プログラミングもクラウドへ―― 学習&開発環境Webサービス23選まとめ安藤幸央のランダウン(67)(3/3 ページ)

» 2014年02月24日 18時00分 公開
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ビジュアル(子ども向け)プログミラングWeb環境5選

 プログラミングの学習サイトに関連して、子ども向けのビジュアルプログラミング環境も紹介します。現在子ども向けのビジュアルプログラミング環境もWebブラウザーで動かせるものが増えています。

読み書きそろばん、プログラミング

 プログラミングを本職とせずとも、少しだけでもプログラミングの素養、基礎を知っていると、便利なことや、理解がスムーズが事柄が多いのではないでしょうか。

 子どものうちに、プログラミングの楽しさや、アルゴリズムや仕組みを学ぶという試みやサービスが増えてきています。世の中にはプログラミングに向いた考え方、思考を持った人がおり、そういう人は、子どもの頃に、そのような素養が身に付いたのでしょうか。大人になってから必死に学んだのでしょうか。

 プログラミングという職業自体が歴史が浅く、コンピューターサイエンスといった学問的なアプローチもまだまだ進化中の分野です。プログラミングの初歩を知ることによって、世の中にあるプログラムされたものがどういう仕組みで動くのか理解できます。

 コンピューターで動くものに、どういう危険性やリスクがあるのか、またできること、できないことは何なのかを把握するのは、とても大切なことだと考えます。

 子どもの頃にプログラミングを学んで、結果的に職業としてのプログラマーを選択するのは、わずかの子どもたちかもしれませんが、その難しさと楽しさ、面白さを誰もが一度は経験することは、ぜひともお勧めすべき、代えがたい体験の1つだと思います。

 現在、米国では「EdTech」と呼ばれる、教育分野のベンチャー企業が数多く台頭してきています。LyndaやPluralsight、Coursera、Knewtonなどが注目株です。日本でもさまざまな試みがあり、例えば「Life is Tech」という中学生、高校生のためのITキャンプが開催されています。アプリ開発、Webサイト構築だけではなく、映像制作やゲーム開発なども扱っています。

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Scratch 2.0

 ScratchはMITが開発した、子どもがプログラミングを学ぶことに特化したプログラミング環境です。プログラミングの構文や作法などを学ばなくとも、使いこなせるのが特徴で、2.0からWebベースのビジュアルプログラミングツールになりました。

 散在していますが、日本語の情報も充実しており、書籍やWeb記事などを使ってScratchを始めてみるのも良いと思います。オープンソースで提供されているので、これを基にプログラミング学習アプリやサイトを作ることもできます。

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VISCUIT(ビスケット)

 VISCUITを使うと、自由に絵を書いて、それを動かすという感覚でプログラミングが可能です。「VISCUIT」を利用した子ども向けプログラミングスクールやワークショップなども開催されています。複雑なプログラミングは難しくとも、短時間で動くものが確実に作れ、拡張していけます。

blockly(ブロックリー)

 blocklyはグーグルが提供するブロック式のプログラミング環境です。キータイプなしで、マウスだけでジグソーパズルのようにアプリを開発できます。

 ブロックを組み合わせて作成したプログラムは、JavaScriptやDart、Pythonのソースコードに変換でき、実際のプログラミング言語ではどう記述するのか、イメージがつかみやすくなっています。

 オンラインで学習できるだけではなく、Scratchと同じくオープンソースで提供されているので、これを基にプログラミング学習アプリやサイトを作ることもできます。

プログラミン

 プログラミンは、文部科学省が提供する、子ども向けのプログラミング環境です。プログラミングコンテストも開催されています。プログラミン作品ギャラリーに集まった作品を眺めると、微笑ましくなること請け合いです。

MOONBlock前田ブロック

 前田ブロックはブロックを組み合わせるだけで比較的複雑なルールのゲームも作れるWebのビジュアル開発環境です。前述のblocklyを使ってUEIの清水亮氏が開発しました。作ったゲームは「enchant.js」で作ったアプリとして動作します。

 この前田ブロックをUEIの高橋諒氏が「enchant.js」を使って作り直したものが、「MOONBlock」で、「enchantMOON」端末で動くゲームアプリの開発環境にもなっています。

ネットワークこそコンピューター

 開発環境は大きく変化してきています。ハイパワーなマシンを用いても時間と負荷の掛かるコンパイル(ビルド)作業を分散コンピューティングで解決したり、深夜に最新ビルドを自動生成させたり、自動テストを走らせたり、楽をしたり、正確性を求めるための自動化は、各所で進められています。

 現在はiPhoneやAndroidアプリのプログラミングは、それらのデバイス本体だけでは作り上げることができません。Webブラウザーだけでちょっとしたアプリが作れるとか、スニペットのように短いコードを書いてアプリにする環境は若干存在しますが、それも多くの人が本格的に使うアプリをスマートフォンデバイスそのものだけで作り上げるまでには至っていません。

 今後のプログラミング世界の広がりとしては、大量のコードを書いて、アプリやサービスを作り上げる他にも、手軽な方法が広がってくるでしょう。例えば、手帳に予定を書き込むような手軽さで、アプリの機能を自分好みにカスタマイズすることなども、広い意味でのプログラミングかもしれません。

 ソースコード共有サービスGitHubにソースコードを置くことが広まりつつあり、ソースコードを置くだけではなく、ネット上のコンピューターリソースでコードが実行され、協調し合って何かの課題を解決するということも現実的な方法です。

 初期のJavaとサン・マイクロシステムズがかつて描いた「ネットワークこそコンピューター」という思想が、今こそ具現化する時なのかもしれません。


 次回記事は、2014年4月初めごろに公開の予定です。内容は未定ですが、読者の皆さんの興味を引き、役立つ記事にする予定です。何か取り上げてほしい内容などリクエストがありましたら、編集部や@ITのFacebookページまでお知らせください。次回もどうぞよろしく。

プロフィール

安藤幸央(あんどう ゆきお)

1970年北海道生まれ。現在、株式会社エクサ マルチメディアソリューションセンター所属。フォトリアリスティック3次元コンピュータグラフィックス、リアルタイムグラフィックスやネットワークを利用した各種開発業務に携わる。コンピュータ自動彩色システムや3次元イメージ検索システム大規模データ可視化システム、リアルタイムCG投影システム、建築業界、エンターテインメント向け3次元CGソフトの開発、インターネットベースのコンピュータグラフィックスシステムなどを手掛ける。また、Java、Web3D、OpenGL、3DCG の情報源となるWebページをまとめている。

安藤幸央

ホームページ

Java News.jp(Javaに関する最新ニュース)

所属団体

OpenGL_Japan (Member)、SIGGRAPH TOKYO (Vice Chairman)

主な著書

「VRML 60分ガイド」(監訳、ソフトバンク)

これがJava だ! インターネットの新たな主役」(共著、日本経済新聞社)

The Java3D API仕様」(監修、アスキー)


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