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» 2013年11月28日 18時00分 UPDATE

三国大洋の箸休め(17):英語の読み方・ニュースの読み方――アップルのデータセンターでは羊が下草を食む (1/2)

今回は、アップルが米ノースカロライナ州のメイデンという町の近くに作った巨大データセンターについて詳しくレポートしたGigaOMの記事をネタに、英語ニュースの読み方についてのティップスを記してみる。

[三国大洋,@IT]

 今回は、アップルが米ノースカロライナ州のメイデンという町の近くに作った巨大データセンターについて詳しくレポートしたGigaOMの記事をネタに、英語ニュースの読み方についてのティップスを記してみる。

今日の例文

Last week a utility in North Carolina announced something seemingly mundane on the surface, but it was a transcendent moment for those that have been following the clean energy sector. Duke Energy, which generates the bulk of its energy in the state from dirty and aging coal and nuclear plants, officially asked the state’s regulators if it could sell clean power (from new sources like solar and wind farms) to large energy customers that were willing to buy it ― and yes, shockingly enough, thanks to restrictive regulations and an electricity industry that moves at a glacial pace, this previously wasn’t allowed.

For years Duke Energy largely ignored clean energy in North Carolina (with a few exceptions), mostly with the explanation that customers wouldn’t pay a premium for it. But turns out when those large energy customers are internet companies ― with global influential consumer brands, huge data centers that suck up lots of energy and large margins that given them leeway to experiment ― they can be pretty persuasive.

Special report: Apple’s ground-breaking bet on its clean energy infrastructure, with exclusive photos - GigaOM

http://gigaom.com/2013/11/18/apple-solar-farm-fuel-cell-farms-exclusive-photos-investigative-report/


ワード&フレーズ

 では、上記の例文に出てきたキーワードとキーフレーズを見ていこう。

原文
utility 公益事業体(電力、ガス、水道会社など)
mundane ありふれた、ありきたりな
transcendent "transcend"(〜を越える、超越する)の形容詞形;「変容」「大きな変化(が生じる)」といった感じで使われることが多い印象
clean energy sector クリーンエネルギー分野
(be) willing to 〜 〜する意向がある、〜しても構わない
(move) at a glacial pace 氷山のようなペースで(動く)
exception 例外
premium プレミアム、割増料金
suck (up) 大量に消費する
leeway (〜の)余地がある、(〜する余裕)のある

ニュースの背景

 アップルが米ノースカロライナ州のメイデンという町の近くに作った巨大データセンターについては、計画発表時から何度かニュースになっていた。

 一説には総工費10億ドル級のプロジェクトとされるこのデータセンターは、その規模の大きさだけではなく、再生エネルギーの積極活用という点から脚光を浴びることもある。今回引用した一節が含まれるGigaOMの記事も、その点を(かなり詳しく)伝えたもの。見出しに「Special report」と入れているだけのことはあり、ずいぶんとボリュームのある記事になっている。

 そのせいで、全体に目を通すだけでも一苦労かもしれないが、中に挿入されている写真――延々と続くソーラーパネルの連なりなど――だけでも「一見の価値あり」かもしれない(データセンター全体の広大さを伝える航空写真を目にした覚えはあるが、敷地内でこれほど近くから撮影された写真を目にした記憶はない)。

 日本でも、特に2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が始まって以来、「メガソーラー」といった言葉を見聞きすることが多くなった。全国各地での大規模プロジェクトの発表を伝えるニュースを、経済紙(のWebサイト)などで頻繁に目にするようになっている。

 実際、この原稿を書きながら「念のため」と検索してみたところ、『ソフトバンクと三井物産、福岡・熊本にメガソーラー』といった見出しが早速見つかった。

 この日経の短い記事の中には、「貯炭場だった土地約50万平方メートルを借りて、メガソーラーを建設」「出力は荒尾市で約22メガ(メガは100万)ワット、大牟田市で約20メガワット。2基合計で一般家庭の約1万2000世帯分の年間電力消費量を発電する計画」といった記述があって目を引く。アップルのデータセンターに付随するソーラーファームもほぼ同じくらいの規模――「それぞれ20MWの施設が2カ所ある」とGigaOM記事にあるからだ。

 太陽光発電に使う敷地の広さについて、「50万平方メートル」とか「100エーカー」とか書かれても私にはちょっと想像がつきにくいが、それに対して「一般家庭の約1万2000世帯分」などとあると、何となく分かったような気になれる。

 なお、ノースカロライナのアップルデータセンターには、ソーラーファーム(20MW×2カ所)に加えて、計10MWの発電能力を持つ燃料電池、「Bloom エナジーサーバー」(1基当たりの出力は200KW)が50基もあり、合計の発電能力は50KW。ざっくりと(日本の家庭に換算して)1万4000〜1万5000世帯分という感じか。それだけの電気がiTunes StoreやiCouldを動かし続けるために使われている、といった推測も成り立ちそうだ。

なぜIT大手はノースカロライナ州にデータセンターを置くのか

 例文に話を戻すと、デューク・エナジー(Duke Energy)というのは米国でも有数の電力会社の1つ。Wikipediaにある説明を見ると、もともとタバコで巨万の富を築いたデューク一族――その躍進の立役者とされるJames Buchanan Dukeなる人物が同社の創成期に関わっていた――などとある。

 ちなみに、この一族の基金を使って創立されたのが、東部の名門校の1つであるデューク大学(Duke University)。アップルのティム・クック(CEO)やエディ・キュー(ネット関連担当役員)、シスコシステムズのジョン・チェンバース(CEO)、それにメリンダ・ゲイツ(ビル・ゲイツ夫人)なども卒業した文武両道で知られる私立大学だが、その話はひとまず脇に置く。

 ノースカロライナ州には、アップルの他に、グーグルやフェイスブックなどもそれぞれデータセンターを設けている。GigaOMの記事中に埋め込まれた地図を見ると、3社のデータセンターが割と近いところに固まって建設されていることも分かる。

 このデータセンター集中の大きな理由は、やはり電気料金の安さ。デューク・エナジーが石炭式火力発電所や原子力発電所で作った安い電力を供給できる状況があるからだ。だが、そうした“ダーティ”なエネルギー源に対する批判が高まっているのは米国でも変わらない。

 1年ほど前のハリケーン・サンディで大変な目に遭ったマイケル・ブルームバーグ(元NYC市長、無所属)が、直後に迫っていた大統領選で「民主党のオバマに投票しよう」と呼び掛けていたが、それもやはり、オバマの方が(ミット・ロムニーよりも)温暖化対策に積極的、という理由からだった。

 そうした流れの中では、アップルやグーグルといったコンシューマブランドでも、地球温暖化の点であまりよろしくないとされる化石燃料から作った電力を使い続けていては大いに評判に関わる。

 ただし、電力業界というのは氷山のようにゆっくりとしたスピードでしか動かず、それを受け身で待っていたら何も進まない。だから、いっそ自前で(ソーラーファームを)作ってしまえ……アップルのデータセンターとソーラーファームの建設にはそんな経緯があったということが、この記事からは伝わってくる。

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