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» 2014年03月27日 18時45分 UPDATE

そもそもSDNは脅威でないのか:ジュニパーのSDN、責任者に疑問点を直球でぶつけてみた

ジュニパーネットワークスは、SDNで多岐にわたる取り組みを発表している。だがそのため、何を軸にしていこうとしているのかがいま一つ分かりにくい。米ジュニパーのプラットフォームシステム部門のトップであり、SDNに関する統括責任者でもあるラミ・ラヒム氏に、さまざまな疑問を直接ぶつけてみた。

[三木 泉,@IT]

 ネットワーク機器ベンダは、スタートアップ企業でないかぎり、SDNについてどこも複数の選択肢を提供している。それを踏まえても、ジュニパーネットワークスのSDN/NFV戦略には、分かりにくい点がいろいろある。

 ジュニパーはOpenFlowへの対応をしながら、自社のAPIを推進している(Junos SDK)ように見える。また、同社はスイッチで、ヴイエムウェアのVMware NSXと連携するVXLANゲートウェイ機能を提供する一方、ContrailというSDNコントローラ製品を持ち、そのオープンソース版であるOpen Contrailも提供開始している。さらに、コントローラを含むSDNのオープンソースプロジェクトであるOpenDaylightにも参加している。すなわち、SDNコントローラだけでも、事実上少なくとも3つの選択肢を提供していることになる。だれに何を使ってもらいたいのか。

 ジュニパーのSDN/NFV戦略に関する総責任者でもある、同社プラットフォームシステム部門担当執行副社長のラミ・ラヒム(Rami Rahim)氏に、上記のような疑問を直接ぶつけてみた。本記事では、その内容を要約してお届けする。OpenDaylightプロジェクトとの関わりについては、別記事でお伝えする。

「ContrailとVMware NSXへの対応は同じくらい重要」

im_ait_rahim01.jpg 米ジュニパーネットワークス プラットフォームシステム部門担当執行副社長のラミ・ラヒム氏

 ジュニパーのSDNに関する基本的な立ち位置について、ラヒム氏は次のように話す。

 「当社はデータセンターネットワーク市場で莫大なシェアを握っているわけではない。従って、顧客における課題を解決できる革新的なことがあるなら、それを実行することをためらう必要はない。だから、ジュニパーにとって、面白い状況になってきたと考えている」。

 「ネットワーク業界には、SDNに関して部分的要素を提供する小規模なプレイヤーと、エンド・ツー・エンドのSDNソリューションを提供するプレイヤーがいる。部分的要素を提供するプレイヤーはある程度成功するかもしれないが、包括的なソリューションを求める顧客への対応は難しい。包括的なソリューションを提供するベンダは、シスコのようにクローズドな方向へ進んでいる。SDNは、サービスプロバイダとエンドユーザーに対し、非常に大きな価値と差別化をもたらす。あるベンダのコントローラと別のベンダのネットワークインフラ製品を統合したソリューションで、こうした価値を提供するための運用プロセスを包括的に自動化できれば大きなメリットがある」。

 つまり、ジュニパーのSDNに関する基本的な戦略は、包括性とオープン性の両立だという。包括性については、次のように説明する。

 「ContrailとVMware NSXへの対応は、ジュニパーにとって同じくらい重要だ。ヴイエムウェアのハイパーバイザおよびオーケストレーション製品を使う顧客は、既存環境で使えるソリューションを当社に求める。一方でハイパーバイザおよびオーケストレーションについて、KVM、OpenStack、CloudStackといった、オープンソースのアプローチを選択する顧客は、当社にこうした環境との親和性が高いソリューションを求める。当社はどちらに対しても、十分に差別化された素晴らしいソリューションを持っている。Contrailは後者の顧客にとって、業界で最高の選択肢だ」。

 「さらにこれを補完するため、Juniper MX上で『ユニバーサルSDNゲートウェイ』と呼ぶ機能を当社は発表した。高性能な仮想・物理のゲートウェイ機能に加え、異なるコントローラでつくったSDNの島の間をつなぐことができる。レイヤ2延伸に加え、レイヤ3でSDNの島とつなぐ機能を備えている」。

 シスコもVXLANゲートウェイやレイヤ2延伸の機能を提供しているが、1つのプラットフォームですべての機能を果たせるゲートウェイはこれだけだと、ラヒム氏はいう。

Contrailはなぜ「オープン」なのか

 では、上記のオープンソースを選択する顧客にとって、Contrailが最高の選択肢だという根拠は何か。

 Contrailはまず、スケールアウト型のアーキテクチャに基づくSDNコントローラで、障害に強く、容易にスケールし、ピアリングできることが大きな特色だという。さらにオープンさという観点で重要なのは、BGP、XMPPといった、ネットワークの世界ではよく理解されているプロトコルを、ネットワークインフラ製品とのやり取りに使っていること。これによってContrailと他社のネットワーク機器を組み合わせるシナリオを描きやすくなっている。また、コントローラ間の連携もしやすくなる。ジュニパーが自社のSDNのオープン性を主張するとき、それは既存プロトコルを使っていることを根拠としている。

 だからといって、ジュニパーはSDNで、自社のネットワーク機器を完全に他社の製品と同様に扱うということにはならない、とラヒム氏はいう。

 「当社のコントローラとネットワークインフラ製品との間に、追加的なフックを設けて、顧客が使ってくれるならば、1+1が3になるようなことも提供できる。ロックインを回避しながら、これを行うことは可能だ」。

 その例としては、ネットワークレイヤのより詳細な情報を吸い上げて、高度な制御に生かすことなどが考えられるという。

ハードウェアとソフトウェアの関係

 では、ラヒム氏は、今後のネットワークの世界におけるハードウェアとソフトウェアの関係をどのように考えているのか。

 「大まかにいって、ネットワークはますます重要になってきている。人と人とをつなぐことにかかわる問題の解決は、世界で最も重要なことの1つだ。接続の問題を解決するには、シリコン、システム、ソフトウェアのすべてにおける革新が求められる。3つのうち、どれか1つの要素だけで問題が解決できるという意見には賛成しない。(ネットワークベンダとしては)これら3つのすべてをマスターし、投資についても3要素の間で注意深くバランスをとる必要がある」。

 「最近、ソフトウェアに注目が集まっているのは当然ともいえる。なぜなら、率直にいって、ネットワークの世界はストレージやコンピュータの世界に比べて(ソフトウェアの革新が)遅れ気味になっていたからだ。SDNでソフトウェアに注目が集まったことで、業界が目を覚ませたのは良かったと思う」。

 「ジュニパーとしてもSDNに関連して、ソフトウェアへの投資を増やしている。しかし、シリコンやシステムにおける革新を犠牲にしてはならない。3つの要素すべてで最高を目指し、これらを意味のあるような方法でまとめ上げることに力を入れている」。

 「いま、顧客が求めているのはパフォーマンス/スケールとアジリティ(俊敏性)の2つだ。シリコンとシステムへの投資は前者に対応し、ソフトウェアへの投資は後者に対応する。この業界で、パフォーマンス/スケールが重要ではなくなるときがきたら、すべてが汎用化し、何でもいいという世界になるだろう」。

 「私が固く信じているのは、ますますつながっていく世界において、人々がネットワークの容量を消費する能力には限界がないということだ。このことが正しい限り、われわれはパフォーマンスの問題を解決し続けなければならない」。

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