米ティントリのストレージ製品がマルチハイパーバイザー対応に富士通とのOEM提携で国内販売も強化

仮想マシン単位でのモニタリングや制御など、独自の機能を持つTintri VMstoreがRHEV 3.0にも対応、年内にはHyper-Vも同様の管理が可能になるという。富士通ETERNUSブランドへのOEM供給と併せて発表があった。

» 2014年09月11日 16時49分 公開
[高橋睦美@IT]

 ティントリジャパンは2014年9月10日、仮想化環境専用のストレージ製品「Tintri VMstore」用ソフトウェアの最新版「Tintri OS 3.0」を発表した。同時に、米国で8月27日に発表したばかりの富士通とのOEM契約についても言及、国内での販売を本格化していく方針を示した。

 Tintri VMstoreは仮想化環境やクラウドコンピューティングでの利用に特化したストレージ製品。仮想マシン単位でI/O性能や容量などの情報を取得・可視化できる。また、通信帯域などのリソース割り当ても仮想マシン単位で制御できることから、柔軟なQoSを設定できる点が特徴だ。

 また、ディスク構成はSSDとHDDを組み合わせたハイブリッド型で、容量は固定となっており、LUNやボリュームなどの設定やチューニングを行う必要なく、容易に導入できることもメリットだという。

 これまでのストレージOSでサポートしてきたハイパーバイザーは「VMware ESX」のみであり、実質的に「VMware専用」であったが、Tintri OS 3.0では「Red Hat Enterprise Virtualization(RHEV)3.3」にも対応、マルチハイパーバイザー対応を実現した。取得できる情報や可視化、制御の範囲はVMware ESXと同内容であるという。

米ティントリCEO ケン・クライン氏

 米ティントリCEOのケン・クライン氏は「今後間もなくマイクロソフトのHyper-V環境にも対応する。この他、vRealize Automation、OpenStackなどとの連携も予定している」と述べ、マルチハイパーバイザー対応の強化や運用管理環境の充実を目指した今後のマイルストーンを示した。

 また、マルチテナント環境での運用を想定し、管理者権限をよりきめ細かく制御できるようにした。Tintri OSの中で三つのロールモデルと権限を設定(ロールベースのアクセス制御:RBAC)、この制御とActive DirectoryやOpen LDAPなどのディレクトリサービスを連携できるようにしている。これを利用すれば、例えば、モニタリング業務だけを行うオペレーターにまで強力な権限を与えるのではなく、データの参照のみを許可するといった運用が可能となる。

 運用管理自動化に向けた機能として、Windowsの標準コマンドラインインターフェースであるPowerShellとVMware vSphere PowerCLIを利用したスクリプティングツール「Tintri Automation Toolkit」を追加した。

 Tintri Automation Toolkitでは、「遅延が20msec以上になったらエラーログを書き出す」「同一のイメージから複数のクローンを作成し、スナップショットのスケジュールを設定する」といった作業をPowerShellコマンドレットで自動化できる。

一つの構成設定済み仮想マシンのコピーを5つ作成する場合のコマンドレットの記述例 数行の記述で複製できる

 同時に、異なる拠点に設置された最大32台のTintri VMstoreを集中管理できる「Tintri Global Center(TGC)1.1」もリリースした。仮想マシン単位だけでなくTintri VMstore単位で性能情報や容量、レプリケーション状況を把握し、モニタリングできる。なお、今回のバージョンアップでは「VMstore T650」の集約率向上も図っており、1システムで最大2000の仮想マシンをサポートできるようになったため、TGC 1.1では最大6万4000台の仮想マシンを一元管理できる。

ティントリジャパン職務執行者社長 河野通明氏

 発表会では、富士通とのOEM契約についても触れられた。この提携では、Tintri VMstoreを「ETERNUS TR series」のブランドで、富士通のサービスやサポートとともに販売する。

 ティントリジャパン職務執行者社長である河野通明氏は「富士通へのOEM提供に際しては、日本企業が求める高い品質を求められた。我々としても製品全体の品質を十分に高められたと考えている」と、品質に関するノウハウ蓄積に富士通とのOEM実現が大きく寄与したことを示した。

富士通 ストレージシステム事業本部VP 工藤哲郎氏

一方の富士通 ストレージシステム事業本部VPの工藤哲郎氏は、今後、富士通は従来の取り扱い製品に加えて、「中〜大規模な仮想化環境を運用するケースを中心に、アプローチできていなかった市場ニーズをTR seriesでカバーしていく」(加藤氏)と、その販売方針を示した。ETERNUS TR seriesとしての国内出荷は2014年9月26日の予定だが、発表を受けて既に50件近い商談が発生しているという。

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