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» 2015年01月29日 18時00分 UPDATE

ものになるモノ、ならないモノ(60):「ゲームギフト」とリワード広告アプリの違いは? (1/2)

スマホゲームのエコシステムをご存じだろうか。リワード広告アプリのようなギリギリの仕組みとはちょっと異なる、「三方一両得」を実現しているメディアを取材してみた。

[山崎潤一郎,@IT]
「ものになるモノ、ならないモノ」のインデックス

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 ノーマークだった。普段ゲームに親しまない筆者は、スマートフォン(スマホ)ゲーム市場の昨今のにぎわいに驚きを隠せない。一言でいうと“バブル”だ。言われてみれば、テレビのCMで、なじみのないゲーム会社の名前を目にすることが多くなった。

 モバイルゲームのテレビCMというと、ガラケー時代のソーシャルゲームで一世を風靡(ふうび)したグリーやモバゲーのCMが、スマホ時代ではパズル&ドラゴンズやモンスターストライクといったゲームの名前が思い浮かぶ。だが、スマホゲーム市場が拡大していることで、新興のゲーム会社にも潤沢にお金が回っているのだろう、新顔がテレビCMに登場している。

 ここに、ある関係先から入手した興味深い資料がある。Google Playの総合売上順位と月間想定売上の関係を示した表だ。驚いたことに、50位以内にランクインすれば月商1億円以上だという。1位に至っては月商50億円である。これはGoogle Playだけの数字なので、iOS版もリリースしていれば、その分も上乗せされる。

Google Play総合セールス順位 月間想定売上(円)
1位 50億
2位 40億
3位 13億
5位 7億
10位 5億
15位 3.5億
20位 2.5億
25位 2億
30位 1.6億
40位 1.2億
50位 1億
75位 7000万
100位 3000万
150位 1500万
200位 1000万
Google Playの50位以内にランクインすれば月商1億円以上。1位は50億円だ。ランキング上位常連の「モンスターストライク」でミクシィが復活した理由が分かる。

毎日1000万円の収益――スマホゲームにまつわる驚きの数字たち

 この数字の裏付けを得ようと、ある大手ゲーム制作会社の役員に話を聞いた。社名やタイトル名を伏せることを条件に、アドオン課金の状況が集計された画面を示しながら「ランキング10位付近のゲームタイトルで、ARPU(1ユーザーあたりの収入)が1日約20円で、50万ユーザーが利用するイメージ」だと教えてくれた。

 1日1000万円の収益だ。月商約3億円。しかも、これで終わらない。定期的にアプリ内でキャンペーンやイベントを実施する。イベントというのは、通常のゲーム動線とは別に特別なプレー場面を提供する仕組みのことだ。事前告知を行い、お昼休みなど、ユーザーがスマホを手に取りやすい時間帯にぶつけて開催する。

 そして、イベント内でしか手に入れることができないキャラクターを有料配信するなどしてユーザーの購買意欲をかき立て、アドオン課金につなげる。イベント時間中は「ARPUが100円〜140円に跳ね上がる」(大手ゲーム会社の役員)ので、このようなイベントを月に5〜6回実施すれば、「月商は5〜7億程度」(同)になるという。先ほどのランキングと月商を対比した表とピタリと一致する。

 ひとたび人気タイトルの仲間入りをすれば、セールスランキングの上位に張り付いたままであることが多いので、高いライフタイムバリュー(LTV)を実現し、大きな収益を見込める。そうなると制作や開発に投下する金額も増加傾向になる。前出のゲーム会社役員は「約2億円の予算で40〜50人体制」のタイトルもあると明かす。

 また、後述する「ゲームギフト」という広告媒体アプリを提供しているAppBroadCast代表取締役の小原聖誉氏は、「約5億円の予算で100人の開発体制で勝負をかけるタイトルも登場している」と教えてくれた。こうなるとソニーのプレイステーションなど、少し前の家庭用ゲーム機と同じ規模だ。

 Webベースで開発していたガラケー時代のゲームと、ネイティブアプリで提供するスマホゲームでは、開発体制やプログラマーのスキルセットが大きく変化しているので、一概に比較することはできないだろう。ただ、ガラケー時代のソーシャルゲームの開発費は「勃興期で2000万円程度、最盛期でも7〜8000万円程度」(ゲーム会社役員)だったので、スマホゲームにおける開発費の高騰ぶりがうかがい知れる。

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