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» 2013年12月06日 18時00分 UPDATE

【徹底解剖】System Center 2012 R2(1):クラウド時代の運用管理を強力に支援するSystem Center 2012 R2 (1/2)

System Center 2012 R2は、Windows Server 2012 R2への対応とプライベートクラウドとパブリッククラウドを連携したハイブリッドクラウドへの対応強化が行われた最新の運用管理スイート製品である。企業においてはプライベートクラウドだけではなく、パブリッククラウドの利用も考慮する必要があり、両者のシームレスな連携は欠かせない。System Center 2012は、そうしたハイブリッドクラウド環境を効率よく運用管理するため、大幅にブラッシュアップされている。

[阿部直樹,エディフィストラーニング株式会社]

クラウドの運用管理環境をワンパッケージで

 System Center 2012 R2は、企業や組織のプライベートクラウドと、サービスプロバイダーが提供するパブリッククラウドに対して、一貫性のある操作や機能を提供する。具体的には、企業のプライベートクラウドを展開、管理、運用、自動化、および監視するためのコンポーネントを提供する。

 System Center 2012 R2は8つのコンポーネント(アプリケーション)からなるスイート製品として提供されている。それぞれの製品概要を紹介していこう。

仮想化基盤を管理、運用するVirtual Machine Manager

 System Center Virtual Machine Manager(SCVMM)は、プライベートクラウドおよびサービスプロバイダーのクラウドのインフラストラクチャと仮想化基盤を構築するための統合管理ツールだ。SCVMMを使うことで、仮想インフラストラクチャを展開および管理、また仮想化環境だけではなく、ホスト、記憶域、ネットワーク、ライブラリ、更新サーバーなどのコンポーネントの管理も行える。

 SCVMMはWindows ServerのHyper-Vホストだけではなく、クロスプラットフォーム管理にも対応しており、シトリックスのXenServerホストおよびプールの管理も可能だ。また、VMware vSphereとの統合によりVMware ESXホストをサポートする。

 容易な仮想化基盤構築を行うための機能も充実している。その一例として、仮想化ホストの展開の自動化が挙げられる。多くの企業では仮想化ホストを構築する際、手動でのOSインストール、Hyper-Vインストールなどの各種設定、仮想化基盤への参加(エージェントインストール)というプロセスを経るが、SCVMMにおいてはベアメタル展開機能を使用することによって、全自動でSCVMMの管理対象まで行うことができる。

図1 図1:ベアメタル展開による仮想化ホストの追加

プライベート、パブリッククラウド基盤の稼働監視Operations Manager

 System Center Operations Manager(SCOM)は、システム全体の稼働監視と、アプリケーションの可用性およびパフォーマンス監視、アラートを行う統合監視ツールだ。Windowsベースのシステムだけではなく、UNIX/Linux、ネットワークデバイス、Windows Azureの監視も可能である。

 SCOMは、System Centerの他のコンポーネント(SCVMM、Service Manager、Orchestratorなど)と連携することで、エラー、パフォーマンスの問題、および停止に対応した自動化された修復方法を提供できる。また、SCOMには各種アプリケーションに対応した管理パック(Management Pack)が提供されており、これを導入することで多くの運用管理に関するノウハウをSCOM上で入手できるようになる。一概にアプリケーション監視といっても、監視対象となるアプリケーションのアーキテクチャを理解せずに監視を行うことは難しいが、管理パックにはアプリケーションごとの監視パラメーターのしきい値やナレッジなどが設定された状態で提供されているので、そのアプリケーションのプロフェッショナルでなくても容易に監視作業を行える。

 マイクロソフトでは自社製品に対応した管理パックを提供しているので、Windows Serverの状態を監視する場合には重宝するだろう。また、サードパーティ製ハードウェアやソフトウェアコンポーネントなど、マイクロソフト以外のアプリケーションやシステムを監視するための管理パックも提供されている(無償と有償のものがある)ので、マルチベンダーで構成されたプライベートクラウド環境においても一元管理が可能だ。

