連載
» 2014年11月28日 19時00分 UPDATE

情シスの本棚(番外編) 紹介書籍を抽選で3名様にプレゼント!:最新の現場から届く「継続的デプロイ」「コードとしてのインフラ」などへの実践的なアプローチ(抽選で紹介書籍を3名様にプレゼント!)

アジャイル、DevOpsといった文脈において近年注目を集めている、「Webサイトやオンラインサービスの開発・運用」ノウハウ。書評連載「情シスの本棚」、今回は番外編として、Publickey 新野淳一氏による「ウェブオペレーション − サイト運用管理の実践テクニック」(オライリー)の書評を紹介する。

[新野 淳一,Publickey]
本連載「情シスの本棚」のインデックス

連載目次

本記事はPublickeyで2011年に公開された記事を転載して紹介するものです。

「ウェブオペレーション − サイト運用管理の実践テクニック」

ALT ●Yahoo!でさまざまなサービスを立ち上げたエンジニア、ソーシャルゲームの大手Zyngaのストレージマネージャ、Ganglia・Chef・Maatkitといったツールの開発者などが、 インフラとアプリケーションのメトリクス、機能低下の人的要因、継続的デプロイなどについて、具体的な事例を挙げて紹介しています(●John Allspaw,Jesse Robbins:編集)/角征典:翻訳●オライリージャパン●ISBN-10: 4873114934●ISBN-13:978-4873114934●発売日:2011/5/14)

 オライリーから献本いただいた書籍「ウェブオペレーション − サイト運用管理の実践テクニック」。Webサイトの運営ノウハウ本ならApacheの設定やチューニングといった一般的な事柄が載っているのかと想像してページを開いてみると、見事に裏切られました。

 本書のテーマとなっているWebサイトの運用管理、Webオペレーションは、変化の渦中にある仕事です。

 変化というのは、例えばインフラの面ではクラウド化とそれに伴ってプログラマブルなインフラが登場し、スケーラブルなアーキテクチャの重要性が高まっています。ソフトウェアデリバリの面では、パッケージソフトからオンラインサービスへという大きな流れがあり、それに重なるように新機能を継続的にデリバリしていくという継続的デプロイやアジャイル型の開発が注目されるようになってきました。

現場から届く18章のエッセイ

 本書はこうした新しい時代のWebオペレーションを実践しているさまざまな著者によって執筆された18のエッセイで構成されています。1章から17章までは翻訳ですが、18章はクックパッドの濱崎健吾氏が同社のインフラ運営について執筆しています。

1章 ウェブオペレーション:キャリア

2章 Picnikにおけるクラウドコンピューティングの利用とその教訓

3章 インフラとアプリケーションのメトリクス

4章 継続的デプロイ

5章 コードとしてのインフラ

6章 監視

7章 いかにして複雑なシステムは失敗するか

8章 コミュニティ管理とウェブオペレーション

9章 予期しないトラフィック急増への対応

10章 開発と運用の協力と連携

11章 訪問者の気持ち:ユーザ対面メトリクス

12章 ウェブにおけるリレーショナルデータベースの戦略と戦術

13章 障害を活用する:ふりかえりの技芸と科学

14章 ストレージ

15章 非リレーショナルデータベース

16章 アジャイルインフラストラクチャ

17章 夜中に聞こえる奇妙な物音(と、ぐっすり眠る方法)

18章 日本の料理のインフラ

 第1章では、明確なキャリアパスというものが存在せず、ネットワークからOS、ストレージ、データベースまで幅広い知識と、ツールを使いこなす能力、経験が要求されるWebオペレーションの難しさと心構え、そして魅力を説いています。

 第2章では、写真編集ツールをオンラインで提供しているPicnikが、実際にどのようにクラウドを利用し、運営しているのかが説明され、第3章ではメトリクス収集システムのGangliaの実践的な使い方を紹介。

 第4章を読むと、多くの読者が実際に継続的デプロイを試してみたくなるのではないでしょうか。ここでは「ソフトウェアは小さなバッチで設計・実装・デプロイすべきだ」という主張を、「小さなバッチはフィードバックが早い」「小さなバッチは問題を局所化する」「小さなバッチはリスクを減らす」「小さなバッチはオーバーヘッドを減らす」といった多くの例とメリットで説明。「継続的デプロイは学習を促すので、チームのスピードは次第に速くなっていく」と、その効果を訴えています。

 第8章は、Flickrのコミュニティディレクタが、ユーザーコミュニティとどうコミュニケーションをとるのかという非常に貴重なインタビューです。いまやWebサイトの運営にとってユーザーコミュニティからのフィードバックは欠かせません。特にWebサイトに障害が発生したとき、ユーザーコミュニティにいつ、どのように知らせ、社内で障害と闘っているチームとどう連係するのか、参考になる情報が詰まっています。

 第10章で扱っているのは開発と運用の協力という、これまた重要なテーマ。インフラを共有する具体的な方法、信頼関係をどう結ぶか、組織はどうしたらよいか、示唆に富んでいます。

 第12章ではリレーショナルデータベースをバックエンドにしたとき、どのようにスケーラビリティを確保するのか、シャーディング、キャッシュ、マスター/スレーブといったテクニックやアーキテクチャの実際に触れています。15章ではCassandra、HBase、CouchDB、MongoDB、RedisといったNoSQLの解説と事例。

 第17章では事業継続計画(Business Continuity Plan)のために何をするべきか、日本でも震災を経験し、BCPについて以前に増して真剣に検討されているところも増えてきていますが、BCPを具体的に考えるとはどういうことか、データセンターをいくつにするのか、といった規模で考えられた教訓を知ることができます。

問題に立ち向かう読み物としても十分面白い

 駆け足で紹介してきましたが、本書はWebサイトの運営に関わっている人にとって、現場を適切に切り盛りし、ビジネスを前進させるためにどんなことを考え、実践していけばいいのか、非常にためになる教訓があふれています。全部をいますぐに実践することはできなくても、明日からでも取り入れてみたいノウハウ、仕事や組織の指針となるアドバイスがきっとあるはずです。

 それだけでなく、本書は最新のWebサイトの開発、運用の現場がどのような課題を抱え、それにどう取り組んでいるのかを描いた読み物としても十分に面白いものといえます。大きな進化にさらされているWebオペレーションの現場で、系統だった方法論も教科書もない中、現場のエンジニアがどのような知恵と技術で問題を解決していこうとしているのか、現在進行形のドキュメンタリーとしても読むことができるでしょう。Webサイトやオンラインサービスの運用に関わっている方におすすめします。

本文中の仮名遣いは、オリジナルであるPublickey、紹介書籍の仮名遣いを踏襲しています。

募集要項
応募期間 2014年11月25日(火) 〜 2014年12月25日(木)
応募条件 アイティメディアIDの登録ユーザー
当選発表 当選された方には配送先の住所をお聞きするために登録メールアドレスにEメールをお送りします。配送先住所をご記入の上ご返信いただいた方にプレゼントをお送りします。
当選無効 Eメールのご返信は7日以内とさせていただきます。8日目以降にご返信いただいても、当選は無効とさせていただく場合があります。
応募上の諸注意 ・キャンペーン期間中にアイティメディアIDの登録を削除された方は対象に含まれません
・当選者の権利は譲渡・換金・変更することはできません
・厳正な抽選の上、当選者の方へ賞品を発送、もしくはご連絡を差し上げます。なお、賞品のお届け先は日本国内に限らせていただきます。抽選と発送は2015年1月下旬〜2月下旬の予定です
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