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» 2014年05月21日 10時00分 UPDATE

3年で辞めさせない、職場で活躍する新人の育て方:資格試験を積極活用して、自ら考え行動する新人を育成する――富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ

富士通ソーシアルサイエンスラボラトリの新人研修は「自ら考え行動させる」のが特徴だ。その研修の内容は、そこに至った経緯は、そして効果はどのようなものなのだろうか。

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「自ら考え行動させる新人研修」とは?

 「講義スタイルの技術講習は3年前から減り始め、現在はほぼゼロです。新人が能動的に学び取るスタイルが主軸になり、講師が一方的に教える量は大きく減りました」

 IT企業の人材育成担当者からの言葉とは思えない発言に、最初は耳を疑った。しかし、そこには長年にわたり工夫と改善を行った末にたどり着いた“現場で伸びるエンジニア育成”のための画期的な研修カリキュラムがあった。この「教えない新人研修」で高い効果を打ち出している企業が、今回取材した富士通ソーシアルサイエンスラボラトリである。

 同社は富士通グループの一員として、Webサイト、CRM、ワークフロー、GIS、情報活用、情報統合、セキュリティ、開発・運用基盤など、さまざまなソリューションを提供するシステムインテグレーターであり、当然、現場では相応の技術スキルが求められる。しかし同社の新人たちは、新人研修で技術について教わらないにもかかわらず、現場での評価が高いという。

 同社で人材育成を担当し、独自の研修カリキュラムを確立した、ビジネスマネジメント本部キャリア開発部主任の高橋浩也氏にお話を伺った。

一方的に教えると、エンジニアが受け身になる

高橋浩也氏 株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ
ビジネスマネジメント本部 キャリア開発部
主任 高橋浩也氏

 「発端は、2008年度に研修で使う言語をCからJavaに変更したことです」。高橋氏は最初に、なぜ「教えない新人研修」が生まれたのかを語ってくれた。

 同社では長らく、独自のカリキュラムで新人研修を実施している。カリキュラムは、業界のトレンドや現場のニーズに合わせて、内容の最適化を毎年図っている。CからJavaへの変更もそうした一環であり、この時点ではまだ講義スタイルの研修だった。

 新しい研修カリキュラムの効果測定として導入したのが、資格試験だ。研修の仕上げとして「Javaプログラミング能力認定試験」にチャレンジさせて、研修の効果を測定することにした。

 試験の結果は上々だったが、配属先からは「新人が現場で課題に直面したときに、上司や先輩社員が教えてくれるのを待つ傾向が顕著だ」という意見が漏れ聞こえた。

 高橋氏は最初、教える内容をさらに増やす方向で修正を試みた。

 アルゴリズム、フローチャート作成、画面設計、コーディング、テスト仕様書作成、ドキュメント作成、コードレビューなど、あらゆるシーンで必要とされる知識を盛り込むよう、カリキュラムを練りに練ったという。

 しかし、それでは問題は解決しなかった。「教える内容を増やせば増やすほど、現場でも教えてもらうのを『待つ』習慣ができてしまいました」と、高橋氏は当時を振り返る。

 また、情報系学科出身者と文系出身のプログラミング未経験者のように、前提条件が異なる新人に、同じカリキュラムで一律に研修を行うのは難しいという課題も浮き彫りになった。

 そこで高橋氏は研修を、「自ら学ぶ力を磨く」スタイルに切り替えた。

自ら計画を立て「自ら行動する」状況に置く

 現在同社で行っている新人研修は、具体的にどのようなものだろうか。

 研修の準備は、入社の半年前から始まる。4月の情報処理推進機構(IPA)の基本/応用/高度情報処理技術者試験の受験を目標に据え、各自が試験準備をするのだ。試験の概要を調べることに始まり、参考書選び、勉強方法の選択などが全て、内定者に任される。準備の過程はSNS(ソーシャルネットワークサービス)で他の内定者と共有し、お互いの取り組みを参考にしたり、困ったときにフォローし合ったりする。この準備期間に、自分がすべきことを自分で決めて、自ら行動することの素養ができる。

 本格的な新人研修は4月からスタートする。期間は3カ月で、カリキュラムは次のようなものだ。

  • 1カ月目:社内ルール、ビジネススキルなどの習得
  • 2カ月目:基礎技術力強化、Java資格試験へのチャレンジ
  • 3カ月目:チームによるWebアプリケーションの作成

