新発想のサーバとツールで、クラウドサービスの運用はここまで変えられる

NECネッツエスアイは、Cisco UCS Bシリーズとプロビジョニング自動化ツールのCisco UCS Directorを用い、同社のクラウドサービスの共通基盤を構築した。これにより、同社のクラウドサービスの運用を変えようとしている。

» 2014年04月03日 10時00分 公開
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 NECネッツエスアイ(以下、NESIC)は、NECグループに属する大規模ネットワーク/システム・インテグレータだ。東証第一部上場で、従業員数は6000人を超える。一般企業、通信事業者、官公庁、社会インフラ事業者などに対し、ICTインフラ、オフィス・ソリューション、セキュリティなどの設計・構築から保守・運用、アウトソーシングまで、幅広いサービスを提供している。

 同社は、提供する各種クラウドサービスの統合基盤として、インテル® Xeon® プロセッサーを搭載したシスコのブレードサーバ製品「Cisco Unified Computing System Bシリーズ」(以下、Cisco UCS Bシリーズ)を2013年末に導入開始。以降、その台数を急速に増やしつつある。

 NESICは、2009年からクラウドサービスを提供。同社にとって重要な事業の1つになってきている。だが、今後さらに伸ばすために、超えなければならない1つのハードルが認識されてきた。複数クラウドサービス間のICTインフラの統合運用だ。

 同社は、IaaSの「S-iDCクラウドホスティングサービス」、DaaSの「シンクライアントサービス STclient」、そしてメールサービスをはじめとする各種アプリケーションホスティングなどを提供している。各サービスが事業単位として、別個にサーバ機をはじめとするICTインフラ機器を調達し、導入・運用してきた。

 サービスプロダクトごとに事業責任をはっきりさせるのは、健全なビジネス戦略だ。だが、クラウドサービスは、ますますコスト効率を問われるようになってきている。顧客のニーズに、柔軟かつ迅速に応える必要性も高まっている。さらに、各サービスが成長するほど、担当者にとって運用負荷が高まり、障害対応ひとつをとっても容易ではなってくる。

 この問題を解決するためには、「社内向けクラウドサービス」を構築し、運用を統一するしかない。NESICは2013年中頃に、同社の各種クラウドサービスの共通基盤構築を決め、そのサーバにCisco UCS Bシリーズを採用した。

大規模環境の構築・運用工数を劇的に減らせるから選んだ

 この共通基盤の構築・運用を担当している企業ソリューション事業本部 ニューソリューション推進事業部 クラウド構築部 主任の松田浩志氏は、Cisco UCS Bシリーズの 採用理由として、この製品は大規模な仮想化向けに設計されていて一般的なサーバとは本質的に異なるため、初期設定の難しさはあるが、大規模環境の構築、運用に関する工数を劇的に減らせる、と説明する。

 Cisco UCS Bシリーズのメリットとして、松田氏はまず、「部品やコンポーネントの数が少ない」という点を挙げる。

企業ソリューション事業本部 ニューソリューション推進事業部 クラウド構築部 主任の松田浩志氏

 Cisco UCS Bシリーズはブレードサーバだ。ブレードサーバは電源装置や空冷ファン、管理モジュールなどを、複数のサーバブレードで共有するため、基本的には集約率向上、消費電力低減といった点で有利だ。しかし、NESICでは、これまでブレードサーバを使ってこなかった。ブレードサーバ単位ではコンポーネント数が減るものの、逆に各ブレードサーバシャーシに搭載するイーサネットスイッチやファイバーチャネルスイッチが、サーバ担当者にとっての新たな管理対象になってしまうからだ。

 だが、Cisco UCS Bシリーズの場合、ブレードサーバのシャーシにスイッチを搭載していない。代わりに複数シャーシを束ねる「ファブリックインターコネクト」という集線装置が、イーサネットやファイバチャネルへとつなぐスイッチとして機能する。管理モジュールも各シャーシにはなく、ファブリックインターコネクト上にある。

