信じてはいけない転職活動の都市伝説エージェント徹底活用法(5)(1/2 ページ)

転職活動については、さまざまウワサがある。「よさそうな求人を見つけたら、すぐに応募しないといけない」「職務経歴書には都合の悪い職歴は書かなくてもよい」……これらの真偽や対応法を解説しよう。

» 2014年06月18日 18時00分 公開
[リーベル 田中祐介,@IT]
エージェント徹底活用法

連載目次

 転職エージェントの徹底活用法、最終回は、転職活動について世間でまことしやかにささやかれているウワサとその実態、そして、それらにどう対処すればよいかについてお伝えします。

転職活動の都市伝説 TOP5

  1. すぐに応募しないとチャンスはなくなる
  2. 書類選考は、40〜50社は応募するべき
  3. 応募業界や業種はバラバラでも構わない
  4. 職務経歴にはアピールとなる期間だけを書く
  5. 内定が出たらすぐ入社しなくてはならない

※本章では、人材紹介会社のことを「転職エージェンシー」、そこに勤務するキャリアコンサルタントのことを「転職エージェント」と表現します。

1 すぐに応募しないとチャンスはなくなる

ウワサその1:これはと思う求人情報を見つけたら、すぐに応募しないと求人がなくなってしまう

ウワサの真偽

 ウソでもあり、本当でもあります。確かに1、2人の募集で、情報が出た瞬間に応募が殺到して、瞬く間にクローズする求人もあります。しかし、売り手市場の現在は、そこまでの切迫感があるものはそう多くはありません。準備が不十分な状態で焦って応募すると、良い結果を得られなくなってしまうこともあるので、まずはその求人の緊急度を確かめる必要があります。

対応法

 転職エージェンシーを利用している場合は、その募集の緊急度をエージェントに確かめてください。聞いた結果、それでも企業の採用の温度感がつかみづらければ、募集背景などを確認してください。

 自分でできることとしては、過去にその求人が存在していたかどうかを調べるとよいです。「会社+求人名」で検索すると、過去の求人も検索結果に出てきます。それを見て、過去の求人履歴がたくさん表示される場合は、通年採用と思ってもよいでしょう。

 また、企業のWebサイトで募集職種に関連する部門のニュースなどを読み込むなどして、その求人の募集背景を推測したりするのも有効です。

2 書類選考は、40〜50社は応募するべき

ウワサその2:書類選考通過率は5〜10%、内定率はそれよりもさらに確率が下がるから、たくさん応募する必要がある

ウワサの真偽

 ウソです。書類選考の通過率などは統計で算出していると思われますが、それは全体の統計か個別の統計かを確認する必要があります。

 通過率は大学受験でもよく使われますが、恐らく皆さんが参考にしたのは、全国の高校生の大学併願数や大学合格率といった全体統計ではなく、受験する学部や学科ごとの偏差値や倍率ではなかったでしょうか。

 また、書類選考の通過率が10%以下ということは、90%以上は「もともと自分に合っていなかった」という捉え方もできます。また受験で例えて恐縮ですが、一次試験を10校受けて、二次試験まで進んだのが1校だったら非効率であるのと同じです。

 受験も転職活動も、限られた時間と体力の中で行う必要がありますので、ある程度の効率を考えて進める必要があります。

対応法

 転職エージェンシーを利用している場合は、全体統計に合わせるのではなく、自分の経験に合った企業を提案してほしいと転職エージェントに依頼しましょう。

補足

 40〜50社応募して結果的に書類選考を10%程度通過したのであれば、どの企業の面接も受けられます。しかし予想外に高確率で書類選考を通過した場合はどうでしょう。面接に進んだ企業の数が多過ぎると、全て受けることが物理的に難しくなり、相手に会う前に辞退しなくてはならないことにもなりかねません。

 面接を辞退すると、他に進めていた企業から内定が出なかったときに後悔することになります。また辞退の履歴は企業内に残りますので、もし数年後に同じ会社を受けようとしたら、不利に働く可能性もあります。将来何が起こるか分かりませんので、むやみに足跡を残さないようにしてください。

3 応募業界や業種はバラバラでも構わない

ウワサその3:とにかくいろいろや業界や業種に応募すべし。応募する時点で考えをまとめていなくても、企業の話を取りあえず聞きにいけば、そのうち自分の考えもまとまっていくだろう

ウワサの真偽

 場合によります。せっかくの転職活動ですから、現在の業界や業種に縛られることなく、幅広くいろいろな会社を検討してみたいという気持ちはよく分かりますし、それは私も賛成です。しかし、検討をしっかり行わずに、取りあえずバラバラに応募していくことはお勧めしません。

 確かに、面接に行き、話をしていくうちに考えがまとまることもあります。ただ、それは自分の中に考え方なり判断基準なりがあってこそ、可能な話です。そうでない状態で臨むと、「あっちの会社もいい」「こっちの業種も面白そう」と選択肢が増え、まとまるどころか、逆に考えがどんどん四散してしまうことにもなりかねません。

 また、取りあえず受けているかどうかは、大抵の場合、面接官にも伝わっています。そのため、(特に転職活動初期の面接では)選考の通過が難しくなりがちです。せっかくのチャンスを逃してしまわないよう、ある程度は自分の考えをまとめておいてください。

対応法

 どういう理由でその業界や業種を志望するのか、他と比べて何が魅力と感じているのか、志望順位は、などを整理しておきましょう。少なくとも「一次請けSIer」とか「セキュリティ」などの軸を定めてください。内容の妥当性や考えの深浅などは、転職エージェントにチェックしてもらいましょう。

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