EMCとヴイエムウェアの新会社Pivotalは何を目指すか「コンシューマー・グレードの企業を実現」?

EMCとヴイエムウェアの出資により誕生した新企業Pivotal。日本時間の4月25日午前2時よりWebキャストで、CEOに就任したポール・マリッツ氏や、プラットフォーム&サービス担当シニアバイスプレジデントを務めるスコット・ヤラ氏が、同社の目指すものについて説明した。

» 2013年04月25日 07時38分 公開
[三木 泉,@IT]

 EMCとヴイエムウェアの出資により誕生した新企業Pivotal。日本時間の4月25日午前2時よりWebキャストで、CEOに就任したポール・マリッツ(Paul Maritz)氏や、プラットフォーム&サービス担当シニアバイスプレジデントを務めるスコット・ヤラ(Scott Yara)氏が、同社の目指すものについて説明した。Webキャストの数時間前には、同社にGEも資本参加したことが発表された(追記:2社は当初両社の仮想組織として「Pivotal Initiative」を設立、4月にこれが「Pivotal」の名で、法人として設立された)。

 新会社はEMCおよびヴイエムウェアが持っていたGreenplumやvFabric(Spring、Gemfire、SQLfire、RabbitMQなど)、Cloud Foundry、Cetasなどのミドルウェア、ビッグデータ処理製品群に、EMCが2012年に買収したアジャイル開発サービス企業であるPivotal Labsを組み合わせた製品・サービスのポートフォリオを当初からそろえている。従業員は1250人という。

CEOに就任したポール・マリッツ氏が新会社の目的を説明した

 Pivotalの掲げるフレーズは「New Platform for New Era(新しい時代のための新しいプラットフォーム)」。つまり、ビッグデータ分析やミドルウェアなどの製品を別個に提供するのもさることながら、これらをすべて組み合わせ、新しいタイプのアプリケーションを構築・運用するためのプラットフォームを提供していくことを最大の目的とする(追記:マリッツ氏にいわせれば、これまで自身のヴイエムウェアCEO時代に、「vFabric」という名称のもとでそろえてきたのは、単なるミドルウェアではなく、新世代のアプリケーションを構築できるようにするためのツール群だ、ということだろう)。

 マリッツ氏はWebキャストで、フェイスブックなど、コンシューマー向けサービスを展開している巨大インターネット企業と同じようなことを、今後は企業も行えなければならないと話した(Pivotalはこのことを表現するため、「Consumer-Grade Enterprise」という言葉も使っている)。

 フェイスブックのような企業は莫大なデータを扱えるデータプラットフォームを構築し、こうしたデータに対してリアルタイムな処理を行えるアプリケーションを武器としている。アプリケーションの開発と投入は非常に迅速だ。また、運用では処理能力を柔軟に伸縮させることができる。一般企業も、こうした環境を利用することで、新しい体験を提供し、新しいビジネスモデルを実現できる、とマリッツ氏は語った。

 ただし、一般企業はフェイスブックのように巨大なデータセンターをつくるわけにはいかない。その代わりに必要となるのは、さまざまなクラウド(IaaS)上で動作するプラットフォームだとする。また、既存のシステムとの連係が必要なところも、インターネット企業との大きな違いだ。

 Pivotalは2013年第4四半期に、「Pivotal One」という名称の企業向けPaaSを提供開始するという。これはCloud Foundryをベースに、Pivotal HD、vFabric、Spring frameworkなどをツールとして使えるようにしたもの。Amazon Web Services、およびヴイエムウェアが今後提供開始するIaaS上でサービスとして利用できるようになるほか、企業の社内でも、同じ環境をソフトウェア群として動かすことが可能。Pivotal Oneは、Cloud Foundryでヴイエムウェアが以前から強調してきた可搬性のメリットを、そのまま引き継いでいる。

Pivotal OneはPivotalの製品群を包括的に活用する

 Webキャストには、約10%の出資を発表したGEのビル・ルア(Bill Ruh)氏も登場。飛行機の運航、発電などでは膨大なデータが生まれるにもかかわらず、活用されていない。しかしこれを分析することで、飛行機の燃料効率向上をはじめとするさまざまな最適化が可能になると話した。

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