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» 2014年02月13日 18時00分 UPDATE

事例:博報堂アイ・スタジオの高付加価値クラウドへの挑戦(1):プライベートクラウドの導入理由と、使って分かったIaaSのメリット、デメリット (1/3)

集中するリリースタイミング、高可用性、高トラフィックへの対応など、変化するビジネスに迅速・柔軟に応えなければならない広告業界。デジタルプロモーション分野のスペシャリスト集団、博報堂アイ・スタジオが、その厳しい業務要件に応えるために、プライベートクラウド導入に踏み切った経緯を語る。

[梁取雅夫/矢吹豪,博報堂アイ・スタジオ]

“Webプロモーションの第一線”でプライベートクラウドが求められた理由

 仮想化やSaaS、IaaSを中心としたパブリッククラウドが多くの企業に浸透した現在、プライベートクラウドに対する関心も着実に高まっているようです。アイティメディア TechTargetジャパンが2013年3月に行った読者調査「クラウド導入に関する読者調査リポート」でも、「既に導入済み」と回答した割合は22.7%、「導入予定」は11.3%を記録。2012年に行った同調査では「既に導入済み」が17.0%、「導入予定」は14.1%であったことから、実際に導入に乗り出す動きも少しずつ高まっていることがうかがえます。

ALT 出典:「2012年2月と比較したプライベートクラウドの導入状況」/TechTargetジャパン「クラウド導入に関する読者調査結果リポート(2013年3月) 調査は「プライベートクラウド」を「仮想化や標準化、自動化などの技術を活用し、自社または提供事業者側のデータセンターに自社専用の統合的なシステム環境を構築することによって、ユーザーにコンピュータリソースを柔軟・迅速に提供するサービス」と定義して実施

 プライベートクラウドに期待することとしても、「ITリソースの効率的な利用」(60.3%)、「運用コストの削減」(59.6%)、「運用管理の一元化・効率化」(50.4%)と続いています。

ALT 出典:「プライベートクラウドに期待すること」/TechTargetジャパン「クラウド導入に関する読者調査結果リポート(2013年3月)

参考リンク:TechTargetジャパン「クラウド導入に関する読者調査結果リポート(2013年3月)

 プライベートクラウドの基本要件は、IT基盤を仮想化して全社のリソースを一元管理し、自動化の仕組みによってリソース提供を迅速化・効率化することにあります。前述の導入率と期待項目を併せて見ると、「プライベートクラウド」の理解度・認知度も着実に向上しているといえるのではないでしょうか。ただ関心があるとはいえ、その導入に至るまでには、システム基盤の在り方について、業務要件に基づきつつ、さまざまなことを検討しなければなりません。

 「では今現在、実際にプライベートクラウドを活用している企業は、どのような経緯を経てその導入に至ったのか?」―― 本連載は、そうした@IT編集部のリクエストに応え、弊社、博報堂アイ・スタジオのプライベートクラウド導入事例を、その背景と経緯を含めて紹介していくものです。

 集中するリリースタイミングへの対応や、媒体出稿時の高可用性、高トラフィックへの対応、大規模プロモーションに対応するスケーリングなど、移り変わるビジネス要件に迅速・柔軟に応えなければならない広告業界。こうした要件に応えるために、弊社でも物理サーバーの時代から、さまざまな検討・施策を実施してきました。「プライベートクラウドに関心はあるが、導入には不安がある」「どのような要件に、どのようなメリットをもたらしてくれるのか知りたい」といった方々に、プライベートクラウド導入までの道のりを、ぜひ参考にしていただければと思います。

優れたクリエイティブと、スピード・柔軟性のあるシステム運用がキモ

 本論に入る前に、まず弊社のビジネスを紹介しておきましょう。博報堂アイ・スタジオは博報堂DYグループのデジタルプロモーションにおける制作・運用を担当する会社として2000年6月に設立されました。「Interactive Creative Frontline」の企業理念の下、多数のデジタル表現を世の中に送り出しています。カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルやアジア太平洋広告祭などにも作品を出展しており、うれしいことに何度か賞も頂いています。

 社員数は現在300名ほど。職種としてはアカウント、企画、デザイナー、映像制作、フロントエンドエンジニア、サーバーサイドエンジニア、インフラエンジニア、解析エンジニア、事務局、マーケティングなど、さまざまな仕事を専門的に行うデジタル領域のスペシャリスト集団となっています。

 最近の取り組みとしては、デジタル領域全般の受託制作(企画/制作/開発/運営/コンサルティング)を主業務としながら、「Yahoo! JAPAN年賀状」といったクラウドサービスをはじめ、スマートデバイス向けのサービス開発やアプリ制作、SNS、O2O(Online to Offline:インターネット上の施策をリアルでのマーケティング施策につなげる取り組み)領域でのソリューションも提供。膨大な同時アクセス数、注文数といった、サーバー負担の多いサービス運用の経験を通じて蓄積した多くのナレッジ・ノウハウを、クライアント企業のWeb制作時にも生かしています。

ALT 博報堂アイ・スタジオの自社事業「Yahoo! JAPAN年賀状」。ヤフーとの共同事業で、お年玉付き年賀はがきでの年賀状デザイン作成や宛名入力、さらに印刷から投函まで、全てをインターネット上で可能にしたサービスだ。2013年はスマートフォンアプリ「スマホで年賀状」を加えサービスを拡大した。

 次のページでは、こうした広告業界特有のシステム要件を紹介します。

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