日本人のプライバシー保護に対する行動意識は最も低い? EMCの世界的調査で明らかにあなたは利便性と引き換えにプライバシーを犠牲にできますか

ソーシャルネットワークの普及やビッグデータの活用といった動きを背景に、プライバシーに対する関心が世界的に高まりつつある。EMCコーポレーションが実施した「EMC Privacy Index」調査によって、消費者がオンラインのプライバシーについてどのように考えているかについて、矛盾も含めて実態が明らかになった。

» 2014年07月23日 10時00分 公開
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 「オンラインでの利便性や使いやすさを享受するためならば、あなたはどれだけプライバシーを犠牲にできますか?」――そう尋ねられたとき、皆さんならばどう答えるだろうか? EMCコーポレーションは「EMC Privacy Index」という調査を行い、世界15カ国、計1万5000人からの回答を得た。

EMCジャパン RSA事業本部 マーケティング部 部長 水村明博氏

 ソーシャルネットワークが浸透し、一方で企業にとってビッグデータの活用が重要な戦略となっている現在、プライバシーを巡る議論が全世界的に活発化している。つい先日も、米Facebookがユーザーに対する告知なしにニュースフィードに表示される情報を操作する実験を行ったことが明らかになり、物議を醸したばかりだ。こうした情勢を背景に日本でも、政府が個人情報保護法の改正に向けた検討を進めており、「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」を明らかにしている。

 そんな中、2013年8月にオンラインで実施されたこの調査は、消費者がプライバシーについてどのように感じているかを問うものだ。加えて、「公共サービス利用者」「ソーシャルユーザー」といった6つの類型を想定し、それぞれの立場でどう考えるかについても尋ねている。

 EMCジャパン RSA事業本部 マーケティング部 部長 水村明博氏は、「業界全体を見ても、消費者に直接プライバシー意識を問うこのような調査はあまり例のないことだ」と述べ、プライバシーに関する議論や対話を進める上での基礎資料として活用してほしいとしている。

日本の消費者は今後のプライバシー保護に悲観的?

 EMC Privacy Indexによると、「便利で使いやすいオンラインサービスを利用する代わりに、プライバシーを犠牲にしてもよい」と回答した消費者は27%に過ぎない。一方「犠牲にしたくない」という回答は51%に上った。

 国別に見ると、ドイツやフランスといったヨーロッパ諸国で「犠牲にしたくない」という回答が高かった一方、インド、メキシコ、ロシアなどでは「犠牲にしてもよい」という回答が30〜40%と比較的多くなった。日本はというと、「犠牲にしてもよい」が33%、「犠牲にしたくない」が35%で、いずれも真ん中程度という結果だ。

 他国と比べ日本で際立った特徴として、プライバシー保護において行政が果たす役割に対する信頼が極めて低いことが挙げられる。「自国のさまざまな行政機関は一般市民のプライバシーを保護するための作業を行っていると思う」という問いに「同意する」と答えた割合は世界平均で41%だったのに対し、日本はたった17%で、最も低い数値となった。その上、「今後5年間でプライバシーの維持が今よりも難しくなると思いますか?」という質問への回答も、90%が「そう思う」と答え、世界の中で最も悲観的であることが明らかになった。

浮かび上がった3つの「パラドックス」

 水村氏は今回の調査を通じて、3つの「パラドックス(矛盾)」が浮かび上がったと説明した。

 1つは、「全てが欲しい」のパラドックス。消費者はオンラインやデジタル技術による利便性を求める一方、それと交換でプライバシーが損なわれることは避けたいと考えている。

 2つ目は、「何もしない」というパラドックスだ。多くの消費者がプライバシーリスクに懸念を抱き、また不正アクセスなどの被害を経験している一方で、少なからぬ数が「パスワードを定期的に変更する」「ソーシャルネットワークの公開範囲を適切に設定する」といった対策を取らないままだという。

 3つ目は、「ソーシャル環境での共有」のパラドックス。ソーシャルネットワークのプラットフォームやその運営元のスキル、倫理観に信頼を置いている人が少ない一方で、多くのユーザーが自ら、個人情報やプライバシーに関する情報を大量にアップロードしている。

 特に日本では、今後、プライバシーレベルはますます低下するだろうと考える回答者が大多数を占める一方で、プライバシー保護のために自分でできる対策を取っているユーザーは少ない。「プライバシー設定をカスタマイズする」「モバイルデバイスをパスワードで保護している」といった対策を取っている割合は15カ国中最下位で、「政府や企業を信頼していない割には、自分では何もしていない」という矛盾が色濃く表れているようだ。

「プライバシーを守るためにどんな対策を取っているか」を尋ねた結果、実行していると回答した割合は日本が最も低かった

 この結果を受けてEMCでは、企業、テクノロジープロバイダー、それに個人という3つの主体それぞれに提言する。企業には高い柔軟性と透明性の確保を、テクノロジープロバイダーにはイノベーションとプライバシーの保護を両立できるような仕組みの実現を、そして消費者には「自分の身は自分で守る」という心構えで自ら行動を取ることが必要だとしている。

 今後、ソーシャルネットワークやモバイル抜きの生活というのは考えにくい。その中で消費者が自分のプライバシーを管理していくには、サービスを提供する企業、消費者それぞれに考えていく必要がありそうだ。EMC Privacy Indexはそんな課題を浮き彫りにしている。

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提供:EMCジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2014年8月22日

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