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» 2013年12月05日 15時33分 UPDATE

Windows Server 2012 R2時代のHyper-Vサーバ設計術:第4回 クラスタリングとライセンス・コストを考慮した全体設計 (3/4)

[小川大地(Microsoft MVP for Virtual Machine),日本ヒューレット・パッカード]

 ハードウェアの価格は年々下落しているが、ソフトウェアの価格はそれほど下落していない。となると、サーバ仮想化が進めば進むほどライセンス・コストは馬鹿にならなくなってくるだろう。しかしながら、うまく設計することで大きなコスト削減ができるかもしれない。

ホスト・クラスタリングでフェイルオーバー範囲を限定する

 ホスト・クラスタリングを行う場合、「フェイルオーバー先にもあらかじめライセンスを購入しておかなければならない」と定めているソフトウェアがある。データベースのようなミドルウェア・パッケージなどに多い課金ルールだ。

 このようなソフトウェアのライセンス・コストを抑えたい場合、考えられる方法の1つは、利用したいソフトウェアごとにクラスタを分離する方法だ(図7)。しかし、この方法はライセンス・コストこそ削減できるものの、物理サーバの台数が増えてしまいがちである。

図7「ホスト・クラスタリングでのライセンス・コストを削減する方法(1)」 図7「ホスト・クラスタリングでのライセンス・コストを削減する方法(1)」
ミドルウェアごとにクラスタを分離し、物理サーバの台数を必要最低限にすることでフェイルオーバーの範囲を狭められる。これによってライセンス・コストは削減できるが、逆に物理サーバ台数が増えてしまいがちだ。

 では、どのようにするのがよりよい方法といえるだろうか?

 図8のように、クラスタは分離せず1つのままでありながら、仮想マシンのフェイルオーバー範囲を限定できれば、物理サーバの台数を増やさずにライセンス・コストを削減できる。

図8「ホスト・クラスタリングでのライセンスコストを削減する方法(2)」 図8「ホスト・クラスタリングでのライセンスコストを削減する方法(2)」
もし、仮想マシンのフェイルオーバー範囲を特定のホストだけに限定できれば、物理サーバの台数を増やさずにライセンス・コストの削減が可能になる。

 このコスト削減テクニックをHyper-Vで実現するにはどうすればよいだろうか?

 Hyper-Vでは、このような「仮想マシンの実行ホストの制限」をOS標準の機能だけで簡単に実現できる。ホスト・クラスタリングの構成に利用したフェイルオーバー・クラスタ・マネージャ(WSFCマネージャ)より、「実行可能な所有者」欄の中で、移動してほしくないホストにチェックを入れるだけである(図9)。

図9「仮想マシンの実行ホストの制限」
図9「仮想マシンの実行ホストの制限」 図9「仮想マシンの実行ホストの制限」
Hyper-Vでは、OSの標準機能だけで仮想マシンのフェイルオーバー範囲を特定のホストに限定できる。これにより、クラスタのノード数(Hyper-Vホストの数)だけ二重・三重にも課金されてしまうミドルウェア製品のライセンス・コストを大きく削減できる。
  (1)WSFCマネージャで「実行可能な所有者」のチェックを外すと、そのホストでは仮想マシンの実行が禁止される。この設定は仮想マシン単位であり、ホスト・クラスタリングによる自動フェイルオーバーやライブ・マイグレーションによる手動移動のどちらにも有効。
  (2)こちらの「優先所有者」を設定することで、フェイルオーバー先ホストを指定することもできる。スタンバイ・ホストを設けるような、完全なN+1運用で特に有効だ。

 なお、このようなミドルウェアの筆頭としてMicrosoft SQL Server(MSSQL)などが挙げられる。MSSQLは昨今、基幹用途のみならず、管理系ツールの設定情報やログなどを格納するデータベースとしても広く利用されており、仮想化で使われる機会が増えている。また、次のような特例も認められているため、上手に活用していきたい。

  • 図8図9の例のように、N+1運用の場合、「+1」となるスタンバイ・ホストのMSSQLのライセンスは必要ない。
  • MSSQLのSA(Software Assurance)を追加購入している場合、クラスタ・ノード数分の多重課金が免除される(ライセンス・モビリティ特典)。

 詳細については、以下の資料を参照していただきたい。

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