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» 2014年01月20日 00時00分 UPDATE

プログラマ社長のコラム「エンジニア、起業のススメ」(7):必要なのは夢ではない、付加価値だ (1/2)

起業家に必要なのは、斬新なアイデアか、高い技術力か。もしくは大きな夢や志か―― いや、現実はもっとシンプルだ

[Engine Yard Tim Romero(ティム・ロメロ),@IT]

 今回は、かなり個人的な内容だ。大半は、生産性の高い満ち足りたプログラマーから、最初は渋々だったものの、最終的にはアントレプレナー(起業家)の成功者となった個人的な変遷の話だ。開発者やエンジニア読者、幾人かの役に立てたら幸いだ。

誰かが売らねばならない

 私はデータベースプログラマーとしてテクノロジーの仕事を始めた。プログラミングがとても好きだし、かなり得意だとも思っている。

 プログラミングは最もやりがいのある専門的作業だ。ソフトウェア開発には創造性に富んだ問題解決と実用性が独特に組み合わさっている。そこに注がれる技術や芸術性は、壁に貼られてつるされたままになったり、MP3ディスクにしまい込まれてそのうち見つからなくなったりするようなものではない。最終結果は日常的に人々と交流していき、うまくいけばユーザーの日常生活を(ごくわずかでも)より良いものに変えられる。

 1999年、私は数名のプログラマー仲間と共に4カ月間全精力を注ぎ、本当にすばらしいeコマース製品を生み出した。しかし驚いたことに、顧客は現れず、私たちは誰かが外へ出て売り始める方が良いということに気が付いた。

 厳密には「私」の会社であったので、その責務は私に向けられた。

 内向的なエンジニアなら誰もがしそうな方法で、私は販売について学ぶことにした。そう、つまり関連書籍を片っ端から読み漁り、勇気が出せそうなことは何でもやってみたのだ。問題は、書籍(1999年当時は紙の本)の大半が進める販売技術が、単純に試してみることが難しいようなものばかりだったということだ。いいかげんなものが多く、全くの詐欺まがいのものまであった。

 悲しいことだが、道徳的にグレーなこれらの技術の多くが汎用化されていた。そこから逆に、「優秀なセールスマンは倫理的にも誠実になれる」だけでなく、真に優秀なセールスマンは「倫理的かつ誠実でなければならない」ことが最終的に分かった。

 そんな中、偶然出くわした著明な著者の一人がZig Zigglerだ。著書や例は少し時代遅れの感はあるが、それでも販売について学ぼうとする人にはお勧めしたい。

求められよ、さらば与えたまへ

 彼の著書の中に、私の販売に対する考え方を根本から覆した一節がある。

 人が望むものを手に入れる手伝いをしていけば、人生で欲しいものは何でも手に入る。

 この格言は、起業家としての核心を突いたものだ。多くの人は、次世代の起業家が「夢を追いかける」「情熱を追い求める」、あるいは単に「トレンドを見い出しその先へ行く」ことをリーダーたちが奨励するものと考えていた。しかしこういった目的の見据え方は、あまりに単純過ぎるように私には思えた。

付加価値を付けろ。

 この20〜30年間の数社にわたる経験から、確実にその会社を成功へと導ける唯一の方法は、顧客の生活に付加価値を与え、顧客が望むものを得られる手助けをすることだと考えるようになった。

 価値を中心に据えた製品作りのための基本的な3つのステップはこうだ。

  • 自らの価値を確認する
  • その価値に集中する
  • その価値を高め、拡大させる

 「自らの価値を確認する」とは、製品がどのようにして他者が望むものを得るための手助けとなっているかを完全に明らかにすることだ。現在の顧客や潜在顧客と対話し、観察することだけがこれを実践できる唯一の方法だ。

 それにはまず、顧客がどのように製品を使い、どこを気に入っているのかを知る必要がある。顧客との面談では、気に入らない点や使いづらい点に集中してしまうケースが非常に多く見られるが、(こういった情報は確かに有用ではあるが)ユーザーが好きな点を知る方が嫌いな点を知るよりもはるかに重要だ。

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