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» 2013年12月10日 18時55分 UPDATE

今後は業種別テンプレートも拡大:300億件のデータから30秒でバスケット分析結果を――米トレジャーデータが新サービスを発表

トレジャーデータが、サービスラインアップを強化する。従来の10〜50倍の応答性能が見込めるアドホッククエリ機能や簡易なクエリ生成のためのBIツール、企業向けサポートの拡充などを本格的に展開する。

[原田美穂,@IT]

 米トレジャーデータは2013年12月9日、新サービスの発表を行った。今回発表になったのは、アドホックなクエリを受け付ける応答速度の速い「Treasure Query Accelerator」機能の提供と、SQLクエリなしで、UIのみで操作できるBI機能「Treasure Viewer」、より大規模なデータ量で専任技術者によるサポートが付く、上位のサービス利用プランだ。

アドホッククエリ機能「Treasure Query Accelerator(TQA)」

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 アドホッククエリ機能「Treasure Query Accelerator(TQA)」について、米トレジャーデータCEOである太田一樹氏は、「現在は多くの顧客が定型レポートを使っている。ユーザーの次のステップは、レポートをアドホックにすることにある。ここまでの機能を提供できれば、現在の市場にあるほとんどのニーズをカバーできると考えている」と語った。

 最近ではApache Hadoop向けに応答速度を重視したSQLクエリを受け付ける仕組みが複数開発されているが、これらのうちどのプロダクトがベースになっているのかについて、太田氏は明言を避けた。

 「我々としては、内部でどのような技術になっていようとも、アドホックにクエリを受け付け、即応する仕組みを提供し続ける。例えばAというプロダクトの開発が停滞したとしても、そこはプロダクトそのものを置き替えるなり、開発するなりの方法でサービスを提供し続けられるのがトレジャーデータである、と理解してほしい」(太田氏)

 TQAは、特に小売業界で高く評価されているという。この機能では、過去数年間蓄積してきた数百億件のデータから、その場でリアルタイムにバスケット分析の結果を見ることができる。マーケティング会議の現場ですぐに検討できる点がニーズに合致しているようだ。太田氏によると、「自社ユーザーの実データで検証した数値として、300億件のPOSデータからバスケット分析の結果を得るのに約30秒」であったという。この応答速度は「従来の10〜50倍は高速」だという。

ユーザーの利便性のためのUI、サポートの追加

 同社のサービスは商用BI製品などと組み合わせて利用されるケースが多い。今回同社が自前で提供するBI機能「Treasure Viewer」は、こうした高度なBI製品を置き替えるものとは異なるようだ。

 「Treasure Viewerは、SQLが書けなくてもひとまずはGUI上で当社の分析サービスを利用できるようにすることを目的に作られている簡易なもの。ユーザー企業のデータ分析担当者が必ずしもSQLクエリを駆使できるとは限らないからだ。より複雑な分析にはやはりBIツールを使うべき」(太田氏)

 同社サービスが広まるにつれ、顧客ニーズを取り込んだサービス、メニューが追加されている印象だ。併せて発表となった「プレミアム」プランは年間500億件のデータ保存が可能で、前述のアドホッククエリ機能であるTQAを利用できる月額7500ドルのプランだ。プレミアムプランでは専任のサポート技術者が付く。年間20億件までのデータ保存ができる無料の「スターター」プラン、年間150億件までの「スタンダード」プランの上位に位置付けられる。

M2M領域の「新しいデータ」を分析するニーズを吸い上げられるか

 この日は、「無印良品」を手掛ける良品計画におけるオンライン顧客分析への採用、グリーにおける顧客情報分析への採用も併せて公表している。e-コマースやWebマーケティング、ソーシャルゲーム市場など、比較的先進的なテクノロジへのハードルが低い領域での採用が進んでいるが、今後の日本市場での展開に付いて、同社日本法人のジェネラルマネージャーである堀内建后氏は、「製造業の多い日本ではIoT(Internet of Things)やM2M(Machine to Machine)などの市場を開拓していきたい」と語っている。

 日本国内の比較的保守的な企業では、クラウドサービスでのデータ蓄積や分析には抵抗がある企業が多そうだが、この点はどう考えているだろうか。

 「実は日本の製造業大手企業からも頻繁に問い合わせがある。(製品戦略や事業戦略にも関わる領域であることから)事例としての公表は難しいものが多いが、今後はe-コマースやWebマーケティング、ソーシャルゲーム市場だけでなく、ヘルスケアやM2M系のソリューション展開も考えられる」(太田氏)

 また、よりユーザー企業が導入しやすい形態も模索しているところだという。

 「数百社の顧客ニーズを見ていくと、業種ごとに必要とされる分析が類型化できることが分かってきた。今後は、業界別テンプレートを拡充し、短期導入できるパッケージを増やしていきたい」(太田氏)

 現在、トレジャーデータは、データ収集・ログ蓄積および分析に至る、データ活用のサイクルをクラウドサービスとして提供している。自前のデータセンターは持っておらず、AWSの東海岸リージョンに置いている。

 「自前データセンターを検討すべき時期は間もなくだと思っているが、現在は、それよりも急なデータ増加に対しての即応性が重要。明日から数億件データが増える、というケースでも受け入れられることが重要だ。それには、いまのところAWS環境ですぐスケールすることのメリットが大きい」(太田氏)

 もちろん、現在はAWSが一強といってもよい状況だが、多くの企業がこの市場に参入しており「現在は今後の動向を注視している段階。自社で保有するタイミングも将来的には検討している」(太田氏)

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