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» 2014年09月29日 15時47分 UPDATE

「EVO:RAILでインテグレータが不要にならない理由」をネットワンに聞いた

ネットワンシステムズが9月26日、ネットワン版EVO:RAILを発表した。だが、EVO:RAILは「インテグレータ要らず」の製品のはず。ネットワンはこの製品をどのようなビジネスに生かそうとしているのだろうか。

[三木 泉,@IT]

 ネットワンシステムズは9月26日、ヴイエムウェアの「EVO:RAIL」に基づく仮想化アプライアンス製品「NetOne Integrated System Appliance for VMware EVO:RAIL」を国内発表した。価格は3年保守を含んで3000万円から。製品に含まれるコンポーネントを別々に購入するのに比べて、半額に近いという。

 EVO:RAIL、およびネットワンがOEMパートナーになったということについては「ヴイエムウェアのEVO:RAILは統合インフラ製品ではない」という記事で取り上げた。今回は、「EVO:RAILは、『インテグレータ要らず』の製品。これをどのようなビジネスにつなげていくのか」に絞って、同社執行役員でチーフマーケティングオフィサーの篠浦文彦氏に改めて聞いた。

使う側、売る側双方のホワイトスペースを開拓できる

 「システムインテグレータ(以下、SIer)」「ネットワークインテグレータ(以下、NIer)」に相当する業者が、海外にいないというのは、実は誤解だ。だが、これだけ大きなビジネスとなっているのは、たしかに日本らしい現象だ。

 EVO:RAILのように導入・運用が簡単だと、SIer、NIerにとっては「インテグレーション」の作業が減るため、扱う意味が薄れるのではないかと思ってしまう。だが、篠浦氏はこれを3つの側面から否定する。

im_ait_netoneevo01.jpg ネットワン版EVO:RAILの「NetOne Integrated System Appliance for VMware EVO:RAIL」

 第1に、ヴイエムウェアにとっても、ネットワンにとっても、EVO:RAILによって、これまで開拓しきれていなかった「ホワイトスペース」を狙えることになる。つまり、VMware vSphereというと運用面での敷居が高いと感じ、Hyper-Vなどを(System Centerなしで)使ったシンプルな仮想化にとどまっていた企業や、大規模組織内の部署だ。例えばデータ分析を専門に行っている企業や組織に、EVO:RAILのようなアプライアンスを使ってもらう余地は大きいという。

 篠浦氏は「売る側のホワイトスペース」も指摘する。これまでヴイエムウェアの認定プロフェッショナルなどの専門家を豊富に持たなかったため、vSphereを事実上顧客に提案できなかったIT製品リセラーに、ネットワンのEVO:RAILを売ってもらうことができる。ネットワンのEVO RAILは、同社による遠隔稼働監視およびサポートを価格に含めている。従って、技術力が不安なリセラーにとっては、導入・運用のどちらについても、心配する必要がないという。

 社内でも、同様な状況はあるという。ネットワーク技術には詳しくても、vSphereについては自信が持てず、顧客への提案をためらってしまうプリセールスエンジニアがいる。EVO:RAILの登場により、こうした人たちにとって「vSphereを売らない理由」がなくなってしまう。

 同社がEVO:RAILで開拓を進める販路はもう1つある。クラウドサービス事業者だ。クラウドサービスを賢く利用するための顧客側のアプライアンスとして、クラウドサービス事業者にネットワン版EVO:RAILを販売してもらうよう、働き掛けているという。

上位のソリューションの基盤として使える

 第2に、インテグレーションの作業が完全になくなるわけではないと、篠浦氏は話す。ネットワンはデスクトップ仮想化(VDI)、ビデオ会議やプレゼンス管理といったコラボレーションソリューションなどに力を入れてきた。EVO:RAILは、こうしたソリューションの基盤として活用できる。仮想化インフラまでの構築にはネットワンとしても手間を掛けずに、その上のソリューションに集中できるという。

 もちろん、それ以前の問題として、仮想化インフラを本格的に活用する際には、セキュリティの確保や負荷分散機能が求められることが多いため、これらを組み合わせることによる付加価値もある。顧客拠点における既存のネットワーク環境や、vSphere環境との連動についても、インテグレーション的な作業は発生する。

 他社が国内でEVO:RAILを提供し始めたとしても、こうした基本的な仮想環境構築ノウハウを武器に、差別化していけると篠浦氏はいう。

サービス的な付加価値への移行の踏み台になる

 第3の理由は、ネットワンがクラウドブローカー的な役割への移行を進めるための、土台になるということだ。ネットワンは、9月26日の同社版EVO:RAIL発表でも、この製品を通じて「クラウドビルダー&クラウドブローカー」への移行を図ると述べている。

 これには、言葉以上の意味がある。遅かれ早かれ、多くの企業は何らかのハイブリッドクラウドを考えるようになる。ヴイエムウェアはこのために「VMware vCloud Air」を提供している。「来年(2015年)には、EVO:RAILとvCloud Airがシームレスに連携できるようになる」(篠浦氏)。

 だが、ネットワンにしてみれば、vCloud Airだけではない。顧客のことを考えれば、(最終的には)あらゆるクラウドサービスから時と場合に応じて取捨選択し、社内インフラとの緊密な連携のうえで利用したいということになっていくはずだ。そのとき、例えばシスコシステムズが進めているクラウドネットワーク構想「Intercloud」への対応が必要になることも考えられる。さらに、それ以外のクラウドサービスとの連携ができるにこしたことはない。

 社内インフラとクラウドサービスを連携させるには、まずクラウドサービスやクラウドアライアンスごとに異なるVPN接続手法への対応が求められるようになる。これには、ネットワンの蓄積しているネットワーク関連のノウハウが生かせる。さらにいえば、ハイブリッドクラウドとは、仮想マシンを自由に行き来させられるというだけの話ではなく、ミドルウェアあるいはアプリケーションレベルの移行ができるようになる必要があるかもしれない。

 こうした点を含めてクラウドブローカーになろうとすれば、必然的にそれは一時のインテグレーションだけでなく、サービス的な色彩を帯びてくる。だが、ネットワンが突然、「明日からクラウドブローカー・サービスを提供します」と言ってみたところで、顧客にとっては雲をつかむような話になる可能性がある。一方、EVO:RAILのような製品をすでに導入してくれている顧客に対して、「EVO:RAILを各種クラウドとの連携の、お客さまにとってのハブあるいは統合ポイントとして使えるようになりますよ」と言えば、実現性の高い話として受け取ってもらえる可能性が出てくる。

 すでに述べたが、EVO:RAILの価格には、ネットワンによる遠隔監視・サポートサービスが含まれている。これによってサービス事業の基盤を強化し、クラウドブローカー的なサービスに広げていくというシナリオを、ネットワンは描いているようだ。

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