる。こうしたツールで権限の委譲が進めば、製品開発から提供までに掛かる時間を短縮し、顧客との対話を増やすことも可能だとする。新たな製品やサービスの創出もしやすくなると説明した。

プロセスの明確化、透明化を、意識共有につなげる

 講演後の記者説明会でリッチ氏は、シスコCEOのジョン・チェンバース(John Chambers)氏のもとで同社の社内改革を進めた経験を説明。リッチ氏は、リーダーの役割を強調した。

シスコはなぜ全社員が同じ方向を向けるのか

 組織におけるさまざまな事業判断をだれがしたか、だれがその判断の責任を持つのか、どのように判断が下されたのかを、社内に明確に伝えることが重要だという。

 また、全社員が常時、自社の戦略や優先項目を把握できるようにするための取り組みを、進めているという。また、全社員は詳細な達成目標(KPI)を共有し、これに向けて努力することが求められているという。

 上記のような取り組みにより、シスコは「変化に対して柔軟に対応し、経営陣が右へ行くと言えば、従業員全員が右を向く文化」を醸成できたのだという。

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