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» 2014年07月30日 12時23分 UPDATE

AWS Summit Tokyo 2014:「AWSをなぜ使うか」、一般企業22社が自ら語った採用の理由

2014 年7 月17、18 日に開催されたAmazon Web Services(AWS)の国内イベント「AWS Summit Tokyo 2014」では、基調講演、個別講演、パネルディスカッションに多数の一般企業が登場、自社がなぜ、どのようにAWS を使っているのかを自ら語った。

[三木 泉,@IT]

 2014 年7 月17、18 日に開催されたAmazon Web Services(AWS)の国内イベント「AWS Summit Tokyo 2014」では、基調講演、個別講演、パネルディスカッションに多数の一般企業が登場、自社がなぜ、どのようにAWS を使っているのかを自ら語った。

 IT関連企業や教育・研究機関でない一般企業は22社登場している(筆者の分類による)。そのうち16社の発言を取材したところ、いくつかの傾向が見えてきた。

社内ITインフラの「AWS化」を進める理由

 丸紅、日本通運、協和発酵キリンなどの企業は、社内のITインフラを全面的、あるいは部分的にAWSへ移行する計画で、実際に移行を進めていると話した。

 これらの企業に共通しているのは、ITインフラの社内での所有と運用に限界を感じているということだ。このため、AWSを全面的に使うか、他のクラウドサービスと併用するかは別として、クラウドサービスへの移行を進めようとしている。

im_ait_32itinsider01.jpg IT INSIDER No.31「ユーザー企業自身が語る、AWSを選んだ理由」では、エイチ・アイ・エス、丸紅、ノエビアホールディングス、マネックス証券、日本通運の人たちが語ったAWS採用の理由を収録しました

 例えば、日本通運のITインフラ運用を担当している日通情報システム インフラサービス部の山口健治氏は、これまでプライベートクラウドを構築・運用してきたが、解決されない課題が3つあった、と話した。毎年、ITインフラの調達と構築を繰り返していかなければならないこと、ハードウェアやデータセンター施設の維持管理を続けなければならないこと、そしてサーバ機へのCPU増設などのITリソース管理が煩雑なこと、だった。それは「所有という憂鬱」だったという。

 丸紅 情報企画部長の徳田幸次氏は、「丸紅でも利益に貢献できるITとはなにかを考えることが重要なテーマとなっている。AWSを選んだ最大の理由は、情報企画部のグレードアップ。運用部隊を脱し、戦略的なITにフォーカスしたい。だれに任せるかを決めるのが自分たちだと思う」と話した。

im_ait_32itinsider02.jpg IT INSIDER No.32「続・ユーザー企業自身が語る、AWSを選んだ理由」では、ローソン、ガリバーインターナショナル、積水化学工業、協和発酵キリン、あきんどスシロー、すかいらーく、HOYA の導入責任者/担当者による説明を紹介しています

 社内ITの「クラウド化」は、IT資産のオフバランス化を進めるという経営方針にも後押しされるが、災害対策(ディザスタリカバリ)がもう1つのきっかけとなったとする企業も多い。

 社内ITインフラで災害対策を行うには、遠隔データセンターを確保し、乱暴にいえば本番環境と同等のコスト(構成・対象に依存するため、一概にはいえない)を掛けて冗長化を図ることになる。こうした投資を正当化できず、冗長化の必要性は感じていても実現できないケースがある。しかし、例えばAWS上で業務システムを動かし、スナップショット/レプリケーションでデータを冗長化すれば、シンプルで安価にディザスタリカバリが実現できる。

 SAPをAWS上で稼働しているHOYA財務部IT Groupの守谷祥広氏は、こうした形でSAPの災害対策を行っている。「『やらないよりまし』ということで、スモールスタートでやり始めた。RPO(どの時点のデータに戻れるか)の点では問題だが、実用には耐えられる」としている。

 また、国際的な事業展開を強化しようとしている企業の間では、AWSが全世界でサービスを提供していることへの評価が高い。海外子会社、拠点のそれぞれについて、ITを調達・運用する必要がなく、AWSで業務アプリケーションやデータを一括運用しながら、高速なレスポンスが要求される場合には、各拠点に近いAWSのデータセンターからサービスを提供することもできるからだ。

 社内インフラの移行先としてAWSを選んだ理由としては、多数の評価項目に基づいて比較検討を行った結果とする企業がある一方、「AWSはITインフラ運用のプロ」「クラウドサービスのリーダー」として信頼を寄せる声も多く聞かれた。

ビジネスを進化させるためのツールとしてのAWS

 すかいらーくでは、マーケティング本部が、AWSを直接使っている。データウェアハウスサービスの「Redshift」を採用、POSデータの分析を通じて、勘と経験をデータサイエンスで補完するためのマーケティング活動を目指している。同社インサイト戦略グループ ディレクターの神谷勇樹氏は、経営陣に「情報システム部でもないのになぜ」と聞かれたが、「うまくいけば莫大な利益が得られる、うまくいかなくてもコストはあまり掛からない」と説明して、分かってもらった、と話した。

 ローソンはロイヤリティカード会員の購買データの活用で、事業運営のやり方を大きく変えようとしている。最終的には、自社の情報システムを包括的にAWSへ移行するつもりだが、まずは情報系にフォーカスする、特にビジネス上のメリットを期待しているのは、店舗支援システムだ。各店舗の発注作業における支援は、これまで比較的画一的だったが、各店舗の販売・在庫状況をリアルタイムに吸い上げることで、店舗ごとの発注予測データをリアルタイムに近い形で提供する。また、ヘビーユーザーの深耕のため、「PONTAカード」会員の購買データをフル活用していきたいという。

 「今の時代に競合となるのはITを使いこなす小さな企業だ」と話したのは、マネックス証券 常務執行役員CTOのビーテル・フランケン氏だ。マネックス証券では「短い開発サイクル」「リスクを低く」「コストを小さく」「顧客との距離を短縮」をモットーに、システムを開発している。以前はシステム全体を一気に開発し、慎重に受け入れテストを実施してからリリースしていた。しかし今は、小さな単位で開発してリリース、顧客からのフィードバックを受けて次の開発に進む方式をとっている。これにより、リスクとコストを抑えられ、また顧客のニーズを反映しやすい。

 こうした「リーンスタートアップ」の実践のため、全世界に展開されていることもあって、AWSを採用したという。

 IT INSIDER No.31「ユーザー企業自身が語る、AWSを選んだ理由」、およびIT INSIDER No.32「続・ユーザー企業自身が語る、AWSを選んだ理由」では、AWSを採用した一般企業計11社について、各社の語ったAWS採用の理由とその用途をリポートしています。ぜひご一読ください。

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