連載
» 2013年02月20日 15時47分 公開

Windowsネットワーク管理者のためのAndroid活用入門:第1回 ユーザーとしてではなく、管理者として知っておくべきAndroid (1/2)

個人利用から普及したAndroid端末も、仕事にどう役立てるか、という時代を迎えている。でも管理者なら活用方法のみならず、リスクも知っておくべきだろう。まずはAndroidを仕事で使ううえでの注意点を中心に解説する。

[島田広道,デジタルアドバンテージ]
Windowsネットワーク管理者のためのAndroid活用入門
Windows Server Insider

 

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連載目次

 ここ数年、携帯電話市場におけるスマートフォンの普及は著しく、iPhoneとともにAndroid搭載端末が急速に増えている。「スマートフォンのユーザー比率、4割に迫る――一般層への浸透が加速」(ITmediaプロモバ)によれば、2012年8月のスマートフォン所有者の割合は36.4%(半年間で約4割増)に達し、そのうちAndroid端末は61.1%を占めていたとのことだ。タブレットについても2012年9月に発売されたGoogleの「Nexus 7」の人気が高く、限定的ながら2012年末のタブレット販売台数はiPadより多かったと報道されたほどだ。

Android OS搭載端末の例 GoogleのAndroidタブレット「Nexus 7」

 また、Androidを採用したデバイスは、スマートフォンに限らず、デジタルカメラや時計、音楽プレーヤ(WALKMAN)など、さまざまなものが登場している。

 普及の背景の1つには、デバイス価格が安いことがある。例えば、「中華パッド」と呼ばれる中国製ノーブランド・タブレットならば1万円以下のものもある。Nexus 7でも2万円弱で購入できる。世代が古いAndroidスマートフォンなら、携帯電話の契約が必須だが、実質的に無料で手に入る。

 安いだけではない。Webブラウジングやメールの読み書き、PDF文書閲覧など、仕事にも役立つ機能が標準でも満載。さらにアプリケーションのオンライン・ストア(アプリ・マーケット)に行けば、サードパーティ製アプリケーションがより取り見取りで、無料で手に入るものも多いとくれば、「仕事にも活かそう」と考えるのは必然だろう。

 こうして個人利用から普及が始まったAndroidスマートフォンも、仕事でどう役立つか、という時代を迎えている。すでに、個人所有のAndroid端末から社内イントラネットにアクセスしたい、などの要望(いわゆる「BYOD」)に直面している管理者も多いかもしれない。

 タイトルにもあるとおり、本連載はAndroidの入門記事である。「何をいまさら。Androidならとっくに使いこなしている」という読者もいらっしゃるだろう。しかし一人のエンドユーザーとして、「やりたいことだけやる」というのと、管理者として「可能性を探ったり、リスクに備えたりする」ことは違う。この連載では、Windowsネットワーク管理者を対象に、仕事に役立つAndroidの機能を紹介するとともに、問題点や万一に備えなければならないリスクについてもまとめていきたい。

 状況は刻々と変わりつつあるとはいえ、Active Directoryなどによってトップダウンで管理されている環境に、異質の構成を持つデバイスを加えることには、さまざまなリスクが伴う。重大なものは本稿でも触れていくし、問題の回避策や解決策があれば積極的に紹介していくが、いずれにせよ完全性は保証されない。Android端末の活用にあたっては、くれぐれも慎重にリスクを評価して、あくまで利用は自身の判断でお願いしたい。

Androidとは何か?

 まずはAndroidがどのようなプラットフォームで、どのような成り立ちなのか、簡単に紹介しよう。

■Androidの成り立ち

 Androidは、もともと2003年に同名の企業が開発した携帯端末向けプラットフォームで、それを2005年にGoogleが買収し、オープンソースの携帯電話/タブレット向けプラットフォームとして発展・拡張してきた。現在は端末ベンダや携帯電話キャリア各社による業界団体「Open Handset Alliance」が、携帯端末向けの標準プラットフォームとしてAndroidを推進している(メンバーとしては、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクモバイル、NEC、富士通、シャープなどが名を連ねている)。

■Androidの構成

 ソフトウェアとしてのAndroidをごく簡単に表現するなら、Linuxカーネルをベースに、携帯端末に必要な機能をライブラリやランタイム、フレームワークとして実装して積み上げたソフトウェア・プラットフォームといえる。

Androidの基本的なアーキテクチャ Androidの基本的なアーキテクチャ
Linuxカーネルの上に、携帯端末に必要な機能がライブラリ、ランタイム、フレームワークとして実装されている。

■Androidはオープンソース
 LinuxといえばオープンソースのOSとしても知られるが、Androidも同じくオープンソースであり、誰でも一定のライセンスの下で無償入手・利用ができる。これがAndroidの急速な普及の背景にあるもう1つの理由であることは疑う余地がない。ちなみにAndroidアプリケーションの開発でよく使われるAndroid SDK(Android用ソフトウェア開発キット)とEclipse(統合開発環境の1つ)もオープンソース・ソフトウェアである。

■Androidの主な機能
 Androidは携帯電話に必須の3G/4G通信回線はもちろん、Wi-FiやWiMAX、Bluetoothといった無線通信機能も標準でサポートする。またタッチパネルやUSB、フラッシュ・メモリといった携帯端末に必須のハードウェアもカバーする。アプリケーションが必要とするデータベース・エンジンやグラフィックス描画ライブラリなども内蔵しているほか、Webブラウザのような必須のアプリケーションも一緒に提供される。

