System Center Configuration Managerを用いたSAM効率化ITエンジニアのためのSAM入門(3)(1/2 ページ)

皆さんは、「ソフトウェア資産管理(SAM)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? この連載では、ITエンジニアの方にSAMの背景や規格、正確な基礎知識を提供していきます。最終回では「Microsoft System Center Configuration Manager」を例に取り、SAM実践のステップをツールで効率化する方法を紹介します。

» 2013年11月21日 18時00分 公開

 ここまでの連載で、ソフトウェア資産管理(SAM)の必要性と標準規格、そしてSAMを導入する4つのステップについて解説しました。最終回となる今回は、「Microsoft System Center Configuration Manager」を例に取り、SAMをどのように実践していくかを解説します。

資産管理ツール「System Center Configuration Manager」

 第2回「ソフトウェア資産管理(SAM)のプロセスとステップ」の「STEP1:棚卸しの実施」で、ソフトウェアの棚卸しの際、ソフトウェアインベントリツールを使用すると説明しました。ソフトウェアインベントリ作成機能や、その他のさまざまな資産管理機能を提供する「資産管理ツール」と呼ばれるツールが複数の会社から提供されています。

 このような資産管理ツールを使用すると、特に「STEP1:棚卸しの実施」「STEP2:整理とマッチング」で一部のタスクを自動化でき、SAMの導入を効率化できます。

 ここでは、資産管理ツールの例として「Microsoft System Center 2012 Configuration Manager SP1」(以下、Configuration Manager)を取り上げます。Configuration Manager は、構成管理と更新管理を行う製品であり、次のような機能が実装されています。

図1 Configuration Managerの機能

 SAMでは、こうしたConfiguration Managerの機能のうち、ハードウェアインベントリ、資産インテリジェンス、レポート、ソフトウェアの使用状況の測定(ソフトウェアメータリング)といった機能を主に使用します。以降、これらの機能について解説します。

ハードウェアインベントリ

 BIOS、メモリ、ハードディスク、CPUといったハードウェアの属性情報を取得します。Configuration Managerは管理対象のコンピュータのWMI(Windows Management Instrumentation)を通じて、既定で1500種類以上のハードウェア属性を収集します。

図2 Configuration Managerによるハードウェアインベントリの表示

 収集するハードウェアインベントリの種類(クラス)を調整することもできます。ライセンスの算出に必要な情報(例えばCPUライセンスを使用している製品の場合は、論理プロセッサ数やコア数など)は、必ず取得するようにします。

図3 ハードウェアクラスの調整

 このハードウェアインベントリ情報を基に、ハードウェア管理台帳を作成します。

資産インテリジェンス

 ハードウェアインベントリ機能を拡張し、ソフトウェア情報を収集します。

 ここで1つ注意が必要なことがあります。Configuration Managerには、「ソフトウェアインベントリ」という名前の機能が実装されていますが、これは管理対象コンピュータ上で、指定された.exeなど特定の種類のファイルを検出し、そのファイルヘッダ情報を読み取ってデータを収集するという単純なもので、この機能はSAMでのソフトウェア情報の収集には基本的に使用しません。より高機能な資産インテリジェンスという機能を使用します。

 資産インテリジェンスでは、マイクロソフトが提供するソフトウェアの情報をまとめた資産インテリジェンスカタログを使用して、収集したソフトウェア情報を分析し、その結果をConfiguration Managerのインベントリとして保存します。

 資産インテリジェンスカタログは、MicrosoftのSystem Center Onlineサイトで公開されており、Configuration Managerはインターネット経由で最新カタログを取得し、分析に使用します。資産インテリジェンスカタログには、約30万程度のソフトウェア定義が含まれています。Microsoft製だけでなく、それ以外のソフトウェア発行元のソフトウェア情報も含まれています。

図4 資産インテリジェンス機能の動き

 資産インテリジェンス機能で収集したソフトウェア情報を基にソフトウェア台帳を作成します。

図5 資産インテリジェンス機能で収集されたソフトウェア情報(インベントリされたソフトウェア)

 さらに資産インテリジェンス機能では、.xml形式あるいは.csv形式の保有ライセンス情報をインポートし、収集したソフトウェアの情報と突き合わせて、ライセンスの過不足をおおまかに確認する機能も備わっています。

 Microsoftボリュームライセンスを契約している場合、マイクロソフトボリュームライセンスサービスセンター(VLSC)から、「Microsoftボリュームライセンスステートメント(MVLS)」を入手できます。MVLSは、その組織が購入したライセンスの数をまとめたcsv形式のファイルであり、[ソフトウェアラインセンスのインポートウィザード]でこのファイルをインポートすることで、ボリュームライセンスの保有数データをConfiguration Managerに保存できます。

図6 ソフトウェアライセンスのインポートウィザード
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