Webブラウザーだけで学ぶ機械学習の「お作法」Webブラウザーでできる機械学習Azure ML入門(2)(2/4 ページ)

» 2014年12月01日 20時30分 公開
[あけり@IT]

お作法2:データの整形

 続いて「お作法2:データの整形」を見ていきます。

 元のデータがあらかじめ機械学習を目的に作られたデータであれば良いですが、大抵の場合は、何らかの別の目的で作られたログデータや、POSから送られてくるデータなどでしょう。これらは、特定の目的で実施する機械学習のために作られたデータではないはずです。ですから、機械学習に適した形にするために、データを整形していきます。この作業のことをデータクレンジング(データクリーニング)などと言ったりもします。

 この作業は外部のツール(例えばExcelなど)で行うこともできますが、Azure MLではAzureのクラウドストレージに保存されたデータをそのまま使うこともできるようになっています。シンプルな機械学習の部分だけを提供するのではなく、データクレンジング機能にも踏み込んでサービスを提供しているのは、こうしたデータの利用方法を念頭に置いているからでしょう。

 それでは、今回のサンプルフローに戻りましょう。上から二段目を見ていきます。

サンプルフローの上から二段目

 「Restaurant ratings」は「Split」という機能につながっています。「Restaurant customer data」と「Restaurant feature data」はそれぞれ「Project Columns」という機能に接続されています。「Split」と「Project Columns」は、ML Studio左ペインの「Data Transformation」という大カテゴリに含まれている、データ加工をするための機能です。この二つのうちのまずはSplitから見ていきます。

左の箱:Split

  ML Studioのサンプルを見ると分かるように、「Restaurant ratings」のデータを Splitという機能に渡しています。Splitにデータを渡すことで、データを二つに分割します。Splitにはいくつかのモードがあり、このサンプルの場合は「Recommender Split」というモードを使ってデータを分割しています。

 このモードでは「Recommender Split」と呼ばれる、レコメンドエンジンのための機械学習に適した分割をします。Spilitにはこの他にも、正規表現による分割や単純に行単位で割合を決めて分割するモードがあります。

 下図は、Spilitの箱をクリックして出現するコンテキストメニューから「Propertes」をクリックしたときの表示です。使っているモードや、パラメーター類の値が確認できます。

Splitのプロパティ

 「Recommender Split」では、一部を学習のために使用し、別の一部を評価用に使うようになっています。左側の出力は学習のために利用し、右側の出力は検証用に利用します。

中央と右の箱:Project Columns

 次に「Project Columns」を見ていきます。

 実際にデータを見ていった方が理解しやすいので、上段中央の箱「Restarunt customer data」からつながっている方の「Project Columns」がどのような出力をしているか見てみましょう。下段中央です。出力データを確認するには、先ほどと同じようにコンテキストメニューから「Visualize」をクリックしてください。

 すると、「userId」「latitude」「longitude」「interest」「personality」の5個の項目が表示されています。

「Project Columns」の出力を表示してみる

 もともとのRestaurant customer dataは以下のような列が存在していました。

Restaurant customer dataに含まれるデータ列
Restaurant customer data
userID
latitude
longitude
smoker
drink_level
dress_preference
ambience
transport
marital_status
hijos
birth_year
interest
personality
religion
activity
color
weight
budget
height

 このようにProject Columnsでは、入力されたデータの中から、必要なカラムだけを抜き出す時に利用します。ここでは中央の箱だけを見ていますが、右側も同様に取得したデータから必要なカラムを抜き出しています。ここでは省略しますが、各自で確認してみてください。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。