 これで、サーバブレードおよびサーバシャーシは、非常にシンプルな構造になり、集約率や電力効率といった、ブレードサーバのメリットが際立ってくる。

 Cisco UCS Bシリーズを導入するもう1つの目的は、この製品の持つユニークな機能である「サービスプロファイル」だという。

 これは、通常ならサーバ1台ごとに投入しなければならない各種設定を、ハードウェアから切り離し、1カ所から管理・適用できるようにするというもの。サービスプロファイルは、上記のファブリックインターコネクトで一括管理され、「UCS Manager」というツールを使って設定・適用できる。

 「例えば、サーバを8台追加する必要が生じた場合、通常は、サーバが納入されてから、この8台について1台ごとにファームウェアのバージョンを上げたり、BIOSの設定をしたりします。ファイバチャネルでSANストレージに接続する場合は、ホストバスアダプタ(HBA)のWorld Wide Nameを確認し、これを受けてはじめて、ファイバチャネルストレージの設定が可能になります。従って、サーバが納入されてから、間違いやすい複雑な作業を順にこなさなければならず、時間と担当者の手間が掛かります。

 一方、Cisco UCS Bシリーズの場合は、サーバの納品を待つことなく、サービスプロファイルを作っておけます。World Wide Nameなども自分たちで決めることが可能で、ストレージ側の設定も事前に済ませられます。こうして事前に8台分のサービスプロファイルを作成し、予備のサーバを用いてOSをインストールしておけば、サーバが納品された時点でサービスプロファイルを適用するだけで、すぐにサーバが準備できてしまいます」(松田氏)。

 サービスプロファイルとの関連で付け加えれば、各サーバシャーシからファブリックインターコネクトへのネットワーク配線は、極端な話、最低10Gbpsイーサネット1本でいい(冗長性のため通常は最低でも2本必要)。この配線にIPネットワーク、ファイバチャネル、NFSなどをまとめて通せる(ファイバチャネルはファブリックインターコネクトまでFCoEとして接続するため)。さらにこの10Gbpsの帯域を論理的に分割設定し、きめ細かな帯域分配ができるため、仮想化環境の運用課題として指摘されやすい、複雑なネットワーク構成でも、安定的な運用ができる。

 サーバが納品されてからサービスでの使用を開始できるまでの準備に、実質的に掛かる時間は、これまでの約半分に短縮されたという。

サーバ調達の効率化が可能に

 Cisco UCS Bシリーズを採用したことで、サーバ機の調達についても、従来に比べて効率化できるようになってきたという。

 NESICのクラウドサービスは、法人向けのサービスであり、大きな案件はシステムインテグレーションを伴うものがほとんど。そこで、納品後の準備作業に要する時間が十分短縮できれば、あとは発注から納品までに掛かる時間次第で、「ジャストインタイム」調達に近づいていける。できるだけ獲得が確実になった時点でサーバ機を発注すれば、遊休サーバを減らせるのだ。NESICは、シスコのサーバについて国内におけるBTOサービスを提供しているディストリビュータから購入しているため、発注から納品までは最長でも約3週間だ。当初は国産サーバに比べて納期が長そうだというイメージがあったが、実際にはまったく遜色ないレベルだという。

2つの顔を持つクラウド運用自動化ツール、UCS Director

 NESICのクラウドサービスの効率化に一役買っているもう1つのツールがある。「Cisco UCS Director」だ。この製品は、クラウドプロビジョニングの自動化と、コントロールパネルの提供という2つの側面を持つ。

企業ソリューション事業本部 ニューソリューション推進事業部 クラウド構築部の沼本大輔氏

 Cisco UCS BシリーズとUCS Managerにより、サーバのプロビジョニングの自動化が可能になる。一方、UCS Directorでは、サーバに加え、ストレージ、ネットワークのVLAN設定、仮想化環境、仮想マシンといった、ユーザーにクラウド環境を提供するのに必要な一連の準備作業を、事前に設定された内容で、順序に従って実行する自動化機能を備えている。

