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» 2014年12月08日 13時00分 UPDATE

「中小型スイッチは消える」?:米ブロケードCEO、「インテル命」発言の意味

ブロケードが2014年12月5日に東京都内で実施した戦略説明で、米本社CEOのロイド・カーニー(Lloyd Carney)氏は、「当社はインテルの波に乗っていく」と話した。それはどういう意味なのか。

[三木 泉,@IT]

 ブロケードが2014年12月5日に東京都内で実施した戦略説明で、米本社CEOのロイド・カーニー(Lloyd Carney)氏は、インテルとの関係を強調し、さらに「最終的にはローエンド/ミッドレンジのスイッチは消滅し、インテルベースのアーキテクチャに取って代わられる」と話した。

im_ait_brocadecarney01.jpg 米ブロケードCEOのロイド・カーニー氏

 カーニー氏は、今後ネットワークに求められる要素として「動的・自動的な構成と運用」「オープン&オープンソース」「ネットワークレベルのインテリジェンス」「長期のライフサイクル」「ユーティリティベースのコスト」を挙げ、同社はこれらを実現するために努力していると話した。それが同社の最近掲げている「New IP」というビジョンの内容なのだという。

 カーニー氏は特に、OpenFlow、OpenStack、OpenDaylight、OPNFV、さらにこれらに絡めてインテルのx86チップに関する活動を強化していることの重要性を強調した。インテルについては、「最新チップで80Gbpsも出せるようになった。当社はインテルの波に乗っていく」と話した。

 だが、カーニー氏は同社のネットワークハードウェア製品をインテルチップに移行させると言ったわけではない。x86ベースの汎用コンピュータ上で動くソフトウェアルータ「Brocade Vyatta vRouter」が、今後ますます戦略的にいって重要になるということだ。カーニー氏は、筆者の質問に、次のように答えている。

 「多くの顧客は、まだSDNへの準備ができていない。しかし、(ブロケードが提供している)OpenFlow対応、OpenStack対応のスイッチを採用すれば、SDNに移行したときにもこれらの機器を活用できる。一方、デジタルカメラでは(携帯電話によって)ローエンド/ミッドレンジの市場がなくなった。ネットワークでも、最終的にはローエンド/ミッドレンジのスイッチは消滅し、インテルベースのアーキテクチャに取って代わられる。大型のコアネットワーク機器によるルーティング/スイッチングが残るだけだ」。

 つまり、カーニー氏が言いたかったのは、今後、独自設計のチップやハードウェア自体は、コアネットワーク機器を除いては徐々に積極的な価値を持たなくなってくるということ、そしてSDNにしろ、ソフトウェアルータにしろ、ソフトウェアの価値が相対的に高まってくるということだ。

ブロケードの「New IP」には、中身があるのか

 上記のようなブロケードの言い方を「中身がないもの」と批判するのは、おそらく誰にもできない。次のような事実があるからだ。

  • ブロケードは、欧米でネットワークハードウェア製品を対象とした従量課金を提供開始している。これは、利用ポート数に基づき、ネットワーク製品に対する支払いをするというもの。特にクラウドサービス/データセンター事業者にとってメリットのある仕組みだ。新サービスの立ち上げの際に伸びは予測しきれないが、取り合えずネットワーク機器だけは配備しておき、使わなかった場合にはその分を支払わなくて済むからだ。実際には、顧客側の監査上の都合もあり、例えば四半期ごとの利用見通しに基づいて、紳士協定的に提供している例が多いという。
  • デヴィッド・メイヤー(David Meyer)氏、ケヴィン・ウッズ(Kevin Woods)氏など、シスコやジュニパーから著名なエンジニアがブロケードに次々と移籍、チームとしてOpenDaylightやSDNに関する活動をしている。「私はこのチームを、ビジネス的なプレッシャーから隔離している」(カーニー氏)。そして同社は、差別化要素を持たないOpenDaylightコントローラを発表している。
  • Vyatta vRouterでは、ネットワーク転送高速化開発キット「DPDK(Data Plane Development Kit)」の開発でインテルに協力、ある関連ベンダーによると、キャリアNFVの商談ではvRouterが指名されることも多いという。
  • データセンタースイッチ製品群「Brocade VDX」では、以前より「イーサネットファブリック」というソフトウェア機能で低プロトコルレイヤでのネットワーク運用の課題を解決し、一方で同社の主要スイッチ/ルータ製品は、全てOpenFlowに対応している。

 ブロケード日本法人の代表取締役社長、青葉雅和氏によると、日本ではVDXがデータセンターネットワーク機器で第2位のシェアを獲得、リーダー的存在になっているという。「国内のデータセンター事業者は、技術に注目してくれている」(青葉氏)。

im_ait_brocadecarney02.jpg 国内のデータセンター事業者のほとんどがVDXを採用しているという

 今後は一般企業へのVDXの拡販に力を入れるが、企業ではサーバーとともにスイッチを購入することが多く、サーバーベンダーによるVDXのOEM提供が、この点で追い風になっているという。また、一般企業のネットワーク製品選択に影響を与えるシステムインテグレーターへの働き掛けも強めていくという。

 青葉氏は、ネットワーク機器の従量課金について、国内でも調整中だと話した。顧客からは強い要望があり、近い将来に実現するだろうとしている。

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