セルフサービスポータルによる運用管理App Controller

 System Center App Controller(SCAC)は、SCVMMで構築したプライベートクラウド、Windows Azure、およびサービスプロバイダーのクラウドに対応した、ハイブリッドなクラウド管理ポータルを提供する。

 これにより、利用者に対してWindows AzureサブスクリプションIDを隠ぺいした状態でWindows Azure環境を提供することができるので、企業が管理しているIDが漏えいする心配をせずにクラウド環境を使用することが可能だ。

 ユーザーはSCACのポータルサイトに接続して、SCVMMより設定されたロールに沿った運用管理ができる。クラウドとの接続も可能なので、仮想マシンを展開する場所はプライベートクラウドだけではなく、パブリッククラウドへの展開も可能となる。

 SCACを利用することで、SCACのポータルを起点としてハイブリッドクラウドを管理することができ他、プライベートクラウドクラウド上の仮想マシンをパブリッククラウドであるWindows Azureへ移行することも容易になる。また、その逆も可能だ。

図2 図2:App Controllerによってプライベートクラウド(SCVMM)はもちろん、Windows Azureなどの管理を1カ所からまとめて行える

ITプロセスの自動化ソリューションOrchestrator

 System Center Orchestratorは、システムの運用管理に伴うさまざまタスクをRunbookとしてデザインし、ITプロセスの自動化をノンコーディングで実現する自動化ツールだ。また、System CenterのREST APIであるService Provider Foundation(SPF)を利用することで、Azure Packと連携し、ユーザーによるカスタマイズ可能なポータルを提供できる。

 企業のIT管理者は、インフラストラクチャの高可用性と信頼性を確保するために、数多くの日常タスクを実行しなければならない。しかし、多くの場合それらの日常タスクは定型のものなので自動化を行うことによって、業務の効率化が可能になるだろう。

 また、Orchestratorは多用な機能を実行するためのアクティビティ(活動)が組み込まれており、ノンコーディングで自動化を行うことができるのが最大の特徴だ。インストール時のアクティビティは限られているが、「統合パック」でさまざまな機能を追加できるので、各種アプリケーションとの連携なども容易に自動化できる。統合パックには、Runbookのアクティビティとオブジェクトが含まれており、各種Windowsコンポーネントやサードパーティ製コンポーネントに対応するようOrchestratorの機能追加ができる。

図3 図3:RunbookによるITプロセスの自動化例

プライベートクラウドシステムの構成管理Configuration Manager

 System Center Configuration Manager(SCCM)は、WindowsベースのPCおよびサーバーだけでなく、UNIX/Linux、Mac OS、およびモバイルデバイスに対応したシステム構成管理ツールだ。

 System Center製品群で最も歴史の長い製品で、「Systems Management Server(SMS)」がその前身となる。SCCMはOSの自動展開や、アプリケーションの展開、ソフトウェア更新管理、リモートでのクライアント制御、コンプライアンス設定管理、インベントリ管理など、さまざまな機能を備える。

 近年、BYODが注目を集めているが、SCCMを使用すればモバイルデバイス管理もできるので先進的なシステム構築、運用管理の後押しとなるだろう。また、マイクロソフトのクラウドベースの管理ツール「Windows Intune」と連携することで、Windows 8.1、Windows RT 8.1、iOS、Androidなどを対象にアプリケーションやセキュリティ構成の配布、企業データのリモートワイプなどを実現できる。

図4 図4:Windows Intuneで管理されているデバイスに対し、SCCMのコンソールからリモートワイプの指示を出す

企業向けマルウェア対策ソリューションEndpoint Protection

 System Center Endpoint Protection(SCEP)は、Windows、Linux、Mac OSに対応したマルウェア対策ツールである。マルウェアやスパイウェアなどの検出・除去を行うことができる他、SCCMとの連携により、マルウェア対策、セキュリティ修正プログラムの適用、関連タスクのリアルタイム管理アクション、インベントリ、およびコンピュータの使用状況の情報を集約し、クライアントシステムのコンプライアンスとセキュリティを単一のビューで表示することができる。

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