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» 2015年03月12日 18時00分 UPDATE

CCENT/CCNA 試験対策 2015年版(10):コリジョンドメインとブロードキャストドメイン (1/2)

新米ネットワークエンジニアと共にシスコの認定資格「CCENT/CCNA」のポイントを学ぶシリーズ。今回のテーマは「コリジョンドメインとブロードキャストドメイン」です。

[ドヴァ 齋藤貴幸,@IT]
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CCENT/CCNA 試験対策 2015年版

連載目次

 新米ネットワークエンジニアのS君と共にCCENT/CCNAを受験するためのポイントを学ぶ本連載。いつもはS君が学んだ内容をリポートにまとめ、職場の先輩 齋藤さん(炭水化物好き)がチェックするという流れでしたが、前回はS君多忙のため齋藤先輩が一人二役を演じました。

 今回はS君の仕事も落ち着いてきたので、いつもの「S君がリポートを書き、齋藤さんが添削する。リポートの出来不出来によって指定されたランチのメニュー(炭水化物)をS君が齋藤さんにごちそうする」というスタイルに戻りました。今回の学習テーマは、シスコシステムズが発表しているCCENTの試験内容の2.2「基本的なスイッチングの概念とシスコ製スイッチの動作の確認」から、「コリジョンドメインとブロードキャストドメインについて」です。


S君のリポート

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 前回はメディアアクセス制御について、衝突検出方式であるCSMA/CDなどについて説明しました。今回は、コリジョンドメインとブロードキャストドメインについてリポートします。

押さえておきたい項目

 これまでのリポートでも説明しましたが、あらためて押さえておきたい項目について説明をします。

半二重(half-duplex)通信

 半二重通信は送信、受信のどちらかのみを行える通信方式で、ポートが受信していない場合にデータを送信できます。

 コリジョン(衝突)は、半二重通信方式を利用している場合に起こります。その際の解決方式が「CSMA/CD」です。今回のリポートでは、半二重通信を利用している場合に起こるコリジョンの範囲を説明します。

全二重(full-duplex)通信

 全二重通信は送信と受信を同時に行えます。UTPケーブルのように送信と受信を別の線で行うので、コリジョンは発生しません。

コリジョン

 コリジョン(collision)は衝突という意味です。

 半二重通信にのみ起こり得る現象で、通信する際のフレームを両ポートから送信して衝突した際のことを表します。衝突してしまうとイーサネット上の電気信号が乱れて正常なデータを送信できなくなる可能性があります。

 コリジョンが多発すると、輻輳(ふくそう)状態となります。輻輳とは大量のデータがネットワーク上に存在する交通渋滞のようなもので、正常に通信できない状態のことを指します。

コリジョンドメイン

 コリジョンが起こり得る範囲を表したものが「コリジョンドメイン」です。

 コリジョンドメインの規模、もしくはコリジョンドメイン内の接続機器の台数が少なくなるほど、コリジョンが発生する確率が下がります。

ccent2015_10a.png 図1 バス型時のコリジョンドメイン(クリックすると、大きなサイズの画像を表示します。以降の画像も全て、クリックで拡大します)

 図1は「10Base-2」や「10Base-5」に代表されるバス型トポロジを使用した場合です。半二重通信を使用する例ともいえます。半二重通信では、その瞬間で信号が流れる方向が変化します。信号の流れが変わる瞬間、同時に2カ所の端末が信号を送信してしまうと、コリジョンが発生します。

 バス型トポロジでは一般的に、そのネットワーク全体が「コリジョンが起こり得る範囲=コリジョンドメイン」となります。

 赤枠で囲まれている範囲がコリジョンドメインです。バス型トポロジは全ての端末が基幹の線から出る枝線で結ばれているので、フレームを送信する際に全ての端末宛てにフレームを送信することになり、各ノードが同時にデータを送信するとコリジョンが起こります。

 もう少し詳しく書きます。

ccent2015_10b.png 図2 スター型時のコリジョンドメイン

 図2は、各種機器で接続している際のコリジョンドメインです。

 スター型トポロジの例としてご覧ください。スター型トポロジの中継機器として、次の機器が使用できます。

OSI参照モデルの階層 ネットワーク機器
ネットワーク層 ルーター、L3スイッチ
データリンク層 ブリッジ、スイッチ
物理層 リピーター、ハブ
表1 OSIレイヤーとネットワーク機器

