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» 2015年01月29日 18時00分 UPDATE

CCENT/CCNA 試験対策 2015年版(7):ぶいろく? ぶいしっくす?――初心者でも分かる「IPv6」の基礎 (1/2)

「CCENT」資格取得に向けて勉強中の新米ネットワークエンジニア、今回は「IPv6」について調べました。

[ドヴァ 齋藤貴幸,@IT]
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CCENT/CCNA 試験対策 2015年版

連載目次

 新米ネットワークエンジニアのS君が、「IPv6」について調べました。

 S君の目標は、CCENTとCCNAの資格取得です。勉強に抜けや漏れがないか会社の先輩社員 齋藤さん(炭水化物好き)が添削をしてくれるのですが……。


S君のリポート「IPv6とは何か」

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 今回はIPv6を調べました。

 IPv4アドレス枯渇問題は、NAT技術やVLSMによって短期的には解決しています。長期的な解決手段として、IPv6アドレスへの移行が考えられています。IPv4アドレスが約43億個あるのに対し、IPv6アドレスは43億の4乗と膨大な数だからです。

 お礼にごちそうするランチ、リポートの出来でランクが変わるんですよね? 今回もがんばって調べたので、いい評価をいただけるといいなあ。

 ところでこれ、何て読むんですか? ぶいろく? ぶいしっくす???

IPv6アドレスの表記法

 IPv4アドレスが32bitであるのに対し、IPv6アドレスは128bitで表します

 IPv4アドレスの多くは10進数で表記しますが、IPv6はほとんどが16進数で表記します。また、4桁ごとにコロンで区切ります。

ccent2015_7a.jpg 図1 IPv6表記

 IPv6アドレスはとても長い表記になるため、2つのルールにのっとって省略できます。

  • ルール1

 4桁に区切られる部分は、0を先頭から最大で3つまで省略できる。

ccent2015_7b.jpg 図2 IPv6省略ルール1

  • ルール2

 「4桁全てが0」が連続したら、1度だけ二重コロン「::」で省略できる。

ccent2015_7c.jpg 図3 IPv6省略ルール2

 2回は省略できないので注意が必要です。

ccent2015_7d.jpg 図4 ルール2を間違って使用した例

IPv6アドレスの構成

 IPv4アドレスは「ネットワーク部」と「ホスト部」に分かれていました。これに対しIPv6アドレスは、「プレフィックス」と「インターフェースID」により構成されます。

  • プレフィックス

 IPv4アドレスのネットワーク部に相当し、ネットワークを定義します。IPv4同様にプレフィックス値を付け加えることで表します。

  • インターフェースID

 IPv4アドレスのホスト部に相当し、ホストを定義します。

ccent2015_7e.jpg 図5 プレフィックスとインターフェースID

IPv6アドレスの種類

  • ユニキャストアドレス

 特定のインターフェースを指すIPアドレスです。

  • マルチキャストアドレス

 IPv4同様に、複数の対象を表すアドレスです。図6のように最上位8bitが「FF」です。また、「フラグ」と「スコープ」が存在し、スコープの値によって宛先グループが異なります。

ccent2015_7f.jpg 図6 マルチキャスト

  • エニーキャストアドレス

 IPv4にはないアドレスです。マルチキャスト同様に特定のグループに対しデータを送信しますが、一番早くデータを受信した相手とのみ通信を行います。

IPv6アドレスの分類

 ユニキャストアドレスは、以下の2つに分類されます。

  • グローバルアドレス
  • リンクローカルアドレス
※以前は「サイトローカルアドレス」が存在していましたが、現在は廃止されました。
  • グローバルアドレス

 IPv4のグローバルアドレス同様、WAN側インターフェースで使用できる一意なIPアドレスで、「グローバルルーティングプレフィックス」「サブネットID」「インターフェースID」から構成されます。また、グローバルルーティングプレフィックスの先頭3bitは、「001」からなる値です。

ccent2015_7g.jpg 図7 グローバルアドレスのフォーマット

 グローバルアドレスは図8のように分類できます。

 IPv4アドレスのグローバルアドレスと同様な使い方をするのが、「2001::/16」で表されているインターネット用のIPv6アドレスです。

 「6to4アドレス」は、IPv4とIPv6をトンネリングする技術です。IPv6グローバルIPアドレスの一部にIPv4グローバルIPアドレスを組み込み、カプセル化して利用します。

ccent2015_7h.jpg 図8 プレフィックスの内訳

  • リンクローカルアドレス

 リンクローカルアドレスは「FE80::/10」からなるIPv6アドレスで、ルーターを超えてパケットが送信されることはありません。同一リンクでのみ使用できます。

特殊アドレス

  • 未指定アドレス

 全ての値が0であるIPv6アドレス「::」を未指定アドレスと呼びます。未指定アドレスは、アドレスが割り当てられていない場合に送信元アドレスとして使用します。

  • ループバックアドレス

 IPv6アドレス「::1」で表記されるアドレスが、ループバックアドレスです。IPv4アドレスでいう、「127.0.0.1」と同じ働きです。

  • IPv4射影アドレス

 IPv6アドレスを用いた通信の際に、IPv4しか利用できないノードと通信を行う場合に用いるアドレスです。

 「::FFFF:192.168.1.1」のように表すことができ、最初の80bitは全て0で表され、次の16bitが全て1のFFFFで表された後に、10進数表記のIPv4アドレスを記載します。