 もともと、NESICでは、本番システムに何らかの変更を加えるときは手順書を書き、レビュー、承認を受けてから、2人以上で作業をする内規になっている。それ自体はガバナンス上、望ましいことだ。

 だが、ストレージや仮想化環境、VLANの設定を含めると、1顧客の受け入れのための設定作業だけでも、大きな手間が掛かってしまう。同社ではサーバ、ストレージ、ネットワークの運用担当者が分かれている。例えばストレージの設定については依頼事項を伝え、ストレージ担当にやってもらわなければならなかった。一連の過程で費やす時間や作業量は大きい。従来のレベルのガバナンスを維持しながら、これを自動化したかったという。

 新しいやり方では、ストレージのLUNの切り出しを、サーバ担当者側がUCS Directorを使って行っている。当然、UCS Directorによって適用するストレージ関連設定については、ストレージ担当者のレビューを受けている。だが、プロビジョニング自動化ツールの設定を確認すればよくなったことで、サーバとストレージ、双方の担当者にとっての負荷が軽減した。

 UCS Directorの効果は大きい。各顧客のための環境構築に掛かる時間は、従来の半分になったと、松田氏とともに同社クラウドサービスの共通インフラの構築を進めている企業ソリューション事業本部 ニューソリューション推進事業部 クラウド構築部の沼本大輔氏は指摘する。

 仮想化環境のみを対象とした運用自動化ツールは他にも選択肢があるが、仮想環境と物理環境が双方操作できることが、UCS Director導入の大きな決め手となっている。

 UCS Directorのもう1つの側面は、ユーザーポータル提供機能だ。NESICのクラウドサービスでは、上述のとおり、ユーザーが新規仮想マシンやストレージ領域を、クレジットカードで購入し、即座に利用開始するといったレベルまでのセルフサービスポータルは不要だ。だが、仮想マシンの電源OFF/ ONや、リモートコンソールの機能は提供したかったという。これに、UCS Directorの機能を活用している。

効果を発揮しつつある新たなクラウド運用体制

 こうして、NESICのクラウドサービスでは、その共通インフラの運用を、松田氏や沼本氏などのIaaSチームが一手に引き受け、他のアプリケーション指向のクラウドサービス担当チームが利用できる体制が整った。従来は各チームがそれぞれサーバなどの面倒を見ていたが、その工数が不要となり、サービス担当チームはサービスの改善や新サービスを考える時間が増えた。一方で全体的な運用コストが下がる見通しが立ったという。

 さらに、サーバを追加するのに掛かる時間が確実に減った。クラウドサービスの迅速さのメリットを、社内でも実感できるようになった。

 「クラウドサービスではハードウェア費、ラック費、電源費など、いろいろなコストがありますが、人件費が大きなウェイトを占めています。今後は、人員をむやみに増やすことなく、サービスの大規模化や新規プロダクトの開発が、従来に比べてはるかに容易にできるようになると思います」(松田氏)。

 NESICでは、今後どのようにCisco UCSを活用していくのか。

 「私たちは、Cisco UCS Bシリーズをユーザーとして使ってきて、非常にいいものだということが分かりました。今後は、自社のデータセンターで構築したスキルを生かして、Cisco UCSに関し、システムインテグレーション的なビジネスの広げかたができればと考えています」(松田氏)。

 「いいものはいい」と言える企業文化。だからこそNESICは、Cisco UCS Bシリーズを採用した。そして「いいものはいい」から、広めていきたいという。同社はCisco UCS Bシリーズの展開を通じ、ICTインフラの運用体制、さらには同社のビジネスのあり方をクラウド時代に向けて進化させつつある。

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提供:シスコシステムズ合同会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2014年4月25日

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