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» 2014年11月28日 19時00分 UPDATE

OpenStack最前線〜ユーザ会メンバーが持ち回りで語る「OpenStackのリアル」〜(3):OpenStack Summit 2014 Paris から見るOpenStackのアジア動向 (1/2)

特集記事と同時に、日本OpenStackユーザ会メンバーが超ホットでディープな最新情報をコラムスタイルで紹介していく@IT特集「OpenStack超入門」。コラム第3回は日本OpenStackユーザ会 会長の中島倫明氏とボードメンバーの長谷川章博氏が、2014年11月にパリで行われたOpenStack Summitの模様を紹介する。

[中島倫明/長谷川章博,日本OpenStackユーザ会]

OpenStack、日本での浸透度は世界第2位

 2014年11月3〜7日にフランスのパリで開催されたOpenStack Summitには世界各国から4500名以上の参加者が集まり、多数の事例、ハンズオン、最新技術・製品発表、次期バージョンに向けた開発者会議、運用者ミーティングなど、盛りだくさんの内容をもって盛大に行われました。

 このサミット中に公開されたOpenStack User Survey Insights: November 2014のデータに興味深い結果が表れていたので、サミットの内容と合わせて今回のコラムで取り上げたいと思います。

 まずは図1を見てください。一つ目は調査の回答者の分布をリージョンごとに可視化したもので、1位は北米ですが、2位はロシアを含む東アジア圏になっています。

ALT 図1 「OpenStack User Survey Insights: November 2014」の回答者分布

 図2のグラフは国別のユーザー数ランキングです。1位は米国で圧倒的にユーザー数が多いのですが、2位はなんと日本です。今回のサミットで、「2015年 秋サミット」が東京で開催されることがアナウンスされました。これには、こういった日本でのOpenStackの盛り上がりをOpenStack Foundationが評価しているという背景があると思われます。

ALT 図2 OpenStack、国別のユーザー数ランキング

OpenStack Summit、日本からの5つの発表

 このように、OpenStackへの関心が高い日本ですが、日本からの参加者は今回のサミットでどんな発表をしていたのでしょうか? また、日本以外のアジア各国でのOpenStack事情はどのようになっているのでしょうか? この二つを紹介したいと思います。

 サミットでは、「カンファレンス」「開発者会議」「運用者会議」の3つのカテゴリに分かれて発表が行われますが、ここではカンファレンスを紹介します。このカンファレンスにおいて、日本のユーザーは5つのセッションに登壇しました。この発表枠を取るには、Summitのスポンサーになるか、Speaker Proposal(申し込み)を行ってコミュニティメンバーの投票を受けた上で、さらにFoundationによる審査をパスする必要があります。Summitは年々参加者が増えており、今回の倍率は10倍に達したとの話を聞いています。この5つの発表の概要を簡単にお伝えしたいと思います。

Design and Operation of OpenStack Cloud on 100 Physical Servers (NTT DOCOMO)

 このセッションでは、NTTドコモが行った大規模な実証実験によって得られたOpenStack環境構築のノウハウが発表されました。発表は、NTTドコモ 五十嵐健氏、NEC 元木顕弘氏。Neutronの仮想ネットワークに対するパフォーマンスのチューニングと、OpenStackバックエンドミドルウェアの高可用性がテーマです。さまざまな条件下でパラメーターを変化させ、ネットワークのパフォーマンスがどのように変化するか、という貴重なデータが惜しげもなく公開され、150名の部屋は満員に。立ち見が出るほどの盛況でした。

 発表が終わるとスピーカーの五十嵐氏、元木氏の周りは「さらに詳しい話を聞きたい」という人たちであふれていました。この2社からは発表に合わせて以下のプレスリリースが発表されています。

参考リンク

Case Study: Multi-regional, Multi-petabyte, Multi-clusterd Object Storage Powered by OpenStack Swift

 こちらはNTTデータから梶波崇氏による発表です。オブジェクトストレージ「Swift」へのマイグレーション案件を通じて得られたノウハウが発表されました。既存環境はハイエンドストレージ製品を利用しており、そこからSwiftへ移行するために、どのような取り組みを行ったのか、という内容です。発表後には活発な質疑応答が行われ、参加者からの関心の高さがうかがえました。

The Road to a OpenStack Native Application: What if VMs are Treated as Linux Processes?

 3つ目は、伊藤忠テクノソリューションズから金子雄大氏、沖縄オープンラボラトリー鳥居隆史氏、中島(筆者)の3名で行いました。この発表では、「RACK」という新しいオープンソースソフトウェア(以下、OSS)に関する技術を紹介しました。これはOpenStack上でVMをプロセスのように生成・コントロールすることで、従来のアプリケーションよりも効率的にクラウド上で動作する、”OpenStack Native Application”を作ろうという先進的なアプローチです。発表の最後で、「今後、このプロジェクトをOpenStackのコア技術として採用してもらいたい」との思いを語りました。

Meet the OpenStack Ambassadors

 こちらは少し雰囲気が変わって、各国のOpenStack Ambassadorたちが活動状況を共有するミーティングです。Ambassador(大使)とは各国のユーザー会でOpenStack Foundationと連携して、ローカルコミュニティ支援する役割のことで、さまざまな場面でFoundationとの窓口となります。今回は9名のAmbassadorが参加し、活発に意見交換が行われました。日本のユーザー会からは、NECの吉山晃氏が参加しました。

User Group Panel: India, Japan, China

 最後は中国、インド、そして日本のユーザー会代表によるパネルディスカッションです。日本からはビットアイル総合研究所 長谷川章博氏(Ambassadorも兼務)が登壇しました。それぞれのユーザー会が行ってきた活動報告から始まり、各国での悩みや、コミュニティ運営の方法について、参加者も交えた情報交換が行われました。

 今回はここで長谷川氏にバトンタッチし、パネルディスカッションの内容を少し掘り下げてお伝えしたいと思います。

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