 注目すべきは2カ月目以降だ。講義は一切行わず、新人に自ら学ばせるのである。もちろん、能動的なヘルプには前向きに応じる。

 目標は、サーティファイの「Javaプログラミング能力認定試験」だ。同試験の2級は「Javaの一般的な知識や小規模なプログラムが記述できるレベル」、1級は「UMLによる設計に基づき、業務システムの流れを把握し、変更仕様に従ってプログラムの保守ができるレベル」。1級は多くの開発現場で求められる実戦的な内容であるのが特徴だ。

 5月上旬に、2級と1級のどちらを受験するかを新人たちが自分で決める。その後自由に使える時間は、約12日。

 高橋氏の試算では、同試験の2級に合格するためには、プログラミング未経験者で約100時間、つまり1日8時間程度の勉強が必要だ。きちんと計画を立て、計画通りに勉強しなければ、合格は難しい。「自ら計画を立て、自ら行動する状況に置く」のが、この研修の狙いなのである。

 3カ月目は、JSPやServletを組み合わせて、実際のWebアプリケーション開発をチームで行う。資格試験で学んだ知識やスキルを実践で試す場である。いわば研修の総仕上げに相当する。

 こうして研修の全行程を終了した新人たちは、7月1日に各現場へと配属される。

自分から動く習慣が身に付いた

 計画力、分析力、実行力、問題解決能力、コミュニケーション力(経済産業省の社会人基礎力を活用)など、学びの過程で磨くさまざまなスキルに着眼し、新人の成長をサポートするのが、高橋氏の新たなミッションだ。各能力を測定し、レーダーチャートを使って「見える化」する。それをフィードバックして、その結果をまた測定する。高橋氏は新人一人一人の膨大な資料を収めた、分厚いファイルを見せてくれた。

 こうした人材育成側の努力は、教育を受ける側にはどう受け止められているのだろうか。

 入社2年目と5年目に行うプレゼンテーションでは、「教えない」研修を振り返るかつての新人が少なくない。そのほとんどが「自分から動く習慣が身に付いた」「スキルアップの意識が、しっかりと根付いている」など、効果を実感してくれているという。

 高橋氏も「この研修は、自ら学ぶ力を身に付けると同時に、目標を設定し、目標達成のための計画を立て、計画を実施し、振り返るという、いわゆるPDCAサイクルを身をもって学ぶことにもつながります。自分で考えて課題解決に臨めるようになるため、現場での評価も高いです」と、研修の効果に自信を示す。

結果だけではなく、プロセスも有効に活用する

 この研修では、資格試験が大きな役割を演じている。

 一般にいわれる「知識の習得」や「研修の効果測定」はもちろんのこと、何よりも「勉強するプロセスを有効に生かし、自ら考え行動する習慣を身に付ける」ための目標としても、資格試験を活用している。

 同社はなぜ、サーティファイの「Javaプログラミング能力認定試験」を採用しているのだろうか。

 「1級から3級までの3段階に分かれていて、前提条件の異なる新人それぞれのスキルレベルに応じた目標を設定しやすかったのが理由の1つです。2級は初めてプログラミングを学ぶ新人にちょうどいいレベルですし、1級はJavaの知識をもともと身に付けている新人にもやりがいがある内容で、達成感を感じてもらえます。また、文法知識の多寡を問うだけでなく実際にコーディングする問題が多いので、1級合格者は現場で即戦力として活躍できる、という利点もあります。受験料が他のベンダー試験と比較してリーズナブルだというのも、理由の1つです(笑)」

 さらに、試験内容が基本情報処理技術者試験の午後問題の延長上にあり、入社前研修からの流れにうまく組み込めたのも採用理由の1つだという。

 最後に、同社の研修は今後どのように進化していくのか、高橋氏に伺った。

 「近年の新人は、学生時代にグループで何かを成し遂げた経験が少ないように見受けられます。ですので、これまで以上にチームワークを求められるようなカリキュラムにしていきたいですね。複数名で協力しながら取得するような資格試験があれば、ぜひ取り入れていきたいです」

高橋浩也氏 加納昌幸氏 研修開発を行っている高橋浩也氏と加納昌幸氏

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提供:株式会社サーティファイ
アイティメディア営業企画/制作:@IT自分戦略研究所 編集部/掲載内容有効期限:2014年6月20日

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