連載
» 2013年10月18日 00時00分 公開

お茶でも飲みながら会計入門(86):トルネコは幾つそろばんを売ればいいのかな?

意外と知られていない会計の知識。元ITエンジニアの吉田延史氏が、会計用語や事象をシンプルに解説します。お仕事の合間や、ティータイムなど、すき間時間を利用して会計を気軽に学んでいただければと思います。

[吉田延史, イラスト:Ayumi,仰星監査法人]

本連載の趣旨について、詳しくは「ITエンジニアになぜ会計は必要なのか」をご覧ください。


 自民党税制調査会は26日、成長戦略の促進や消費税引き上げに伴う税制改正大綱の原案を固めた。 地方税分を含めた法人税の実効税率引き下げについて、「今後早期に検討を開始する」と明記した。復興財源に充てる企業向けの「復興特別法人税」も、1年前倒しして今年度末で廃止することを「検討する」とし、政府方針を受け入れる姿勢を示した。

〜YOMIURI ONLONE 9月27日記事より抜粋

 消費税の議論が一段落し、最近は法人税が新聞をにぎわせていますね。消費税は上がったのに、法人税は下げることが検討されています。法人税とはどのような税金なのでしょうか。また復興特別法人税とはどのような税金なのでしょうか。今回は法人税について解説します。

【1】法人税はもうけに対して掛かる税金

 まずは、法人税について一通り説明してしまいましょう。

 株式会社は法人税を納める義務があります。もうけに税率を掛けた金額を法人税として国に納付します。ざっくり言うと、損益計算書(第15回「損益計算書に登場する5つの利益」参照)の税引前当期純利益が対象のもうけとなります。平成25年10月現在の税率は25.5%で、税率は、少しずつ下がっています。ちなみに、平成24年度までは30%でした。

 上の法人税に付随して課せられている税金が復興特別法人税です。3年間の期間限定で、法人税として納付した金額の10%を追加で納めます。

 文章で見てもいまいちピンとこないので、事例で見ていきましょう。

【2】トルネコが納める税額

 今回は、ドラゴンクエストIVの第3章を例にとります。

 トルネコは大金をはたいて店を作りました。自分はアイテムを仕入れ、店番は愛妻ネネに頼んで、商売を進めます。ストーリーを進行させるためには、6万ゴールドためなければいけません。

 現在の所持金を4万ゴールドとして、トルネコの仕入れを考えます。仕入れるアイテムは「せいぎのそろばん」です。1600ゴールドで買えるだけ買って、ネネさんに2400ゴールドで売ってもらいます。

仕入:@1600ゴールド×25本=4万ゴールド

売上:@2400ゴールド×25本=6万ゴールド


 ネネさんが頑張って販売した結果、一回の仕入で6万ゴールドを手に入れられました。

イラスト1

【3】もしも法人税が課せられたら

 さて、法人税が課せられるとどうなるでしょうか。上記の仕入れと売り上げの結果得られた利益は、

6万ゴールドー4万ゴールド=2万ゴールド


 です。これに税率を掛けると

2万ゴールド×25.5%=5100ゴールド


 の法人税がかかります。さらに復興特別法人税として、法人税額の10%が追加で掛かります。

5100ゴールド×10%=510ゴールド


 結果、税金は

5100ゴールド+510ゴールド=5610ゴールド


 となり、所持金は

6万ゴールドー5610ゴールド=5万4390ゴールド


 となり、目標に届かなくなりました。トルネコもがっかりです。なお、上記の5610ゴールドについては、損益計算書上「法人税等」という科目で税引前当期純利益のすぐ下に表示されます。

イラスト2

【4】なぜ法人税を減税するのか

 トルネコの例で確認できるのは、当たり前のことですが、法人税率が高いほどお金をためるのが難しいということです。お金がたまらないと、人件費や投資に資金を振り向けるのが難しくなるでしょう。そこで、法人税率を下げて、人件費や投資に余ったお金を使ってもらうことが議論されているのです。

 法人税について見てきました。法人税は、もうけのうちの割合で計算されますので、大もうけすればするほど、税金は増えることになります。逆に、赤字のときには1円も払わないこととなります。そのため、法人税の年度ごとの税収は不安定です。

 一方、消費税は個人の収入に関わらず納付することとなりますから、安定的に税収を得られます。今回の消費増税/法人減税により税収はこれまでより安定することになり、それは国にとって、ひとつのメリットと言えるでしょう。それではまた。

お知らせ

お茶会計、書籍化!

ITエンジニアのための会計知識41のきほん

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吉田延史(仰星監査法人/公認会計士) 著
インプレスジャパン
2012/02/17
ISBN-10: 4844331485
ISBN-13: 978-4844331483
1575円(税込)


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筆者プロフィール

吉田延史(よしだのぶふみ)

吉田延史(よしだのぶふみ)

京都生まれ。京都大学理学部卒業後、コンピュータの世界に興味を持ち、オービックにネットワークエンジニアとして入社。その後、公認会計士を志し同社を退社。2007年、会計士試験合格。仰星監査法人に入所し現在に至る。共著に「会社経理実務辞典」(日本実業出版社)がある。



イラスト:Ayumi


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