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» 2014年04月09日 18時00分 UPDATE

三国大洋の箸休め(30):MLB、チームによってこんなに差があるチケットの値段

4月初めに開幕した米大リーグ(MLB)で人気を争うのがニューヨーク・ヤンキースとボストン・レッドソックスの「2強」だ。だがこの2チームは他のことでも争っている。観戦チケットの価格だ。

[三国大洋,@IT]

 4月初めに開幕した米大リーグ(MLB)。勝敗をめぐる火花だけでなく、観戦チケットの価格をめぐってもいろいろ思惑があるようで……今回はそんなお話。

今日の例文

Success doesn’t come cheaply, at least for fans of the Boston Red Sox.

Five months after the team won its first World Series since 2007, the Red Sox has prevailed in another competition: the most expensive tickets in the country. According to the latest Fan Cost Index to mark the start of the 2014 season, an average ticket at Fenway Park for the new season costs $52.32―80 cents more than that to see the second-place Yankees.


ワード&フレーズ

 では、上記の例文に出てきたキーワードとキーフレーズを見ていこう。

原文
prevail 勝る、打ち勝つ
according to〜 〜によると
affordable 手ごろな

ニュースの背景

 4月初めに大リーグ(MLB)の新シーズンが開幕した。

 FiveThirtyEightのネイト・シルバーは、「Google Trends」を利用して検索数から見た人気チームの相対的なランキングを紹介している。このグラフからはニューヨーク・ヤンキースとボストン・レッドソックスの「2強」が検索数の点で飛び抜けて多いことが分かる。検索ユーザーは全世界ということで、この2チームだけが「グローバルブランド」、残りのチームは「ローカルブランド」ということかもしれない。

 この2チームがトップを争っていることが他にもある。それは観戦チケットの価格で、昨年の覇者レッドソックスの本拠地、フェンウェイ・パーク(ボストン・レッドソックス)の平均価格は52.32ドル(前年比4.8%増)。一方ヤンキースタジアムは前年と変わらず51.55ドルだ(データソースはTeam Marketing Reportの"Fan Cost Index")。いずれもMLB全体の平均、27.93ドルに比べてかなり高い。

hasiyasume30_scr01.png MLB各チームのチケット平均価格

 全体としては、大きな市場があり、地価や平均所得も高めの地域のチームでは、観戦チケットもやはり高価になる傾向が見られる。

 一方、前年度の成績もまた、価格設定の上下動に影響していることが察せられる。例えば、マイアミ(62勝100敗)は7.7%、ヒューストン(51勝111敗)は13.6%も値下げ、またGoogle Trendsのランキングで3位のシカゴ・カブス(66勝96敗)も0.9%値下げ。いずれも大都市圏のチームでありながら、そのアドバンテージを生かせていないことが読み取れもする。

 ただし、勝敗数で最下位だったヒューストンなどは、強豪チームと全く違った経営方針があるようだ。売上が1億8600万ドル(30チーム中26位)しかなかったにもかかわらず、営業利益が5590万ドル(同2位)もある。主な理由は「超緊縮経営」――今シーズンも選手の年棒総額は約2113万ドルとトップのLAドジャースの10分の1以下に過ぎず、NYヤンキースのエース、CC・サバシア1人の年俸(2428万5714ドル)よりも少ないためと思われる。

 一方、ESPNにある2013シーズンの観客動員数を見ると、1位LAドジャース、2位セントルイス・カージナルス、3位SFジャイアンツ、4位NYヤンキース、5位テキサス・レンジャース、6位デトロイト・タイガース……などとなっている。

hasiyasume30_scr02.png 各チームのチケット完売率

 より面白いのはホームゲームでの「スタンドの埋まり方(チケット完売率)」の方で、こちらは1位SFジャイアンツ(99.2%)、2位セントルイス・カージナルス(94.6%)、3位ボストン・レッドソックス(94.4%)、4位デトロイト・タイガース(92.3%)、5位フィラデルフィア・フィリーズ(85.2%)などとなっており、LAドジャースは6位(82.1%)、ヤンキースは8位(80.5%)。

 前述のチケット値上げ率でいうと、SFジャイアンツ(5.1%)、カージナルス(2.2%)、レッドソックス(4.8%)、タイガース(7.1%)、フィリーズ(0%)で、ある程度は相関関係があるようにも感じられる。

 ただ、値上げ率トップのカンザスシティ・ロイヤルズ(24.7%)は前年度の間倍率が57%に過ぎない。2番目に値上げ率が大きいLAドジャース(15.3%)も82.1%しか埋まっていないから、この2つの要因が直接的に連動しているようにも思えない。

 2013シーズンの勝ち星と値上げ率との間に相関関係があるかどうかと思って作ってみたのが下の表だ。この通り、81勝(5割)を下回ったチームで値上げしているのはLAエンジェルス、SFジャイアンツ、サンディエゴ・パドレスの3つだけ。逆に5割以上で値上げしていないのはNYヤンキースとワシントン・ナショナルズの2つだけ。この2チームに共通するのは2012シーズンから勝ち星が二桁も減ってしまっている点だ。

hasiyasume30_scr03.png 前年度の勝ち星とチケットの値上げ率(クリックすると拡大)

 つまり「本当なら少しでもいいから値上げしたいところだけれど、それで客足が遠ざかると困るので前年並みとした」ということかもしれない。それに対して、SFジャイアンツの場合はほとんど完売に近い状態で、しかもベイエリアの景気がいいから「これくらいは値上げしても大丈夫」という思惑が働いたとも想像できる。

文章の分解

 上記の背景を踏まえて、冒頭の英文を少しずつ区切りながら読み解いてみよう。

[1] Success doesn’t come cheaply, /

[2] at least for fans of the Boston Red Sox.

[3] Five months after the team won its first World Series since 2007, /

[4] the Red Sox has prevailed in another competition:/

[5] the most expensive tickets in the country. /

[6] According to the latest Fan Cost Index to mark the start of the 2014 season, /

[7] an average ticket at Fenway Park for the new season costs $52.32―/

[8] 80 cents more than that to see the second-place Yankees.


 それぞれ、以下のように読み解ける。

[1] 成功にはそれなりの対価が伴う

[2] 少なくともボストン・レッドソックスのファンにとっては

[3] 同チーム(=レッドソックス)が2007年以来となるワールドシリーズの勝者となってから5カ月後、

[4] レッドソックスはもう1つの争いでも1位となった

[5] 観戦チケットの値段が最も高い(チームになった)

[6] 2014シーズンの開幕に合わせて発表されたFan Cost Indexの最新版によると

[7] (レッドソックスの本拠地)フェンウェイ・パークの新シーズンのチケット平均価格は52.32ドル

[8] 次点につけたヤンキースのそれよりも80セント高い


もう一度英文を

 では最後に、もう一度英文を読み直してみよう。

Success doesn’t come cheaply, at least for fans of the Boston Red Sox.

Five months after the team won its first World Series since 2007, the Red Sox has prevailed in another competition: the most expensive tickets in the country. According to the latest Fan Cost Index to mark the start of the 2014 season, an average ticket at Fenway Park for the new season costs $52.32―80 cents more than that to see the second-place Yankees.


三国大洋 プロフィール

オンラインニュース編集者。「広く、浅く」をモットーに、シリコンバレー、ハリウッド、ニューヨーク、ワシントンなどの話題を中心に世界のニュースをチェック。「三国大洋のメモ」(ZDNet)「世界エンタメ経済学」(マイナビニュース)のコラムも連載中。


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