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» 2014年04月14日 10時00分 UPDATE

DBaaSはどこまで企業情報システムを変えるか(2):先進事例に見る、企業戦略を“戦術”に落とし込む基幹DBアーキテクチャ改革

基幹DBはいつまでも個別最適型? 事業の幹となる企業資産をいつまでも不自由な個別最適型で管理する必要はもうない。柔軟で効率的な環境を提供するために必要な技術を、先進企業は既に導入しつつある。

[PR/@IT]

 スピード感ある情報集約と経営判断が業績を左右する昨今、事業の根幹たるデータ管理を担う基幹データベース(以下、DB)システムの性能が実際の企業業績に与える影響は少なくない。一方で、そのミッションクリティカルな性質から、直近のITトレンドであるプライベートクラウド化による効率化において、基幹系DBのみがレガシーのまま保全されてきたのも事実だ。

 前回は、仮想化によるDB統合の課題と、最新のテクノロジがこれらの課題をどのように解決できるかについて解説した。2回目の今回は、それらのテクノロジで実際に課題を解決した先進企業における成功事例を紹介し、それらテクノロジの裏づけを行っていこう。国内外のさまざまな企業がExadataなどの最新テクノロジを使って、どのようなメリットを得られたのかを理解してほしい(本稿末のアンケートに回答すると、より詳細な資料を得られる)。

SAP ERPを支えるDBを集約、高速化――ライオンのDB集約と横展開の実例

 「Oracle Database 12c」「Oracle Enterprise Manager 12c」などの最新テクノロジを最適なハードウェアで活用できるプラットフォーム「Oracle Exadata Database Machine」(以下、Exadata)は、さまざまなDBワークロードを実行できるだけでなく、統合DBクラウドの理想的な基盤とすることも可能で、短期間での導入が行える。これらの優位性から、Exadataはさまざまな企業で活用されてきた。日本オラクル 製品戦略事業統括本部 データベースコア製品推進本部 シニアプロダクトラインマネジャーの岩崎護氏は、「名前を出してもよいという企業だけでも、Exadataの成功事例は50社以上ある。これだけ多くのお客さまにご満足いただけているハイエンドのシステム基盤は他にはないだろう」と説明する。

 例えば、洗剤、石鹸、歯磨きなどトイレタリ製品などの日用品を多数手がけているライオンでは、抜本的なIT改革の中で、アプリケーションをプライベートクラウドに移行し、統合DB基盤としてExadataを採用している。同社では、まず2010年6月に、Exadataを導入して基幹システムのDBとすることで効率化を実現。次いで2012年2月には、SAP ERP 6.0ベースの会計システムのDBもExadataに統合している。会計システムの処理は20倍高速化しており、加えてAdvanced Compression機能を活用することでストレージ容量も1.4TBから約半分の700GBに削減している。

 会計システムが高速化すれば、それだけ、日々の業績推移を掌握しやすくなるのはもちろん、上場企業であれば、ここから業績予測などを確認・修正し、迅速な意思決定や情報開示によって、リスク回避が可能になることだろう。

 これらの施策により、運用管理面では保守運用コストの削減に成功。ライオンでは、これまで業務ごとに縦割りでシステムの運用を行ってきたが、ExadataによるDB統合が実現したことで、DB層全体を共通の管理者が統合的に管理できるようになっている。

 現在、同社ではこの取り組みを横展開し、オープン系サーバー上の他の業務システムでもDB統合を進めている。また、情報系システムにおいても、従来のデータウェアハウスをExadataに移行しており、2014年はバックアップサイトへのレプリケーションによる事業継続/災害対策の整備も進めていくという。

mhad_ora01fig01.jpg (資料出典:日本オラクル)
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 「実は、シンプルなDB集約を目的としたExadata選定は少なくないのですが、実際に評価してみると、高性能なハードウェアでかつDB処理に特化した実装とチューニングを盛り込んだ環境であることから、古いスペックの物理サーバーで稼働するDBと比較すると効果は歴然とします。当初計画していたDB集約を完了しても処理能力に余裕があることも少なくありません。そこで、余剰の環境を使って別の統合集約への横展開を計画する方が少なくないのです」(岩崎氏)

 Exadata環境であれば、処理ごとにリソースを管理できるため、トランザクション系の処理と同時に、データウェアハウス処理を行ったとしても、パフォーマンスに影響なく、どちらも高いレスポンス性能を維持できる(詳細は第1回参照)。DB統合で処理能力に余剰がある場合、それを別の処理用に振り分けることで、リソースの利用効率を高められるようになる。この機能を実感した導入企業が横展開を推進するケースが非常に多いのだという。

