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» 2014年02月07日 18時00分 UPDATE

特集:これからのIaaSニーズと失敗しない選択基準(2):本当に自社に合う“IaaS選びの鉄則”とは? (1/3)

IaaS市場にはAWSをはじめ数多くの選択肢がある。クラウドを本当に使いこなすために、今あらためて持つべき選択・活用の着眼点とは何か? 多数のクラウド案件を手掛けるSIer、TISに中立的な観点から話を聞いた。

[吉村哲樹,@IT]

IaaS市場のトップを走り続けるAWSと、増え続ける選択肢

 現在、IaaS市場ではAmazon Web Services(以下、AWS)が先頭をひた走っている。IaaSの先駆者でありながら、新たな機能をスピーディにリリースし続けるスタンスを評価する声も多く、日本国内でも多数の企業がAWSを使ったIT基盤を運用している。

 ただ周知の通り、昨今はIaaSプロバイダーが増加し、企業にとってはAWS以外にも選択肢が広がりつつある。市場概況については本特集第1回「発展途上にあるIaaS、いま着眼すべきポイントとは?」に詳しいが、記事中でも指摘されていた通り、IaaSをより確実にビジネスメリットにつなげる上では、自社のビジネスゴールに最適な要件を持つIaaSを、技術進化をキャッチアップしながら慎重に見極めていく必要がある。

 ではIaaSを適切に選択するためには、具体的にどのような着眼点を持っていればよいのだろうか?――今回はそうした問題意識に基づき、AWSを使ったシステム構築支援ソリューションとともに、同社独自のIaaS、「TIS Enterprise Ondemand Service」(以下、T.E.O.S)を提供している大手SIerのTISにインタビュー。ユーザー企業のさまざまな課題に最適解を提案している知見を基に、中立的な観点からIaaS選びと使いこなしのポイントを聞いた。

クラウドといえば「AWS」という風潮

 今回、取材に応じてくれたのは、TIS IT基盤サービス本部 IT基盤サービス第1事業部 プラットフォームサービス推進部 主査の内藤稔氏。同氏はAWS認定ソリューションアーキテクトの資格を持つ、同社AWSビジネスの中心人物の1人だ。

ALT TISの内藤稔氏

 同氏によると、「近年寄せられるIaaS関連の相談としては、Webサービス系企業からの相談も多いが、ファイルサーバ―の更改タイミングでIaaSを検討するなど、一般的なエンタープライズ用途の案件も着実に増えている」という。中でもAWSは認知度が高く、「AWSご指名案件は多い」そうだ。同氏は「“AWS一人勝ち”ともいえるこの状況には、それなりの理由がある」と解説する。

 「AWSは技術の進展スピードが非常に速い他、サポートサービスのレベルが高く、日本語でのサポートも受けられる。また、ユーザーコミュニティが活発で周辺情報が充実している点もAWSが広く使われている理由の1つだろう。信頼性やレイテンシへの懸念からか、それまで様子を見ていた企業が、2011年に東京リージョンが開設されたことを機に、本格的に導入を検討し始めた例も多い」

 その背景には、AWS導入事例がメディアでも多数紹介されるなど、圧倒的な知名度・認知度もあるといえるだろう。事実、ユーザー企業との対話においても、「“IaaSといえばAWS”といったイメージが出来上がっている印象もある」という。ただ同時に、「AWSを使えばコストが安くなるのでは? システム運用が簡単になるのでは? といった期待を持って、AWS以外のクラウドサービスを比較検討したり、そもそもクラウドサービスの必要性を深く検討したりすることがないままに、“とにかくAWSを”といった風潮を感じることも多い」という。

 「そこで弊社の場合、まずは顧客企業の業務課題に基づいてコンサルティングを行い、クラウドの必要性自体から検討を始めている。システムに求められる可用性や拡張性、データ保護の在り方など、さまざまな要素を吟味した上で、既存システムをクラウドに移行すべきか否か、顧客企業の目的に応じて総合的に判断する」

 その上で、クラウド利用の必要があると考えれば、AWSかT.E.O.Sかという以前に、まずは『この業務にはクラウドが適する/この分野には適さない』といった具合にクラウド適用の切り分けを行い、ビジネス要件の優先順位に基づいて最適な利用計画を検討、提案するという。

 「クラウドというと『コスト削減』『運用管理の手間が減る』という魅力的な言葉とともに語られることも多い。だが効果的に使うためには、やはりシステムの基本設計や入念な運用設計が不可欠となることは従来と何ら変わらない。ビジネスゴールと自社のシステム環境に照らして、クラウドの必要性自体から検討し、慎重に導入を判断するスタンスが大切だ」

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