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» 2013年06月12日 16時58分 UPDATE

抽象化と自動化、全ての統合管理を担う:システム全体の抽象化・効率化を推進する“Software Defined Environment”構想とは

日本IBMがシステムインフラ全体のビジョンとして「Software Defined Environment」を発表。クラウド最適化、抽象化、自動化をにらみ、まずはネットワーク仮想化製品を投入する。

[原田美穂,@IT]

 日本IBMは2013年6月11日、自社の「Smarter Computing」ビジョンに則したシステムインフラ全体ビジョンとして「Software Defined Environment(SDE)」を発表した。併せて同ビジョンを推進する製品群の発表を行った。

Software Defined Environment(SDE)の全貌

 SDEは、ワークロードの抽象化を軸に、コンピュータリソースの抽象化、動的リソースマッピング、自律的かつ継続的なチューニングを含む包括的なインフラの体系として位置づけられる。

 「現在の企業システムは個別目的ごとに組み上げられサイロ化したシステムのため、管理・運用コストは膨大なものとなっている。IBMの既存顧客のシステム分析を基に分類した4つのワークロードに従い、個々のシステムを分類した上でクラウド最適化し、集約することで効率化を実現し、ガバナンスやセキュリティ面での課題も解消していく」(日本IBM 専務執行役員 システム製品事業担当 三瓶雅夫氏)

mhss_sde_workload.jpg Software Defined Environmentのコンセプト 図の右側にIBMが想定する4種類のワークロードへの集約が示されている(日本IBMの発表資料より)

 SDEが目指しているシステムは次のようなものだ。

 まず、企業内に多数存在するシステムを、(トランザクションやWebアプリケーションなども)ワークロードごとに分類し、最適化できる構成を用意する。同一の分類の中では類似のポリシーで管理していくようにする。こうすることで、まずシステム全体をワークロードに従って抽象化する。これとは別に、各種リソースプールも抽象化する。抽象化したワークロード・リソースを、自動的かつ動的にマッピングすることで、運用効率を向上していく。加えて、これらのワークロードとリソースプールの組み合わせの結果については、定点的に観測し、自律的に再構成を行っていく。こうすることで、SDEではシステム運用時に「手作業」が求められてきた領域を自動化していこうとしている。

 SDEのビジョンでは、自社環境だけでなく、AWSなどのクラウドサービス群も含め、パブリック/プライベートの別を問わないクラウド環境全体の統合的な管理自動化が含まれている。また、このビジョンを実現するための技術として、OpenStackやOpenDaylightといったオープンソースプロジェクトの成果も投入していくとしている。

新製品「IBM Software Define Network for Virtual Environments VMware Edition(SDN VE)」

 今後、同社が提供していくシステムインフラはこの、SDEのコンセプトに則した機能強化を推進していくことになる。

 今回の発表では、新製品として「IBM Software Define Network for Virtual Environments VMware Edition(SDN VE)」を投入する。同製品は、VMware環境用のネットワークオーバーレイによる仮想ネットワーク構築ソフトウェアだ。VMware上の分散仮想スイッチおよび仮想アプライアンス製品として提供する。価格はCPUソケット単位のライセンスモデルを採用している。1年間のサブスクリプションおよびサポート付きで1CPUソケット当たり2万2100円(税別)から。

 「仮想マシンのデプロイは容易になったがネットワーク定義に関しては、仮想化技術が普及した今でも数日かかる状況だ。また、ネットワーク設計は、サーバが仮想化したとしてもVLANが抱える論理上の制約に依存したものになっており、スケールさせる際の課題となっており、ネットワーク領域ではまだまだ仮想化による効率化が進んでいない状況」(日本IBM システム製品事業 Sytem x事業部 ビジネス開発 瀧谷貫行氏)

 従来、IBMではOpenFlow対応製品を提供してきた経緯があるが、OpenFlowによる仮想ネットワークは、トラフィック制御に優れているが全ての機器で対応する必要があるため、既存環境への導入が難しかった。今回発表するSDN VEは、レガシネットワーク環境を有効活用できるという利点がある。また、同製品の場合、仮想ネットワークと物理ネットワークをつなぐゲートウェイ機能も同一パッケージで対応しており、単一のパッケージで既存ネットワーク環境の仮想化を検討できる点も特徴になっているという。なお、ネットワークトンネリング部分ではVXLANをベースにいくつかの拡張を実装しているという。

mhss_sde_kinouimage.jpg SDN VEの各コンポーネントの動作イメージ
mhss_sde_concept.jpg SDN VE導入効果 デプロイメントに関しては、10台のラックにそれぞれ2台のToRスイッチ、12台のサーバを搭載、各サーバに2枚のNICを挿した場合を想定して比較している。コストに関しては120台の2ソケットサーバと既存ネットワーク、ゲートウェイ製品、各種サポート料金を合算した金額で試算している(日本IBMの発表資料より)

 現在、ハイパーバイザとしてはVMware向けのみの展開であるが、今後はこれをKVMやHyper-V、System zなどにも展開する計画がある。また、OpenFlowを含むSDN環境を統合管理するコントローラのリリースも計画している。こちらは、IBMが参画しているOpenDaylightプロジェクトの成果が盛り込まれる見込みだ。

ストレージラインアップの強化

 同時に、リソースプールの抽象化を推進する意味で、ストレージ製品群の強化を推進する。

ハイエンドストレージSystem Storage DS8700 ストレージ自動階層化機能「IBM System Storage Easy Tier Application」でストレージ資源活用最適化、アプリケーション処理性能の向上を図る

ミッドレンジストレージStorwize V7000、ストレージ仮想化製品SAN Volume Controller アクティブデータのリアルタイム圧縮機能である「IBM Real-time Compression」を利用できるようになった。併せて、上記Easy Tierも利用できる

エントリーストレージIBM Storwize V3700 Easy Tierが利用可能になった。拠点間データコピーのためのリモートミラー機能を追加した。遠隔コピー機能はStorwize製品群内での互換性がある

 なお、今後プライベートストレージクラウド環境を簡単に構成するためのソフトウェア「IBM Smarter Cloud Storage Access(SCSA)」についての「開発意向を表明」(プレスリリースより)している。

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