第1回 軽量ASP.NET開発の概要とSQL Server Expressの準備連載:ASP.NETによる軽量業務アプリ開発(1/3 ページ)

最近ではASP.NETを基盤として多様なフレームワークが開発されている。だが、小規模な業務アプリ開発において、これらは絶対に必要な存在ではない。本連載では、「素のASP.NET」を利用して、簡易的な業務アプリを開発する方法を紹介する。

» 2014年05月13日 18時11分 公開
[arton ]
連載:ASP.NETによる軽量業務アプリ開発
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「連載:ASP.NETによる軽量業務アプリ開発」のインデックス

連載目次

本連載の目的

 本連載では、部門コンピューティング(Excel+VBAで簡単な業務アプリを開発するようなこと)レベルの開発手法として、ASP.NETを利用した軽量Webアプリ開発を説明する。タブレットを利用した業務アプリのプロトタイプ実装や、Excel+VBAの業務アプリのWebアプリへの移行などの参考にしていただきたい。

 なお本連載では、最小限のセットアップでWindowsを活用できるよう、可能な限りGUIツールを利用することなくコマンドラインとエディターのみで開発する方法を説明している。

はじめに

 ASP.NET MVCの発表以降、ASP.NETを取り巻くフレームワークの充実ぶりには目を見張るものがある*1

 本記事は、それに対して悪くいえば逆張りをするものだ。つまり、ASP.NETを素の状態で利用してWebアプリを開発する方法について説明し、その利用を勧める。

 素の状態のASP.NETといっても.NET Framework登場時から用意されていたポストバックを利用したフォームベースのASP.NET(ASP.NET Webフォーム)のことではない。本連載ではそれすら利用せず、直接ASPXファイルにプログラムを埋め込んだ開発方法を説明する(なお、本連載では個別のファイルの拡張子には小文字の「.aspx」を利用するが、ASP.NETの埋め込みHTMLファイルを示す場合はASPXと大文字で記述する)。

 この開発方法を、コードビハインドによるDLLのコンパイルを伴わず、エディターのみで開発することから、ここでは「軽量ASP.NET開発」と呼ぶことにする。比較対象となるのは、フレームワークを利用しないPHPやRubyのWebアプリケーション開発だ。

 なお本記事では、IIS 7.5以上、ASP.NET 4.5を前提とする。RDBとしてSQL Server Express 2008 R2を利用する。これらのコンポーネントは、Web Platform Installerを利用することで簡単にダウンロードとセットアップができる。

Web Platform Installerダウンロードページ Web Platform Installerダウンロードページ
右側の[Free Download]ボタンをクリックして、Web Platform Installerをダウンロードする。

Web Platform Installer画面。[追加]ボタンをクリックしてインストールしたいコンポーネントを追加し、最後に[インストール]ボタンをクリックする Web Platform Installer画面。[追加]ボタンをクリックしてインストールしたいコンポーネントを追加し、最後に[インストール]ボタンをクリックする
ウィンドウの上部に表示されているカテゴリから[製品]を選び、左側のペーンで[すべて]あるいは[データベース]を選択し、右側のペーンで[SQL Server Express 2008 R2]を選んで[追加]ボタンをクリックする(それ以外のものも同時に追加可能)。最後に[インストール]ボタンをクリックすると、追加したもののインストールが開始される。 なお、SQL Server Express 2008 R2のインストール時には既定のデータベース管理者のパスワードを設定し、各種のソフトウェアに関するライセンス条項に同意する必要がある。

 ただし、すでにこれらに準ずる環境が用意できるのであれば、Web Platform Installerを利用する必要はない。例えば、Windows 8.1であればコントロールパネルの[Windowsの機能の有効化または無効化]で[インターネット インフォメーション サービス]−[World Wide Webサービス]−[アプリケーション開発機能]−[ASP.NET 4.5]をチェックすることで、上記のうちSQL Server Express以外を用意できる。

[Windowsの機能の有効化または無効化]でASP.NETを有効にする [Windowsの機能の有効化または無効化]でASP.NETを有効にする
コントロールパネルの[Windowsの機能の有効化または無効化]から[ASP.NET 4.5]と[ASP.NET 3.5]を有効化したところ。

 またRDBについては、本記事ではWeb Platform Installerで取得しやすいことからSQL Server Express 2008 R2を例とするが、バージョンに依存した機能は利用しないので、2012などを利用しても構わない。

 本連載の目的は最初に述べたように、軽量ASP.NET開発を行うための情報を提供することにある。このため、本記事内のサンプルに出現するC#、SQL、JavaScript、HTMLといった個別の技術要素については、特に強調したいことがない限り説明は省略する。読者自らがそれぞれの情報に当たっていただきたい。

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