項目 概要
無線通信 無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n)、Bluetooth、NFC(近距離無線通信)
携帯電話通信 W-CDMA、CDMA2000、LTE、GSM、WiMAXなど主要な規格に対応
そのほかのデバイス・サポート フラッシュ・メモリ(メモリ・カードを含む)、グラフィックス・アクセラレータ、タッチパネル、USB、キーパッド、音源、カメラ(静止画/動画)、GPS、加速度センサなど
アプリケーション実行環境 Javaなどで開発されたアプリケーションを実行するための仮想マシンが標準装備
Webブラウザ 標準装備。WebKitと呼ばれる描画エンジンがベース。アプリケーション内からも利用できる
メーラ(Eメール機能) 標準装備。POPやIMAP/SMTPのほか、SMSやMMSなどもサポート
データベース SQLiteというコンパクトなデータベース・エンジンが標準装備
音声/映像コンテンツ MP3、WAV、MIDI、AAC、MPEG-4、H.264などのフォーマット/規格をサポート
タッチUI マルチタッチ標準対応
Androidの主要な機能

Androidの問題点: 互換性問題

 ここからは、Android端末を仕事に活用するにあたって、注意すべき点を説明しよう。まず注意しなければならないのは端末同士の互換性だろう。現状ではAndroidのバージョンや端末のハードウェア/ソフトウェア仕様、携帯キャリアなどなど、さまざまな違いが互換性の問題を招いているからだ。

■複数のAndroidバージョンが混在している

 Androidは次の表のようにバージョンアップを重ねてきて現在に至る。非常に大雑把にいえば、Ver. 1.x〜2.xはスマートフォンに実装されてきたが、Ver.3.xはタブレット専用、そしてVer. 4.xはスマートフォンとタブレットの両方をサポートするといった具合だ。

バージョン 搭載端末のリリース時期 概要(新機能や強化点)
1.5 2009年 日本でスマートフォンへの搭載が始まったバージョン
1.6 2010年 VPNや音声検索、WVGA解像度、ジェスチャーUIなどに対応
2.0/2.1 2010年 画面サイズと解像度のバリエーション増加、UIの改良、Exchange Serverとの接続、Bluetooth 2.1のサポートなど
2.2 2010年 仮想マシンやJavaScriptの実行速度向上、インストール済みアプリケーションの自動更新、テザリングのサポートなど
2.3 2011年 NFCや複数のカメラのサポート、UIの改良・高速化、マルチタッチ入力のサポートなど。このバージョンを搭載したスマートフォンが広く普及した。Ver. 3.xと併存
3.0〜3.2 2011年 タブレット専用バージョン。初期のAndroidタブレットに搭載された
4.0 2011年(Q4) スマートフォンとタブレットの両方に対応する統合バージョン。広範囲の改良・新機能追加
4.1/4.2 2012年 応答性能の向上、国際化機能の改善、マルチアカウント対応、セキュリティ強化など
これまでリリースされたAndroidの各バージョン
Ver.2.xまではスマートフォン向けだったが、Ver. 3.xはタブレット専用に開発された結果、Ver.2.xとVer.3.xが併存する時期が続いた。その後、Ver.4.0からは両者が統合された。

 バージョンが異なれば、実行できるアプリケーションにも差がある。例えばAndroid 4.0に搭載された新機能を利用するアプリケーションであれば、Android 2.3搭載端末で実行できなくても不思議ではない。古いバージョンのAndroid端末は、新登場のアプリケーションが利用できないことが次第に増えていくだろう。

 またバージョンが異なるとUIも変わる点にも注意したい。特にVer.2.3とVer.4.xではその違いが大きく、使い勝手もかなり異なる。

 2013年2月時点で入手できるAndroid端末(スマートフォン/タブレット)は、Ver.2.3とVer.4.xが混在しているのが現状だ。これはVer.4.0リリース後の2012年夏頃まで、Android 2.3搭載端末の新製品が販売されていたことが影響している(現在の新製品は、ほぼすべてAndroid 4.xを搭載している)。また、やや古いVer.2.3搭載端末はVer.4.xにアップグレードできない場合もある。いま、端末を選ぶ際には搭載バージョンに注意すべきだ。また、冒頭で触れたBYODを目論んでいるなら、しばらくはVer.2.3とVer.4.x双方のAndroid端末をサポート・管理せざるを得ないだろう。

 ちなみにAndroidのバージョンは、ホーム画面の[設定]アイコン−[端末情報]をタップすると表示される「Androidバージョン」で確認できる。

■端末のハードウェアのバリエーションが非常に多い

 端末のバリエーションがたくさんあるのも、Android搭載端末の特徴の1つだ。現状は「千差万別」という言葉がピッタリ当てはまる。自分の用途に必要な機能を搭載した端末を選ぶ必要がある。

搭載ハードウェアの異なるAndroid端末の例 搭載ハードウェアの異なるAndroid端末の例
プロセッサやメイン・メモリ、フラッシュ・メモリ(ストレージ)、Wi-Fiといった必須のものから、携帯回線、カメラ、GPS、NFCといったものまで、Android端末には多様なハードウェアが搭載できる。それゆえ、ハードウェアだけ見てもバリエーションは溢れている。新しいほど高性能・多機能とは限らず、最新機種でもNFCや背面カメラがない端末も見かける。

 また、ハードウェアの違いがアプリケーション実行に影響することもあるので、注意する必要がある。次のページから、その影響を具体的に探ってみる。

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