ハイブリッドクラウドを誤解していないか、重要なのはアプリケーションだF5 AGILITY Tokyo 2015

「クラウドファースト」「ハイブリッドクラウド」のキーワードの陰で、忘れ去られてしまっていることがあるのではないか。F5ネットワークスジャパンの帆士敏博氏と、アイティメディアの三木 泉が語り合った。

» 2015年01月19日 10時00分 公開
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 「ハイブリッドクラウド」を安易に語る人がいるが、その意味をよく考えてみる必要があるのではないか。アイティメディア ITインダストリー事業部 エグゼクティブエディターの三木 泉が、F5ネットワークスジャパン シニアソリューションマーケティングマネージャ 帆士敏博氏と語り合った。

三木 私は各種のクラウドサービスやプライベートクラウドについて取材し、ITアナリストなどさまざまな方々とお話しする機会がありますが、クラウドサービス利用に関して、重要なことがなおざりにされがちな気がしてなりません。

アイティメディア ITインダストリー事業部 エグゼクティブエディター 三木泉

 特定のクラウドサービスをとことん信じて、それと心中するという考え方も当然あると思います。ただし、そのリスクは無視できない。ユーザー企業は、クラウドサービス利用を自社でできるだけコントロールできるようにするのが得策だと思います。

 クラウドは一回決断して終わりにするべきものではないはずです。何らかのアプリケーションで、あるクラウドサービスを使い始めた後も、さまざまな事情によってそのアプリケーションを他のクラウドサービスに移行するかもしれないし、社内に戻すかもしれない。つまり、特定のアプリケーションやそのデータを、極端にいえば明日、別の場所に動かす必要が生じた場合にも、対応できるようにしておいたほうがいいということです。

帆士 同感です、例えばオンラインゲームのビジネスを考える企業が、ビジネスの立ち上げ時にすぐに使えて、出来るだけ低コストなITインフラを使いたいと考えるのは当然です。しかしその後、ユーザーが拡大し、収益を生み始め、顧客情報も増えてくるとなると、話は違ってきます。顧客情報の流出リスクやサービスダウンによるビジネス損失が増大するからです。そうなると、より安定し、セキュリティが堅牢な別のクラウドサービスへ、あるいは自社でインフラを構築してそちらへサービスを移行したいといいうことが起こり得ます。ビジネス上の要件に基づき、アプリケーションのライフサイクルのステージに則したITインフラを選択するという思考の順序は、おそらく永遠に変わらないだろうと思います。

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三木 もう一つ感じるのは、「『オンプレミスだけ』とか『パブリッククラウドだけ』ではなく、ハイブリッドクラウドだよね」と安易に言う人が多い。では、「その『ハイブリッドクラウド』は何かを理解して話しているのか」ということです。一部のベンダーは、仮想マシンを右から左に動かすツールを、「マルチクラウド管理ツール」や「ハイブリッドクラウド管理ツール」などと称して提供していますが、複数のクラウドを使うのであれば、その際にさまざまな課題がある。そのうちの一部しかこの種のツールは解決してくれません。

 企業の社内業務アプリケーションであっても、ゲームのサービスであっても、どこのクラウドサービスを使っているのか、オンプレミスで動いているかというのは、アプリケーションを使っている人にとっては関係のない話です。クラウド間で仮想マシンやアプリケーションを移行できるというのは、ITの管理者にとっては重要ですが、ユーザーの観点からは、どれだけ、安心して快適に使える環境が提供されるかがポイントになります。ハイブリッドクラウド管理ツールや、マルチクラウド管理ツールは、こうした環境の提供を積極的に支援できるものに進化していってほしいと思います。

帆士 ええ。例えば私はマーケティングのチームに属しているので、マーケティングオートメーションのツールを使っています。これはクラウドサービスですが、ユーザーである私はマーケティングの業務をしたいのであって、このサービスがどこで動いるかは重要ではありません。ただし、例えば検索クエリのパフォーマンスが悪く、データを取り出すのに1時間掛かって仕事にならないとか、重要な個人情報が漏れたら困るとか、そういったことを心配したくありません。ではそういう時に、インフラ側はどうあるべきなのか。これがインフラを考えるための起点かなと思います。

三木 では、アプリケーションによってオンプレミスで動かしたり、クラウドで動かしたりしながら、消費者や取引相手、社内ユーザーに対して最適なITサービスを提供したいと考える人たちのために、F5ネットワークスの提供する機能や技術は、どう役に立つのですか?

帆士 SaaSの利用が広がるにつれ、最近 要望が大きい例として、認証連携があります。企業では、クラウドアプリケーションの利用が増えていく中でも、アクセスの認証やアクセスポリシーはきちんと管理したいというニーズが非常に強いです。F5ネットワークスは、これを支援する技術を提供しています。

三木 具体的にはどういうことですか?