NDP(Neighbor Discovery Protocol)

 「ネイバーディスカバリープロトコル」というIPv6アドレスのみに存在する機能があります。NDPは、同一セグメントネイバーのMACアドレスなどを検出したり、IPv6アドレスの変更を行ったりできます。

 NDPは、以下のようなメッセージを送信します。

  • ネイバー送信要求(NS:Neighbor Solicitation)

 IPv4のARPリクエストとほぼ同じ動作をするもので、IPv6アドレスに対応するMACアドレス解決をする際に利用します。

  • ネイバーアドバタイズメント(NA:neighbor Advertisement)

 NSの応答をする際に用います。

  • ルーター送信要求(RS:Router Solicitation)

 IPv6対応ルーターに対し、プレフィックスやデフォルトゲートなどのIPv6に関連する情報を要求します。同リンクの全ルーター宛てのマルチキャストアドレス「FF02::2」に向けて送信します。

  • ルーターアドバタイズメント(RA:Router Advertisement)

 IPv6対応ルーターが、RSに対する応答をする際に用います。同リンクの全ノード宛てのマルチキャストアドレス「FF02::1」に向けて送信します。

スタティックなユニキャストアドレス割り当て

 IPv6アドレスは、64bitのプレフィックスと64bitのインターフェースIDからなります。

 同セグメント内のホストにIPv6アドレスを割り当てる際に、ネットワークを表すプレフィックスを変更する必要はありませんが、一意なインターフェースIDを割り当てる必要があります。

 IPv6アドレスをスタティックに割り当てるには「管理者が手動で割り当てる」方法と、「プレフィックスを手動設定しインターフェースIDをEUI-64で割り当てる」2種類の方法があります。

  • EUI-64

 EUI-64は、一意な値であるMACアドレスを使用し、インターフェースIDを生成する方法です。

 図9は生成の流れです。まず48bitのMACアドレスを24bitに分割し、中央に「FFFE」を追加します。次に、前半MACアドレスの先頭から7ビット目を反転させます。これで一意なインターフェースIDを自動生成できます。

ccent2015_7i.jpg 図9 EUI-64によるインターフェースID生成

ダイナミックなユニキャストアドレス割り当て

 ダイナミックにIPv6アドレスを割り当てる方法も大きく分けて2つあります。「SLAAC」を用いて求める方法と、「DHCPv6」を用いて求める方法です。

  • SLAAC(Stateless Address Auto Configuration)

 ホストがリンクアップすると、ホストは同セグメントの全ルーターに対し、RSをマルチキャストします。RSを受け取ったルーターは、同セグメントのIPv6アドレス情報を記載したRAをホストに返信します。

 ホストは、RAから得たIPv6アドレス情報と、EUI-64を用いて作成した一意なインターフェースIDを組み合わせユニキャストアドレス生成します。このように、IPv6アドレスを生成する方法をSLAACと呼びます。

 DHCPサーバーを用意することなく設定できますが、DNSサーバーなどの設定できない項目もあるため、ステートレスな設定となってしまいます。

  • DHCPv6

 DHCPv6は大きく分けて2つあります。

 1つ目は「ステートレスDHCPv6」です。SLAACで求めたIPv6アドレスでは足りない情報をDHCPv6サーバーから取得します。

 2つ目は「ステートフルDHCPv6」です。(インターフェースIDを含む)IPv6アドレスを含む全ての情報を、DHCPv6サーバーから取得するものです。

IPv6備考

 IPv6ヘッダーはIPv4ヘッダーから大きく以下の3点が変化しました。

  • 40bitの固定長
  • IPv4ヘッダーよりサイズが増えた
  • IPv4ヘッダーよりヘッダー構成が簡略化された

分からない単語集

用語 意味
エニーキャスト マルチキャストの一種と言えるが、複数の宛先のうち、一番早く応答した相手と送信を行う。
EUI-64 48ビットのMACアドレスから、64ビットのインターフェースIDを生成する仕組み。
NDP、NS、NA、RS、RAの各メッセージなどはリポート本文を参照してください。

 次回はIPv6とIPv4の共存方法についてリポートします。

リポート作成:新米S


齋藤さんの添削

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  • IPv6のループバックアドレスなどの用途が決められているアドレスは、他にどのようなものがありますか? 複数個例を挙げてください。
  • マルチキャストアドレスの例を同じように複数個挙げてください。
  • 1つのNIC(Network Interface card)に複数のIPv6アドレスを設定できますか?

 今回も的確にポイントを押さえました。IPv6についてほとんど知らない状態からじっくり調べ上げた成果でしょう。次回はIPv6とIPv4の共存方法についてとのことですので、リポートには3種類方法を挙げてください。

 総合評価は「よくできました」です。

 「v6」の読み方は「ぶいしっくす」です。ですが、俗称としての「ぶいろく」の方が広く浸透してしまいました。ランチメニューは「6」にちなんで「おにぎり6個(鮭、梅、めんたいこ、ツナマヨ、鶏五目、いくら)」でお願いします。

 齋藤


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