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» 2013年11月14日 18時00分 UPDATE

三国大洋の箸休め(15):英語の読み方・ニュースの読み方――NSAのデータ傍受事件を読み解く

今回から連載の趣向を変えて、英語ニュースの読み方についてのティップスなどを記していく。業界の動向をいち早くキャッチする手助けになれば幸いだ。

[三国大洋,@IT]

 今回から連載の趣向を変えて、英語ニュースの読み方についてのティップスなどを記していく。IT業界の動向をいち早くキャッチするには、英語のソースを避けては通れない。しかしそうした記事の中には特有の言い回しが含まれており、学校で習った英語とはちょっと違う……と、抵抗を感じる人もいるかもしれない。そうした皆さんの役に立てば幸いだ。

 第1回目は「米NSAのデータ傍受で新たな『動かぬ証拠』浮上」というThe Vergeの記事からだ。まずは原文を見てみよう。

今日の例文

After The Washington Post reported last week that the NSA was tapping into private networks at Google and Yahoo, Director of National Intelligence James Clapper wasted no time in denying the allegations. Clapper said the report had "misstated facts, mischaracterized NSA’s activities, and drawn erroneous inferences about those operations." Today, the Post struck back with an even more detailed look at the NSA's network-tapping capabilities, including proprietary details that all but prove the agency was pulling data from the company's private lines.

The new documents show data held by the NSA in formats that are otherwise only found on Google and Yahoo's private network ― essentially a smoking gun for the previously alleged network-tapping. In Google's case, it comes from a proprietary network protocol known as a "remote procedure call" that company servers use to verify a server's identity.

New evidence surfaces that NSA and GCHQ tapped into Google and Yahoo private networks

http://www.theverge.com/2013/11/4/5065996/new-evidence-surfaces-that-nsa-and-ghcq-tapped-into-google-and-yahoo


ワード&フレーズ

 では、上記の例文に出てきたキーワードとキーフレーズを見ていこう。

原文
evidence 証拠
surface 浮上する、表面化する
NSA 米国家安全保障局(National Security Agency)
GCHQ 英政府通信本部(Government Communications Headquarters)、英国の諜報機関
tap (into) 〈電話通信など〉を盗聴[傍受]する
waste no time (in 〜ing) 早速〜する
erroneous 誤った(errorの形容詞)
inference 推論、憶測
strike back (with〜) 〜で反撃する
pull (data) from 〜から(データを)引き出す
otherwise そうでなければ、それ以外では
essentially 簡単に言うと
smoking gun (犯罪の)決定的証拠(「血塗りの包丁」と似たニュアンスの比喩的表現)

ニュースの背景

 2013年6月初めから延々と続いている、米National Security Agency関連の不正な通信傍受活動に関する話題だ。

 当初は、「NSAがきちんとした手順を踏まずに、あるいは形式だけの手続きを踏んだだけで、ネットトラフィックを勝手にインターセプトして、膨大なデータをため込んでいた(後から解析できるようにしていた)」という関係者――エドワード・スノーデン(Edward Snowden)という外注先の契約社員による暴露が話題の中心だった。

 だがその後も次々と新しい話題が報じられている。最近では、米国の同盟国に当たる各国首脳・政府高官の電話やメールまで傍受されていた、あるいは米国以外の各国でも似たような取り組みを進めている……などという話まで出て、政府間の関係もギクシャクしがちな状態になっている。また米国も、中国政府によるサイバー諜報活動を非難しにくくなった……など、さまざまな方面に影響が生じている。

 傍受に関する一連のニュースを中心的に伝えてきているのは、英Guardian米Washington Post(WP)の二紙だ。それに独Spiegelあたりからも時々新しいネタが出ている。ただし、あまりに多くのネタが出続け、伝える方も読む方も、いささか食傷気味といった感じもある。

 上記の例文は、Washington Postのレポートを紹介したThe Vergeの記事からの引用だ。「NSAがグーグルやヤフーの世界各地にあるデータセンターを結ぶプライベート・ネットワークにまで手を突っ込み、データを集めていた。そのことを示す証拠が見つかった……」という内容で、具体的にはGoogleの場合、サーバ同士の確認に使っているリモートプロシージャコール(RPC)がその「動かぬ証拠」に当たる、といったものだ。

