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» 2015年02月23日 20時19分 UPDATE

vCloud Air入門(2):vCloud Air Disaster Recoveryとは何か、どう使えるか (1/3)

vCloud Airの使い方を紹介する本連載。第二回の今回はメニューの一つとして注目を集める「vCloud Air Disaster Recovery」の使用方法や注意点を紹介します。ディザスターリカバリ対策でどのように使えるか、検討する際の指針も併せて紹介します。

[山本祥正,富士ソフト株式会社]

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連載バックナンバー

 本連載では、ヴイエムウェアが提供するパブリッククラウドサービスである「VMware vCloud Air(以降、vCloud Air)」の使い方を見ていきます。第一回では、サービスの全体像を整理しました。第二回である今回は、ディザスターリカバリ対策として、遠隔地サイトの代わりに、vCloud Airを使うケースを見ていきます。

オンプレミス環境との親和性が高いvCloud AirのDisaster Recovery

 東日本大震災以降、事業継続性について見直しを行う企業が増えています。特に情報システムのディザスターリカバリ(災害復旧)では遠隔地の拠点やデータセンター(遠隔地サイト)へデータを転送するケースが増えているようです。このとき、遠隔地サイトは、メインサイトとの対比において、ディザスターリカバリ用サイト(DRサイト)と呼ばれます。

 遠隔地サイトへのデータ転送の場合、まずは遠隔地サイトを用意することが課題となります。従来はデータセンター事業者や自社の支社を利用することが多かったのですが、昨今では、費用や運用効率の良さからクラウド環境を利用するRaaS(Recovery as a Service)にユーザーの注目が集まっています。

mhss_air01.jpg vCloud AirにおけるRecovery as a Service

vCloud AirのDisaster Recovery(vCloud Air DR)

 ヴイエムウェアが提供するパブリッククラウドサービス「VMware vCloud Air(以下、vCloud Air)」でも、ディザスターリカバリ用メニューとして災害復旧サービスが用意されており(「VMware vCloud Air Disaster Recovery、以降vCloud Air DR」)、企業のメインサイト環境のDRサイトとして利用できます。

 第一回で紹介しましたが、vCloud Airはインスタンスごとの課金ではなく、ハードウエアの容量や性能をひとまとまりのボリュームとして扱う「リソースプール」単位で契約するサービスです。本稿で紹介するvCloud Air DRの最小リソースプールでは、CPUは10GHz、メモリは20GB、ハードディスクは1TB、ネットワークは10Mbps保証/50Mbpsバースト/2パブリックIPが割り当てられます。

 また、vCloud Air DRが利用対象とするメインサイト側の環境はvSphere環境に限定しています。そのため、オンプレミス環境と親和性が高く、既にメインサイトでvSphere環境を利用されている場合は、vCloud Air DRで簡単にディザスターリカバリ対策が実現します。

 また、当然のことながら、vCloud AirもvSphereプラットフォーム上でサービス提供をしていますので、ディザスターリカバリ先での仮想マシンイメージの変換や、サーバー構成変更なども同じワークフローが使えます。また、実装内容にもよりますがアプリケーション側の書き換えなしで動作が期待できる点も特徴です。

vCloud Air DR利用時の考慮点

 vCloud Air DRを利用する場合、以下の点について考慮が必要です

  • 目標復旧時間(RTO)/目標復旧時点(RPO)
    災害発生時の復旧計画のために、DRサイトに切り替わりサービスが復旧するまでの時間(目標復旧時間)と、DRサイトに切り替わる際にいつ時点のサービス状況に復旧させるか(目標復旧時点)を検討する必要があります。
    なお、vCloud Air DRではRPOを15分〜24時間で設定できます。
  • メインサイトと遠隔地サイトのネットワーク
    災害発生時のネックワーク確保のために、遠隔地サイトに切り替える際どのようなネットワーク切り替えが必要か、また、ボトルネックや縮退の有無についても確認しておきましょう。
  • システムの起動順序
    災害発生時の迅速な復旧のために、切り替え時のシステムの起動順序も整理しておきましょう。一般的に認証系やDNS、DB系システムは初期の起動対象となります。その後、どのシステムを起動していくか整理が必要です。
  • フェイルバック
    メインサイトが復旧したのちに、DRサイトからメインサイトに戻す方法を検討しておきましょう。vCloud Airでは、vCC(vCloud Connector)を利用してvCloud Airからメインサイトに移行する方式があります。vCCを利用した移行方法については別途詳細に解説します。

 以降では、実際にメインサイトでvCloud Air DRの設定を行う場合の手順を、設定、同期、実際のリカバリ手順の順に見ていきます。

vCloud Air DRの利用方法〜設定編〜

 まずはvCloud Air DRの設定方法を見ていきましょう。手順は「vSphere Replicationサーバーの構築」と「vCloud Airの登録」の二つです。つまり非常に簡単に設定できます。

準備:設定前の確認事項

 vCloud Air全般にいえることですが、利用する際には、メインサイト環境の互換性を確認します。下記表で示したのは2015年1月7日時点のメインサイト環境の互換性です。利用には、互換性の要件を満たしていることが条件となりますので、確認しておきましょう。

メインサイト環境
VMware vSphere 5.1以降
VMware vCenter Server 5.1以降
VMware vSphere Replication 5.6以降(5.8から日本語化されています)
vCloud Airにつながるインターネット接続もしくはDirect Connet接続(専用線接続)環境
VMware Replication用リソース(4 vCPU/4GB RAM/12GB vDisk)

 vCloud Airが互換性の要件に挙げているゲストOSは次の通りです。vCloud Air DRもこの要件に準じますので確認しておきましょう。

対象のゲストOS
vSphere Replication 5.6の場合はvSphere 5.1もしくはvSphere 5.5でサポートされるゲストOS
vSphere Replication 5.8の場合はvSphere5.5 Update2でサポートされるゲストOS

 ただし、最新の正確な情報はヴイエムウェアの公式発表のものを参照ください。

設定その1:vSphere Replicationサーバーの構築(OVFインポート)

 vCloud Air DRを利用するには、まず、「vSphere Replication」サーバーを用意し、レプリケーションの設定を行います。vSphere Replicationは、仮想マシンイメージの標準フォーマットである「OVF」形式のファイルとして提供されています。

 サーバー構築は、OVFファイルをダウンロードして「vSphere Client」もしくは「vSphere Web Client」から対象とするvCloud AirのDRサイトにインポートするだけで完了します。

 ただし、vSphere Replicationサーバーで利用するDBを外部DBで利用したい場合やサーバー証明書を変更したい場合は、Webブラウザー経由でvSphere Replicationにログインし、追加設定を行う必要がありますのでご注意ください。

設定その2:vCloud Airの登録

 次に、vSphere Web Client側で同期を設定します(従来の「vSphere Client」では設定項目が存在しませんので注意してください)。

 ここで設定するのは以下の二つです。

  • (1)ターゲットサイトの登録(vCloud Airの登録)
  • (2)DRサイト用のネットワーク設定

 具体的な手順は次の項で、順に見ていきます。

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