大手メーカーが抱える膨大な基幹DBを「完全統合運用」――パナソニックIS

 22台の物理DBサーバーをわずか2台に集約・統合し、運用の標準化とIT全般の統制を実現したのは、パナソニック インフォメーションシステムズ(以下、パナソニックIS)だ。2011年4月、パナソニックのDB統合に着手したパナソニックISでは、「パフォーマンスの向上」と「コストの削減」の2つを目標にし、2011年10月にExadataを使った実機検証を開始。検索処理の大幅な改善、データ圧縮機能によるストレージ容量の削減(約7分の1)などの評価結果から、2台のExadataをData Guardで常時同期させる高可用性システムを運用している。

 その結果、受発注システムのバッチ処理で8倍の高速化、オンライン処理で3倍の高速化を実現している。また、この移行によりハードウェア/ソフトウェアのライセンスコストを大きく削減して、運用管理工数を60%圧縮している。同社ではこのほか、Oracle EBSベースの業務システムにおいてもDB統合を計画している。

 このプロジェクトの経験を生かし、Exadataを活用したDBサーバー統合ソリューションを外販していることも特徴的な事例だ。

mhad_ora01fig02.jpg (資料出典:日本オラクル)

新興国の金融企業は既にプライベートDBクラウドの実践例も

 「クラウドならではの俊敏さという点では、海外ではもっと先進的な事例が存在し、クラウド型のセルフサービスポータルを使って3時間半でDBを用意できるようにした事例もある」(岩崎氏)インドのHDFC銀行(インド第二位の民間金融機関)の事例も紹介する。

 HDFC銀行では、リテール融資システムをサポートするために、セルフサービスITや標準化、迅速なプロビジョニングを実現できる環境を構築したいと考え、Oracle DatabasesとOracle Enterprise Manager 12cを基盤としたプライベートDBクラウドサービスを開発。Oracle Databaseを“フレキシブルなクラウド型データベース”と評価したHDFC銀行は、Oracle Enterprise Manager 12cのOracle Database Lifecycle Management Pack/Cloud Management Packを活用してExadata上にプライベートDBクラウドを構築し、ユーザーがあらかじめ準備されたDBのサービステンプレートをもとに新しいDBを簡単にプロビジョニングできるようにシステムを構成することで、DBのリストアをわずか3時間半でおこなえるようになっている。これにより、DB用のサーバーの調達、セットアップに関連する作業工数を低減し、金融商品向けの新機能を迅速に提供するための活動に集中できるようになっているという。

 これは、新たなアプリケーションやDBのプロビジョニングをセルフサービスで行えるようにすることで、コストを大幅に削減できた最新事例だ。DBを利用したい人は、サービステンプレートを選択してすぐに利用できたり、スケジュール機能であらかじめ予約したりしておくことが可能となる。また、Cloud Management Packでは、利用状況に応じた課金計算機能も搭載しており、関連会社や外部へのクラウドリソース提供も可能となっている。

基幹DBの脱サイロ化:"DB層"統合による事業スピードアップのための道筋は既に用意されている

 ここまでで、先進企業における基幹DB集約の実施状況やその効果、海外の超先進事例までを見てきた。企業IT部門ではITシステムの仮想化と集約による管理運用効率化が進んでいるが、数年前までのテクノロジでは、ミッションクリティカルで、かつシビアなパフォーマンス要件が求められる基幹DBに関しては、「やはり物理サーバーで性能を最大化しなければ」という考えが主流だった。これは、サーバー仮想化技術そのものが、データベース処理を前提としたものではなく、あくまでも一般的なサーバーを仮想化するためのものだったことに要因がある。まず、I/Oのオーバーヘッドが大きすぎてレスポンスタイムが要件に満たないことが最大の課題であったが、その他にも、トランザクション保証をどうするか、バックアップをどうするか、フェイルオーバー処理をどう実装するか、障害発生時の問題切り分けはどうなるか、といったDBならではの課題に、一般的なサーバー仮想化技術では対応しきれなかったからだ。

 DBを主軸製品とするオラクルでは、こうしたシステムの統合・集約とサービス化に向けた企業情報システムの課題と、DBならではの問題を解決するためのアプローチとして、Oracle Exadataを開発している。直近数年で、同社が「DBaaS」というメッセージを示しているのは、こうした市場ニーズと課題をDBのプライベートクラウド化・サービス化によって解決しようとしていることによる。DBはDB層として統合・集約し、運用標準化を実現しようというものだ。

 Oracle Database 12cがマルチテナントに対応したことの理由はここにもある。DB層としての統合管理と、ITガバナンス体系としてのテナント軸を区切った上で、それらを明確な管理体系の下で運用していけるようになるからだ。