 この話で焦点となっている「MUSCULAR」プロジェクト――以前に報じられていた「PRISM」とはまた別のもの――については、WPが10月30日、Googleにおける概要を示したイラスト付き解説とともに記事にしていた。PRISMのように「裏口から」ではなく、正面玄関から無断侵入、というところがポイントらしい。

 さらに、この報道に関して、米グーグル会長のエリック・シュミット氏が「NSAの行為がもし本当だとしたら言語道断」などとWSJにコメントしている。さすがに中国の場合のように、「市場からの撤退」というわけにはいかないのだろう。

文章の分解

 上記の背景を踏まえて、冒頭の英文を少しずつ区切りながら読み解いてみよう。

[1] After The Washington Post reported last week /

[2] that the NSA was tapping into private networks at Google and Yahoo,/

[3] Director of National Intelligence James Clapper wasted no time in denying the allegations.

[4] Clapper said the report had "misstated facts, mischaracterized NSA’s activities, and drawn erroneous inferences about those operations."

[5] Today, the Post struck back with an even more detailed look at the NSA's network-tapping capabilities, /

[6] including proprietary details that/

[7] all but prove the agency was pulling data from the companys' private lines.

[8] The new documents show /[9] data held by the NSA in formats that are otherwise only found on Google and Yahoo's private network ― /

[10] essentially a smoking gun for the previously alleged network-tapping.

[11] In Google's case, it comes from a proprietary network protocol known as a "remote procedure call" /[12] that company servers use to verify a server's identity.


 それぞれ、以下のように読み解ける。

[1] The Washington Post が先週([2])と報じたその後

[2] NSAがGoogleやYahooのプライベートなネットワークを傍受していると

[3] National Intelligenceの長官であるJames Clapperは早速この嫌疑を否定していた。

[4] Clapperは「WPの報道には、誤った事実を述べた個所や、NSAの活動について間違った性格付けをしている個所が含まれており、またそのオペレーションについて誤った推測をしている」と反論していた。

[5] それに対し、今日WPは、NSAのネットワーク傍受能力についてさらに詳しく述べた説明を含む記事で反撃した

[6] 詳しい説明の中には、[7]も含まれる

[7] NSA(the agency)が同社(GoogleやYahoo)の非公開なネットワークからデータを引き出していることをほぼ確実に証明するもの

[8] 新たに公開された書類は[9]を示している

[9] NSAが持つデータは、それ以外にはGoogleやYahooのプライベートネットワークでしか見つからないフォーマットになっている

[10]簡単にいうと、前に嫌疑の出ていたネットワーク傍受が事実であることを示す動かぬ証拠といえる

[11] Googleの例では、「remote procedure call」として知られる独自のネットワーク・プロトコルがこの証拠に当たる

[12] 「remote procedure call」は、Googleのサーバがそれぞれの身元を確認するのに使っているものである


 では最後に、もう一度英文を読み直してみよう。

After The Washington Post reported last week that the NSA was tapping into private networks at Google and Yahoo, Director of National Intelligence James Clapper wasted no time in denying the allegations. Clapper said the report had "misstated facts, mischaracterized NSA’s activities, and drawn erroneous inferences about those operations." Today, the Post struck back with an even more detailed look at the NSA's network-tapping capabilities, including proprietary details that all but prove the agency was pulling data from the company's private lines.

The new documents show data held by the NSA in formats that are otherwise only found on Google and Yahoo's private network ― essentially a smoking gun for the previously alleged network-tapping. In Google's case, it comes from a proprietary network protocol known as a "remote procedure call" that company servers use to verify a server's identity.


【復習】

1. NSAがGoogleやYahooのプライベート・ネットワークを流れるデータまで傍受していた、と報じたのは誰(どこの報道機関)でしょうか?

2. 「動かぬ証拠」としてThe Vergeが挙げているのは、Googleの場合、具体的に何でしょうか。


三国大洋 プロフィール

オンラインニュース編集者。「広く、浅く」をモットーに、シリコンバレー、ハリウッド、ニューヨーク、ワシントンなどの話題を中心に世界のニュースをチェック。「三国大洋のメモ」(ZDNet)「世界エンタメ経済学」(マイナビニュース)のコラムも連載中。


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