運用自動化ツールは経営の武器へ運用自動化ツールまとめ(外資ベンダー編)(2/3 ページ)

» 2014年01月09日 18時00分 公開
[編集部@IT]

ITリソース提供のセルフサービス化を支援――CA Technologies「CA Automation Suite for Clouds」

 CA Technologiesが2011年7月から提供している「CA Automation Suite for Clouds」は、プライベートクラウド環境の実現を支援する製品群だ。特に、プライベートクラウドの入り口となるサーバー仮想化については、2008年以降に加速したサーバー統合のトレンドが、仮想サーバーの無秩序な増加と運用負担の増大をもたらしたことも問題となっている。この点で、本製品はビジネス展開のスピードアップなど、「仮想化に本来期待されていた機能を提供するための製品群」としても支持されているという。

ALT 図4 CA Automation Suite for Cloudsの概念図。CA Process Automationが複数の運用自動化製品を制御して、各種運用作業を自動化する《クリックで拡大》(資料は2012年12月の取材時のもの)

 CA Automation Suite for Cloudsは、「複数のツールを使った、複数のステップを踏む作業」を運用手順書に沿って自動化する「CA Process Automation」をはじめ、仮想サーバーのプロビジョニングなどを行う「CA Server Automation」、システムの構成管理を行う「CA Configuration Automation」、よく使うシステム構成をカタログ化し、サービスポータルを通じてユーザー部門と共有する「CA Service Catalog」などで構成する。これらの組み合わせにより、ユーザー部門のリクエストに応じて自動的にITリソースを提供できる環境を実現する。

 CA Server Automationは、物理、仮想、パブリッククラウド環境において、物理/仮想サーバーの配備に必要な、OS、ストレージ、アプリケーションのプロビジョニングを自動化する製品。CPUの容量など、必要なリソースを自動的に確保する他、サーバー提供に伴う課金管理やリポート自動作成機能も持つ。例えば、よく使われる仮想サーバーのスペックをテンプレートとして登録しておけば、必要なテンプレートを選ぶだけでプロビジョニングできる。そのため、IT部門の手を借りずにエンドユーザー自身で仮想サーバーを入手できる環境も整えられる。

 CA Configuration Automationは、ネットワーク機器やサーバー、OS、アプリケーション、データベースなどをエージェントレスで自動的に検出して構成設定を確認。仮想環境のシステム構成を可視化し、トポロジーマップを作成する。これにより、“今のシステム構成”を正確に把握できる。

ALT 図5 CA Configuration Automationの管理画面。エージェントレスで情報を収集し、今のシステム構成を正確に可視化する(資料は2012年12月の取材時のもの)

 あらかじめスナップショットで取っておいたシステム構成を基準とし、それと照らし合わせて自動/手動で修正することで、“あるべきシステム構成”を堅持できることもポイントだ。システム構成の秩序を保つことで、仮想サーバー乱立の抑止、ダウンタイムの防止など、ガバナンスと安定運用の担保に寄与する。1000を超える業界標準ポリシーを搭載しており、今のシステム構成がSOX法などのコンプライアンス基準に沿っているかどうかを監査、自動的に修正できる点も特徴だ。

 CA Service Catalogは、仮想サーバーの予約やデータベース管理など、上記ツールを使って「IT部門が提供できるサービス」をカタログとして公開。業務部門のエンドユーザーに、ITリソースをセルフサービスで提供するポータルとして機能し、リクエストの受け付け機能や、その後の承認フロー機能などを実装している。

ポータルから申請すると、自動的にITサービスを提供

 一方、こうした各種自動化製品の頭脳の役割を果たすのが、「CA Process Automation」だ。Runbook Automation機能により、あらかじめ設定した運用手順に沿って各製品を制御することで、サービスカタログの提供から、エンドユーザーのリクエストに応じた仮想サーバーのプロビジョニング、OS/ソフトウェアの設定、それに伴う承認フローまで、一連の作業を自動化できる。

 特徴は、「コネクタ」と呼ばれる各種運用作業部品を用意していること。何らかの作業に伴う「関係者への電子メールの通知」など、基本的な運用管理作業部品を100種類、Oracle DatabaseやMicrosoft SQL Serverを使った作業などに対応するサードパーティー製のコネクタも82種類用意している(2012年12月の取材時点)。CAはこれを随時追加していくという。

ALT 図6 CA Process Automationの管理画面。用意されている運用管理作業部品をGUIツール上で選んで線でつないでいくだけで運用手順を定義可能(資料は2012年12月の取材時のもの)

 業務プロセスは、管理画面上で必要なコネクタを選んで、ドラッグ&ドロップで配置、線でつないでいくだけで定義可能。例えばエンドユーザーから仮想サーバー配備のリクエストがあった場合は、CA Process AutomationがCA Service Catalog とCA Server Automationを統制。エンドユーザーの配備申請受付から、その承認作業、サーバー構築・配備、課金処理まで、人が判断するステップも含めて一連のフローを自動化できる。エンドユーザーはCA Service Catalogのポータル画面で、仮想サーバーの申請や希望する設定などを入力したり、承認処理や課金データなどを確認したりすることができる。これにより、IT部門の手を借りずに“IT利用のセルフサービス”が行えるプライベートクラウド環境が整う仕組みだ。

 仮想サーバーだけではなく、上位のサービスレイヤーも含めたプロビジョニングなど、より複雑な作業を自動化できることも特徴の1つ。例えばWikiサービスを立ち上げる場合、仮想サーバーを複数用意した後、各種アプリケーションのインストールを行うことになるが、CA Service Catalogのポータル画面ではApacheのインストールやMySQLのインストール、セットアップなども含めた運用手順を定義できる。このため、複雑な作業が必要なサービスも効率的に立ち上げることができるという。

 昨今、コスト削減を主目的としたサーバー仮想化が当たり前のものとなる一方で、ビジネス展開のスピードアップというサーバー仮想化本来のメリットを享受できていないケースが目立っている。その点、本製品が支援する「リクエストに応じた自動的なリソース配備」とは、“すぐに業務で使える状態でITサービスを提供する”環境が整うことを意味する。この「ITをサービスとして提供する」という考え方は、ビジネスへの寄与が求められている現在の情報システム部門にとって非常に重要な概念だ。自動化ツールが実現するゴールと自社のシステム運用の現状を比較してみると、合理的なサービス提供に向けたヒントが得られるのではないだろうか。

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