 第3回「ネットワークデバイス(ルーター、スイッチ、ブリッジ、ハブなど)の目的と機能 基礎の基礎」で説明しましたが、復習も兼ねて各機器について説明します。

 物理層の機器として動作するリピーターとハブは、単純に電気信号の増幅・整調のみ行うため、どの機器が宛先なのか意識せず、受信ポート以外を宛先として信号を送ります。コリジョンは信号が届く範囲といえますので、リピーターやハブでネットワークを接続した場合、コリジョンドメインは「拡大」します。

 スイッチは、通信が発生するたびに通信相手との「スイッチング」を行います。常に接続されているのは、スイッチの物理ポートと接続されている機器だけです。両方が対応していれば全二重通信を行うことができ、全二重通信であればスイッチのポートと接続機器だけのコリジョンドメインを生成できます。このポートごとにコリジョンドメインを生成できている状態をマイクロセグメンテーション(マイクロセグメント化)と呼びます。

 スイッチは、物理ポートの数だけコリジョンドメインを生成できますし、リピーターやハブと違い、コリジョンドメインの「規模を縮小」できる機器といえます。これに対してブリッジは、ポートが2つしかないので、コリジョンドメインを分割するマイクロセグメンテーションはできず、規模を縮小するにとどまります。

 スイッチ、ブリッジは受信したフレームヘッダーの宛先MACアドレスを確認して、転送先ポートを決定します。スイッチは、この「宛先MACアドレスと転送するポートが記載されている情報」を持っており、これを「CAMテーブル(MACアドレステーブル)」と呼びます。ブリッジやルーターも同様にフレームの中身を見た上で、転送先ポートを決定しています。

※CAMテーブルや詳細なフレームのやりとりについては次回リポートで説明します。

 このように、ケーブルが直接つながっている機器間はコリジョンドメインとなり、ハブ(リピーター)を除いた機器間もコリジョンドメインとなります。

ブロードキャストドメイン

 ブロードキャストドメインは、ブロードキャストパケットが届く範囲のことです。ブロードキャストパケットが届く範囲は、同じネットワークセグメントの全てのノードです。

ccent2015_10c.png 図3 ブロードキャストドメイン

 図3の赤枠は、ブロードキャストドメインを表しています。

 上部のルーター(青い円筒)を境に、2つのブロードキャストドメインに分割されています。ルーターがブロードキャストドメインを分割できるのは、ルーターのポートごとにネットワークセグメントが異なり、ブロードキャストパケットを破棄するためです。

 L2スイッチやハブ、ブリッジは、各ポートでネットワークセグメントが分かれておらず、ブロードキャストパケットを全てのポートに転送することもあるので、ブロードキャストドメインを分割できません。

 ブロードキャストドメインを分割できる機器は、ルーターと「L3スイッチ」です。L3スイッチはルーター同様にパケットを扱ってルーティングも行える機器で、ポートごとに異なったセグメントを持てます。

用語解説

用語 意味
フレーム OSI参照モデルのデータリンク層で通信を行う際に用いるデータの名称。フレームの宛先や送信元はMACアドレスを用いて管理する
L3スイッチ OSI参照モデルのネットワーク層で通信を行う際に用いる機器。ネットワーク層なので、IPアドレスのルーティング機能も備わっている。ルーターよりポート数が多いという特徴がある。

 次回はスイッチがどのようにフレームを処理しているのかに着目して、「ストア&フォワード」「カットスルー」「CAMテーブル」などをリポートします。

リポート作成:新米S


齋藤さんの添削

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 構築の作業にも携わるようになり、少しずつ知識と経験がつながり始めていますが、まだまだ知識不足です。「ブリッジとスイッチの違い」「マイクロセグメンテーションとは何か」を宿題に出しますので、次回までに調べてください。今まで以上にリポート作成から知識を得られるように注力しましょう。

 評価は「頑張りましょう」です。ランチは沖縄名物のタコライスでお願いします。

 齋藤

今回の宿題

  • マイクロセグメンテーションについて、もう少し詳しく調べてください
  • スイッチとブリッジの違いについて調べてください。その際「ソフトウエア」「ハードウエア」「ASIC」を必ず使用すること
  • ブロードキャストパケットの種類と主な用途を説明してください
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