F5ネットワークスジャパン シニアソリューションマーケティングマネージャ 帆士敏博氏

帆士 例えば、Office 365やSalesforceなどのSaaSを採用する企業が、社内のActive DirectoryとSaaSで、ユーザーアカウントを別個に管理しなくてはならないのでは、運用が煩雑になるばかりか、セキュリティ上の弱点になってしまうことが考えられます。また、国内では特に、従業員が個人所有の端末を勝手に使い、業務アプリケーションにアクセスすることを防ぎたいという管理者が多いです。しかし、SaaSのようにアプリケーションがインターネット上にあると、通常はどんな端末からも、インターネットを経由して直接アクセスできてしまいます。

 F5ネットワークスでは、こうした課題を解決するため、SAMLという技術を用い、社内のActive Directoryと、各種クラウドサービスのユーザー認証を連携させる機能を提供しています。また、管理者により許可された端末であるかどうかをチェックすることもできます。この機能を使えば、社内のActive Directory認証が済んだユーザーや管理者に許可された端末でないと、Office 365を利用できなくなります。今後も様々なSaaSサービスが開発されるでしょうし、複数のSaaSを採用し、組み合わせてユーザーに提供する形態は広がっていくので、認証連携が必要なシーンは増えてくると思っています。

 もともと、F5ネットワークスでは、アプリケーションの可用性、セキュリティ、パフォーマンスの向上に焦点を当て、BIG-IPなどの製品を通じて、グローバル負荷分散、SSL暗号化、Web高速化、WAF(Web Application Firewall)など、多数の機能を提供してきました。これらのほとんどは、複数のクラウドを臨機応変に活用しながら、ユーザーに対して一貫した可用性、セキュリティ、パフォーマンスを提供するのに役立ちます。

 つまり、任意の複数のクラウドサービス上のアプリケーションを組み合わせて仮想データセンターを構築できます。アクセス急増によりアプリケーションのパフォーマンスが低下しそうになった場合には、グローバル負荷分散を生かして、アクセストラフィックを他のクラウドサービス上のアプリケーションに自動的に誘導するなどが可能です。セキュリティについても、各アプリケーションに必要だと考えるポリシーを、クラウドサービス上でも適用できます。

三木 レイヤは違いますが、物理的な限界を打破するという点では、SDN(Software Defined Networking)に相通じるところがありますね。

帆士 はい、そう考えています。一般的なSDN技術は、レイヤ2〜4に着目していますが、サービスの提供者とユーザーの双方にとって最終的に重要なのはアプリケーションです。ですから、SDNでカバーされない部分を補完する必要があると思いますし、F5ネットワークスでは、レイヤ4〜7に注力することで、その役割を果たしていくつもりです。

 F5ネットワークスというと、ハードウェア・アプライアンスの会社だというイメージの方が多いと思いますが、当社は自らを、ハードウェアの会社ではなく、アプリケーションに必要な機能をレイヤ4〜7のネットワーキング技術を駆使して提供する会社だと位置付けています。そして、こうした機能を柔軟に、各企業のクラウド利用形態に合わせて活用できるような選択肢を充実させようとしているところです。ぜひご期待いただきたいと思います。

2月25日(水)開催決定(参加無料)! - F5 Agility Tokyo 2015 -

設立15周年を迎えたF5ネットワークスが考える「クラウド × ネットワーキングの世界」をテクニカルセッションだけでなく特別講演や事例講演、パネルディスカッションを通して、広く深く知ることができるイベントです。

是非、クラウド活用含めた今後のITインフラを熟考する機会として、ご活用ください。

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<<< 注目セッション >>>

【特別講演】
ビジネスを強くするIT戦略と最新テクノロジーへの取り組み

ウェッジ・コンサルティング 代表取締役社長 (元ファイザーCTO) 矢坂 徹 氏


【パネルディスカッション】
SDNはビジネスにどう生かされるべきか?
〜アプリケーションデリバリが担うこれからの役割を紐解く〜

モデレーター:新野 淳一 氏

パネリスト:日本マイクロソフト、ビッグローブ、サイバーエージェント、F5ネットワークスジャパン


【事例講演】
楽天のサービストラフィックを捌くBIG-IP

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約30のセッションと業界を代表するソリューションの展示で学ぶ

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提供:F5ネットワークスジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年2月20日

元ファイザーCTO 矢坂氏が語る!「ビジネスを強くするIT戦略と最新テクノロジーへの取り組み」

「Publickey」の新野淳一氏によるパネルディスカッション『SDNはビジネスにどう生かされるべきか?』

F5 Agility Tokyo 2015 2月25日(水)開催 ANAインターコンチネンタルホテル東京

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