 先のHDFC銀行の事例は、こうしたオラクルによるDBaaSという考え方を具現化した最新先行事例と言えよう。

 2014年1月に国内提供が発表されたExadataの第5世代となる最新の「Oracle Exadata Database Machine X4」は、ハードウェア性能の大幅な向上はもちろん、Oracle Database 12cのマルチテナントアーキテクチャを利用して、DB集約で高いリソース効率と運用工数の削減を可能とし、複数台のDBを1台のラックに統合させるDatabase as a Service(DBaaS)機能が強化されている。

 オラクルはOracle Database 12cとOracle Enterprise Manager 12c、それにExadataのテクノロジをベースに、DB統合から柔軟かつ自由にDBを提供するDBaaSをベースとしたプライベートクラウドの構築までを提供し、企業の課題を解決していこうとしている。

企業戦略をITの形で“戦術”に落とし込むためのアーキテクチャ

 こうしたDBaaS環境に向けたDBアーキテクチャの改革がもたらす恩恵は、企業IT部門に限定的なものではない。「コスト削減」「運用効率化」は当然のこととして、企業組織そのものを支える基幹DBをこのアーキテクチャに移行することの利点は、実は経営の在り方にまで影響を与えられるものなのだ。

 例えばDBがマルチテナント型であることから、例えばグループ全体での基幹DB統合や、系列企業や取引先企業へのDB資産配賦と同時に、運用の一括化により、ITガバナンスの最適化も容易に可能になるだろう。また、DBシステムそのものが、アプリケーションに寄らないセキュリティ機能を持つことも、ここでは重要だ。DB運用者が一括してこれらの管理を担うことで、企業の重要資産である基幹業務に関わるデータが確実な形で保全される。

 また、トランザクション処理と並行してデータウェアハウス処理もパフォーマンス性能を落とすことなく実行できる、リソース管理機構が存在することで、直近のデータをリアルタイムで参照して意思決定に生かすことができる。1週間前までのデータを対象としたバッチ処理の結果を議題にして判断を行う必要がなくなる点は、経営判断のリードタイムを短縮する上で、非常に重要なポイントとなる。また、データ活用に際しても、DB側でセキュリティを一定程度担保できることから、安全かつ確実に格納データを提供できる点も重要だ。

 また、DBaaS環境構築について言えば、管理運用の究極の効率化が実現するだけでなく、前述のHDFC銀行のように、新商品開発スピード向上に寄与する。DBの払い出しまでのリードタイムが短縮できるため、他に先んじて顧客ニーズに則した商品を市場に投入できるチャンスを多く獲得できることになるからだ。

 基幹DB改革は、それ自体が企業や事業体全体の判断や行動を左右する重要な事案となるものだ。多くの企業では、既にグローバルでの競争を余儀なくされていることだろう。激しい競争の中で優位に立つためには素早い判断と実行が何よりも重要になってくる。この判断を支える基幹業務データの鮮度や集約度、アクセス容易性が、企業業績に与える影響は少なくないだろう。いつまでも個別最適の環境で個別の基幹業務運用をしていては、柔軟な経営判断も組織運営もままならない時期に差し掛かっている。

 企業情報システムの脱サイロ化が進む中、従来は取りこぼされてきた基幹DBも、ここまで見てきたテクノロジの進歩により、十分に統合・集約による効率化が可能になっている。

 本稿で紹介した事例はいずれも非常に大規模でミッションクリティカルな要件のものであるが、実践企業では、旧来の物理サーバー環境でのDB運用と比較して、移行しただけでパフォーマンスが向上し、なおかつ、管理・運用の効率化を実現している。このプラットフォームの魅力的な点は、こうした移行の先にDBaaSという明確なビジョンが見えている点だ。DBaaSによるDBアーキテクチャ改革は、企業の重要資産である基幹業務データをより柔軟で価値のあるものに昇華するためにも不可欠なものであるといえよう。

より深くDB集約技術の現状を知るために

 日本オラクルでは、本稿で解説したDB集約に関する技術詳細および、最新の企業事例を紹介するセミナーを、東京、名古屋、大阪、福岡の4都市で開催する。日程やセッション内容、申し込み方法は下記リンク先で確認できる。DB統合・集約を課題とする読者はぜひ参加してほしい。

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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2014年5月20日

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関連リンク

「オラクル データベースインサイダー」掲載の先行企業事例。東京海上日動システムズにおけるDB統合の実践を詳述している。

『ORACLE MAGAZINE 日本版』に掲載されているみずほフィナンシャルグループにおけるデータベース共通基盤構築プロジェクトの事例。

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