連載
» 2014年03月17日 18時00分 公開

お茶でも飲みながら会計入門(90):3分で分かる株式入門

会社の株を買うと、どんないいことがあるの? 会社が倒産したら負債を背負わなくちゃならないの? そんな株式の基礎知識を、公認会計士の吉田さんが分かりやすく解説します。

[仰星監査法人 吉田延史, イラスト:Ayumi,@IT]

本連載の趣旨について、詳しくは「ITエンジニアになぜ会計は必要なのか」をご覧ください。


 最近、NISA(株式の売買で得た利益に対する課税の恩典制度)などで株式運用を始める人が増えています。上場している株式は、市場で売買でき、株価が安いときに購入して、高い時に売ればもうけられます。

 ところで、株式自体にはどのような資産価値があるかご存じでしょうか。株式は不動産や金と違って、目に見えるものではないので、どういったものなのか分かりにくいと思います。そこで今回は、株式について説明します。

 実例として、ソフトバンクの株式を100株持っている場合にどういった権利があるのかを見ていきましょう。なお、同社株の平成25年3月末の株価は4340円であり、100株買うために必要なお金は43万4000円です。

【1】価値その1 議決権

 株式を保有すると、株主総会の議案に票を投じられます。株主総会は会社で最も偉い機関であり、社長をはじめとする取締役も株主総会で決定します。

 株式の議決権で特徴的なのは、都知事選のように1人1議決権ではないことです。ソフトバンクの場合は、100株ごとに1票入れられます。200株持っている人は2票、5000株持っている人は50票入れられます。なお、1番たくさんソフトバンク社の株式を持っているのは孫正義氏であり、平成25年3月末で約2億株を保有しています。

【2】価値その2 配当を受ける権

 株式を保有すると、会社利益の分配を受けられます。会社には実にさまざまな収入と支出がありますが、全て記録してどのくらいもうかったかを損益計算書で計算します。損益計算書の計算結果となる当期純利益のうちから、社長など経営者が決めた一定額を株主に配当として配分します。

 ソフトバンクは、平成25年3月期の1株当たり当期純利益は258円で、1株当たり配当は年間40円となっていますので、100株保有していると2万5800円分価値が増加して、そのうち4000円は現金で分配されたこととなります。

【3】価値その3 解散したときに残った財産の分配を受ける権

 最後に、会社が解散した場合に残った財産を受け取る権利があります。実際に上場会社が事業活動を停止して解散となるケースは想定し難いのですが、仮に解散するとしたら、会社の保有する現金や不動産などの資産から負債を払い終えた残りを、株主は株式保有数に応じて分配されることになります。この負債を払い終えた残りの資産を純資産(※)といいます。

 ソフトバンクの場合は、平成25年3月期の1株当たり純資産は1316円で、100株保有していると、理論的には解散したら13万1600円戻ってくる計算になります。株価よりもかなり低い金額ですから、将来が期待されていることがうかがえますね。

※純資産=資産−負債。詳しくは「純資産」=会社の価値を上げる、プランAとプランBをご参照ください。

【4】番外編 株主優待

 最後に株主優待について説明しておきます。株主優待は、一定の株数を保有する株主に自社の割引券などを渡す制度です。実は株主優待は法律で定められた権利ではありません。会社が任意で設置している制度であり、会社はいつでも制度を変更できます。そうはいっても株主優待はかなりお得な内容であることが多いので、株式を持つに当たって結構重要な要素です。

 ソフトバンクの場合は、平成25年3月末で100株以上保有している株主に、申し込んだ携帯電話の使用料(934円/税抜)を6カ月無料にする特典があったようです(詳細はソフトバンクのWebサイトでご確認ください)。

 なお(市場からの購入を前提とする)株主の義務はありません。例えば倒産した場合に追加でお金を払う義務はなく、「損失の上限は当初株式を購入した金額」ということになります。

 株式について見てきました。上記4つの権利を欲しかったり、その他さまざまな理由で「ここの株を買うと、いいことがありそうだ」と考える人が多い会社には買い注文が集まり、株価は上がっていきます。投資をするためのノウハウはたくさんあると思いますが、会計面で考えるならば、まずは株価と1株当たり利益・純資産との比較が大切です。それではまた。

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筆者プロフィール

吉田延史(よしだのぶふみ)

吉田延史(よしだのぶふみ)

京都生まれ。京都大学理学部卒業後、コンピュータの世界に興味を持ち、オービックにネットワークエンジニアとして入社。その後、公認会計士を志し同社を退社。2007年、会計士試験合格。仰星監査法人に入所し現在に至る。共著に「会社経理実務辞典」(日本実業出版社)がある。



イラスト:Ayumi


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