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» 2014年03月31日 18時00分 UPDATE

開発のスピードと質を両立するには?:ウォーターフォールだけだから失敗する――これからのアプリ開発、4つのポイント (1/3)

DevOpsというキーワードに象徴されるように、アプリケーション開発のスピードと品質の両立が企業にとって大きな課題となっている。だがビジネス成功の鍵は、開発手法そのものというより、各手法をどう生かすかにある。

[内野宏信,@IT]

アプリケーション開発を迅速化するポイントとは?

 市場環境変化が速い現在、ビジネスを支えるシステム整備にも一層のスピードと質が求められている。これを支援する手段として仮想化、クラウドの浸透が進んでいるが、特にアプリケーションレイヤーにおいてはCRM/SFAなど情報系システムを中心にSaaSの活用が進んでいる。

 だがいうまでもなく、社内のアプリケーション全てをパブリッククラウドに移行できるわけではない。従来のパッケージアプリケーションにしても、自社のビジネスプロセスや慣習に応じたカスタマイズが求められることが一般的だ。ではこうした中でアプリケーション開発のスピードと質を担保するためには、どのようなアプローチが有効なのだろうか。

 ガートナー ジャパンは2014年3月10〜11日、東京・品川で「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション&アーキテクチャ サミット 2014」を開催。ガートナー リサーチ リサーチ ディレクター 片山治利氏が行った講演「アプリケーション開発の迅速化で俊敏な企業体質を構築せよ」に、アプリケーション開発迅速化・効率化の鍵を探る。

ウォーターフォール以外の手法に踏み出せない日本企業

 ガートナーでは過去の同サミットでもアプリケーション開発の迅速化の重要性を指摘してきた。2012年は開発迅速化による競争力の獲得、2013年は環境変化に機敏に対応できるアジャイルな開発・デリバリの重要性を訴えてきたが、多くの企業において開発の迅速化はなかなか実現が難しい状況にあるという。その背景にあるのが、ビジネスの差別化、競争力の獲得につながるアプリケーションは、パッケージやSaaSでの実現にはそもそも限界があることだ。

ALT ガートナー ジャパンの片山治利氏

 「例えば顧客管理やオーダー管理など、ERPのバックボーンとなる各種記録システムなどは他社と同じSaaSやパッケージでも対応できる。しかし他社との差別化を支えている自社固有の生産管理/販売管理に即したシステム、また新サービスや新業態に進出するための新規領域のシステムとなるとカスタマイズや独自開発が不可欠となる。だが、競争が激しい環境の中ではこうした差別化・革新システムの領域こそ、ビジネスのアイデアを実現するアプリケーション開発のスピードが求められる。ある分野で後発の企業が先発の企業を追い抜く事態も起こっている」

 深刻なのは、開発期間における日本企業と海外企業の差だ。日本情報システム・ユーザー協会(以下、JUAS)とガートナーの調べによると、多機能・高品質なアプリケーション開発を重視する日本企業の場合、開発期間が1年以上にわたるプロジェクトが半数を超えるのに対し、グローバルでは8割以上が1年以内でプロジェクトを終了している。

 特に昨今、ビジネス、システムの在り方を入念に設計し、時間をかけて高品質なものを作り込んでも、リリースしたころには設計時とは市場の状況が変わっているといったことも増えている。片山氏によると、こうした先を見通すことが難しい状況にある今、日ごろ接触のあるユーザー企業の管理層の間でも、「100%の正解はない。新サービスを迅速に市場に投入したい」「競合の新規参入が増えてきた。どんなアプリケーションになるのか不透明だが、開発・導入はスピードが必要」「大手と競争するためには顧客の要望に迅速に対応することが必要」といった声を聞く機会が増えているという。

 一方、プロジェクトの長期化は「開発期間中に要件が変化してしまう」「人的リソースの制約のため次のプロジェクトへの着手が遅れてしまう」「開発現場のモチベーションが低下する」など、プロジェクト運営そのものにも問題をもたらしやすい。JUASとガートナーの2013年の調査によると、日本ではウォーターフォール型開発が9割以上を占めるのに対し、グローバルではウォーターフォールが約半数、約3割が反復型開発、約2割がアジャイル開発といった具合に、開発要件に応じて手法を使い分けている傾向が強い。

ALT 図1 日本とグローバルでの採用している開発手法の違い(出典:ガートナー)

 片山氏は「日本ではなかなか新しい開発手法の採用に踏み切れていないことも迅速化できない一つの要因だろう」とした上で、こうした中でも開発迅速化に成功している日本企業、4社のケーススタディを紹介した。

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