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» 2014年04月11日 18時00分 UPDATE

プログラマ社長のコラム「エンジニア、起業のススメ」(8):“伝統的な営業スタイル”は、いつでもどこでも必要なのか (1/2)

日本の営業マンは、とても親切だ。製品購入前にはあなたの会社まで来て丁寧に説明し、購入後もサポートの窓口となってあれこれ世話を焼いてくれる。しかしそうした営業スタイルを、顧客は常に望んでいるのだろうか?

[Engine Yard Tim Romero(ティム・ロメロ),@IT]

 日本の営業マンには偶像的イメージがある。

 初めて日本に来た時、営業マンの存在に私は「驚嘆」した。どんな商売にも販売は不可欠なものだが、私の「驚嘆」は、(日本の営業マンが)単なる販売だけではなく、もっと奥深いところに食い込んでいることに対するものだった。

 日本では半世紀以上もの間、営業マンが企業をけん引してきた。販売の伝統は「顧客獲得」と「顧客ロイヤルティ」の両方を基盤としている。日本企業では顧客ニーズを理解させるべく、新卒者を(スキルを問わず)まず営業部門に配属することが多い。そして、営業部門はトップマネジメントへの最短の出世コースであったりする。

 しかし、にわかには信じられないが、昨今「日本から“伝統的な営業スタイル”が消えつつある」らしい。

 軽々しくそのようなことを言っているわけではない。過去50年の間に、「日本の販売プロセスは非効率だ」と不満を訴える欧米人のマネージャー層に、日本人は絶えず出会ってきた。これまでのところ、日本企業に欧米の販売方法を導入しようとした外資系企業の多くが、“日本の伝統的な営業スタイル”を採用するか、あるいは廃業するかのいずれかに終わった。

 でも今は違う。顧客側から変化が求められている。“日本の伝統的な営業スタイル”が必ずしも適合しない業態が現れているのだ。

“日本の伝統的な営業スタイル”の問題

 日本の伝統的な営業スタイルに伴う問題が(私にとって)はっきりしたのは、昨年、新たなeマーケティングプラットフォームのクラウドサービス導入を検討した際のことだった。私たちの会社はリサーチを経て、3製品に導入候補を絞った。製品自体は全体に似通っていたのだが、3社の営業スタイルはこの上なく異なっていた。

 1社目は、Webサイトに製品や価格に関する情報を豊富に掲載していた。私たちがメールで質問リストを送ると、翌日には返事をもらえた。ソフトウェアのフリートライアルの提供があり、すぐにスタートできた。初めてその会社について聞いてから2日後には、その会社と彼らの製品について知りたいと思ったことを、全て知ることができた。

 他の2社は、“伝統的な営業スタイル”だった。ある程度の基本的な製品情報をWebサイトに掲載していたが、「詳しくは、オフィスを訪問し、直接会って質問に答え、デモを見せ、しかる後、価格についての説明をしたい」と強く主張された。

 私たちは律義にも翌週に面談の予定を入れた。面談では3〜5名の営業チームが、分かりやすいパワーポイント資料を使って説明してくれた。彼らはフレンドリーかつ専門的で、ほとんどの質問に答えてくれ、最後に(やっと!)製品の価格を教えてくれた。

 3社の価格差に、私たちは仰天した。機能的な違いはほとんど無いのに、Webベースで情報提供している会社のサービスは「月額1500円/初期設定費無料」なのに対し、丁寧な営業マンがいる会社のサービスは「月額1万円以上」。さらに初期設定費として10万円以上も要求された。

 このフレンドリーな営業マンらの給料を誰かが払ってあげなくてはならないのだろうが、それは私たちではない。昔ながらの販売スタイルは、価格がとんでもなく高いだけでなく、私たちの時間を無駄にした。何せ私たちは、基本的な製品情報を得るために、2週間にわたって、何時間もの面談を要したのだから。

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