Firefox OSのアプリ開発は思ったより簡単?〜関東Firefox OS勉強会レポートUXClip(34)(1/2 ページ)

モバイルOSの新勢力として、Firefox OSが注目を集めている。このオープンソースOSの開発環境はどのようなものだろうか。本稿では、ユーザー勉強会の様子をレポートする。

» 2013年07月11日 18時30分 公開
[仲 裕介@IT]

 Mozillaが開発中のモバイル端末向けオープンソースOS「Firefox OS」。そのユーザー勉強会「関東Firefox OS勉強会 1st(仮)」が、モバイルクリエイターズの主催で2013年6月19日にLearning Square 新橋で開催されました。本稿ではその様子をレポートします。

 これに先立つ同月15日には大阪でも初開催されています。もちろん東京での開催も今回が初めて。写真はイベント管理人である@meco300さんと、Firefoxのマスコットキャラクターであるフォクすけです。

@meco300さんとフォクすけ

 勉強会では、Firefox OSに関する4つのセッションが行われるとともに、主催者であるモバイルクリエーターズの紹介や、Firefox OS端末の“おさわり会”も開催されるなど、盛りだくさんな内容でした。

勉強会のタイムスケジュール

1、Firefox OSのカスタムROM開発を始めてみた(@androidsolaさん)

 このセッションでは、Firefox OSのカスタムROM開発について、ライブコーディングなども交えながら紹介され、出だしからいきなりの濃い話題となりました。ハードルが高そうに感じるOSの改造ですが、いわゆる「WebOS」であるFirefox OSは、Web技術をベースに開発されており、外見を変更するなどのカスタマイズは比較的簡単にできます。

 セッションの冒頭には、Firefox OSをソースファイルからビルドする手順、Firefox OSの開発者向け端末「Geeksphone KEON」にビルドしたイメージを書き込み動作確認する手順が分かりやすく紹介されました。

 カスタマイズに関しては、AndroidのカスタムROMを作成するプロジェクトである「JCROM」を参考に、スクリーンテーマの変更、ステータスバーの変更、通知領域の背景色変更、ロックスクリーンの変更、壁紙の変更、アプリテーマの変更に関して、手順や実例が紹介されました。カスタマイズ用のコードについてはGitHubで公開されています。また資料内では、具体的な修正を行う部分のソースコードのコミットIDが記載されているため、大変分かりやすいです。なお、Firefox OS向けのJCROMの情報はこちらのWebサイトに詳しくまとめられています。

 @androidsolaさんによると、Firefox OSの改造はAndroidよりも難易度が低く短時間で実施できるそうなので、興味がある方はぜひ試してみてください。

2、JSとの健全な付き合い方(@kassy_kzさん)

 「JSとの健全な付き合い方」と題したこのセッションでは、Firefox OSアプリの開発方法について紹介されました。Firefox OSは先述の通りWebOSであるため、OS上で動作するネイティブアプリケーションをJavaScript(JS)とCSSを用いて開発でき、Web開発者やデザイナーにとって開発のハードルが低くなっています。

 セッションでは、WindowsやMac上のFirefoxアドオンとして動作する「Firefox OS Simulator」の紹介から始まりました。これにより、端末を準備せずにFirefox OSの動作を確認できます。Androidであれば、Eclipse+ADT(Android Developer Tools)+Android SDKという統合開発環境(IDE)が定番化していますが、Firefox OSには現状そういった専門ツールは用意されていないそうです。なので、通常のWebアプリケーション開発に利用しているツールと、先ほど紹介したシミュレータなどを組み合わせ、開発を進めることになります。アプリ開発環境の構築が簡単なのもFirefox OSの魅力の1つですね(@dynamisさんのセッション(後述)では、シミュレータを統合した高機能な開発ツールの紹介もありました)。

 開発環境の準備に続き、プログラミングの定番であるHello World(ソースファイルはこちら)を例に、Firefox OS特有のマニフェストファイルの作成、シミュレータへのインストール、実機へのインストールについて紹介されました。すごく簡単です!

 開発方法の次は、Firefox OSアプリの公開方法について説明がありました。Firefox OSアプリは自前のサーバで公開する(ダウンロードさせる)方法に加えて、Mozillaが運営する「Firefox Marketplace」で公開可能です。Marketplaceで公開できるアプリには、「Hosted App」と「Packaged App」があります。今回はよりネイティブアプリに近い、Packaged Appの公開方法が示されました。必要なファイルをzip形式に圧縮し、専用サイトからアップロードするだけで、特に難しくありません。ただ、iOSのアプリと同様、Mozillaの審査を通過しなければ、Marketplace上に公開することはできません。

 次の話題はデバッグ方法について。シミュレータ上で動いているアプリに関しては、Firefoxブラウザのツールでデバッグ可能ですが、使い勝手はまだまだのようです。2013年1月までは実機でのデバッグが可能だったそうですが、現在は不可能とのこと。今後のデバッグ環境の改善に期待したいところです。

 セッションの最後には、『Firefox OSアプリ開発ガイド』という書籍が紹介されました。日本語で書かれたFirefox OS関連の書籍は今のところ、これだけのようです。Firefox OSの概要からアプリ開発方法、実機へのOSの焼き込み方法まで幅広く取り扱っているので、興味がある方は買うしかありませんね。

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