スマートでシンプルなセキュリティを――トレンドマイクロのチェン氏が講演脅威のライフサイクル全体に対処

トレンドマイクロは2013年11月14日、年次カンファレンス「Trend Micro Direction」を開催。同社代表取締役社長のエバ・チェン氏らが講演を行った。

» 2013年11月15日 20時57分 公開
[高橋睦美,@IT]

 トレンドマイクロは2013年11月14日、年次カンファレンス「Trend Micro Direction」を開催した。

トレンドマイクロ 代表取締役社長のエバ・チェン氏

 同社代表取締役社長のエバ・チェン氏はオープニングセッションの中で、同社を創設した25年前はまだ「DOS」の時代だったと振り返り、それが今では、コンシューマライゼーションやモバイルデバイスの普及、クラウドの浸透といった大きな変化に囲まれていると指摘した。

 「モバイルデバイスの普及や個人所有端末の活用の広がりに伴い、これまでの、エンドポイントで実施するだけのセキュリティはもはや通用しなくなった。また、仮想化やクラウド、SDNといった潮流によって、境界防御型のセキュリティでは不十分になっている。異なる境界にまたがった、コンテキストに応じたセキュリティが必要だ」(チェン氏)。

 トレンドマイクロではこうした問題意識に立って、「スマートで、シンプルかつ環境やエコシステムにフィットするセキュリティ」を提供していくという。具体的には、複数のイベントの相関分析と、グローバルに収集した脅威情報とを突き合わせ、本当にクリティカルなイベントを見つけ出す。そして、単にポイントで防御を図るのではなく、メールやエンドポイントなど複数の防御手段でそれぞれの局面に応じた対策を実施する、といった具合だ。

 さらに、こうして得られた情報を基に、ほかにも社内に疑わしい動向が見られないかをチェックしたり、端末の対策状況、具体的にはパッチの適用状況などを確認することで、戦略的に、脅威のライフサイクル全体にまたがるセキュリティを実現していくことができるという。

 チェン氏は、架空の企業を舞台に、「Deep Discovery」といった監視ソリューションや、脅威情報の提供サイト「Threat Connect」などを用いて、こうした一連の流れをサポートできると説明。さらに、一連の情報は集中管理が可能なコンソールで把握できるため、シンプルな運用が可能だと述べた。

 チェン氏は最後に、2020年の東京オリンピック開催にも言及。7年後の世界がどのように変化しているかは分からないとしながらも、「その世界を保護するためのソリューションに全力を注いでいく」と宣言した。

セキュリティは企業の成長を後押しする

 続いてキーノートセッションに登場した、米国の独立系非営利調査機関、U.S Cyber Consequences Unitの理事長兼主席エコノミストであるスコット・ボーグ氏は、「サイバーセキュリティはよくないものととらえられがちだ。しかし本当はそうではなく、新たな価値を作り出し、新しいビジネスチャンスやメリットを生み出すものだ」と述べた。

 ボーグ氏は、モバイル情報を活用したさまざまな支援や遠隔地を結んでのサービス、家電だけでなく産業機器なども含んだスマート化といった分野に、まだ大きな成長の余地があると指摘。しかしそのいずれにおいても、セキュリティ上の課題が残されているという。裏を返せば、セキュリティを確保することで、こうした分野での競争において優位に立てるということだ。

 ボーグ氏は、企業の知的財産を狙うサイバー犯罪が横行している現状において、「よりよいサイバーセキュリティの実現は、企業に財務的な利益をもたらす。コストを下げ、知的財産を保護することでシェアを確保できる」と述べた。そして、「セキュリティ戦略は企業の成長をサポートするのだということを経営層に説明できれば、その予算は正当化できる」と、会場のCSO、CISOらに呼び掛けた。

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