VDIでオールフラッシュストレージ、導入後に「しまった」では遅すぎるVDI導入企業は何に課題を感じているか

仮想デスクトップ(VDI)でオールフラッシュストレージを活用するケースが増えてきた。だが、運用開始後に、必ずしも想定していなかった課題が浮き彫りになることが多い。では、導入してから「しまった」ということにならないためには、何を考えればいいのだろうか。

» 2015年04月01日 10時00分 公開
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 仮想デスクトップ(VDI)でオールフラッシュストレージを活用するケースが増えてきた。だが、当然ながら、オールフラッシュストレージを使いさえすれば、VDIにおけるストレージ関連の問題が全て解決するわけではない。ユーザーは、VDI運用に求められる機能を見極め、これに基づいてオールフラッシュストレージを選択しようとする。だが、運用開始後に、必ずしも想定していなかった課題が浮き彫りになることが多い。

 次の2つのグラフは、IDC Japanの「2014年 国内企業のストレージ利用実態に関する調査(2014年12月調査版):次世代ストレージがもたらすITインフラの変革」の一部だ。上はオールフラッシュストレージを導入する際に重視する選択基準、下はフラッシュストレージ導入後の課題を示している。これらは、VDIでのオールフラッシュストレージ利用に関するポイントを、かなり正確に反映しているといえる。

図1 オールフラッシュストレージを導入する際に重視する選択基準 Source:IDC Japan, 2014年12月「2014 年 国内企業のストレージ利用実態に関する調査(2014年12月調査版):次世代ストレージがもたらす ITインフラの変革」(J15550601)
図2 フラッシュストレージ導入後の課題 Source:IDC Japan, 2014年12月「2014 年 国内企業のストレージ利用実態に関する調査(2014年12月調査版):次世代ストレージがもたらす ITインフラの変革」(J15550601)

 まず、上のグラフでは、低レイテンシー、容量、システムコストの妥当性、IOPS性能といった、オールフラッシュストレージに求められる基本的な要件が並んでいる。一方で、高可用性/高信頼性、データ保護機能、容量効率化機能、といった非機能要件はその次に重視される項目として登場しているが、必ずしもこれらを満たすような選択ができていないようだ。

 このため、下のグラフで分かるように、運用開始後の課題については、「容量の増設が難しい」「データ保護機能が十分でない」「他のストレージシステムとの連携が不十分」が、回答の上位を占めている。

導入後の後悔を防ぐための選択肢とは

 導入後に課題が発覚しても、これを解決するには大きなコストと手間が掛かる。後悔しないための選択肢として、「All-Flash FAS」を検討してほしいと、ネットアップの「Flashtronaut」(フラッシュ技術関連のエバンジェリスト)である岩本知博氏は話す。

 All-Flash FASとは、ネットアップのフラッグシップ的なユニファイドストレージ「NetApp FAS8000」シリーズを、SSDオンリーの構成で提供するパッケージだ。FASシリーズの備える豊富な機能を、そのまま活用することができる。

 「容量の増設が難しい」という課題は、FASシリーズでは生じない。FlexVolume機能(いわゆるシンプロビジョニング)により、管理ツールからの設定変更だけで、容量を即座に拡張、更には縮小できる。

 物理的な容量の拡張については、オールフラッシュストレージ製品のなかには、ボックス単位で買い足さなければならない製品があるほか、ボックスを買い足しても別ボリュームとしての管理になってしまうことがある。だが、FASシリーズならディスクシェルフを活用でき、ディスク単位で物理容量を増やしていくことが可能だ。それでも足りなくなった場合は、clustered Data ONTAPの機能を活用し、All-Flash FASの台数を増やしていくことで、さらに大きな容量を確保できる。

 後述のストレージシステム間連携のトピックにもかかわってくるが、VDIのシステム領域はAll-Flash FAS、データ領域やその他のアプリケーションのためのデータはハードディスクドライブ(HDD)ベースのFASに置き、これら全てを1クラスタとして運用できるので、一口に「容量拡張」といっても、FASでは多様なやり方ができる。

 「データ保護機能が十分でない」という課題も、FASシリーズには無縁だ。エンタープライズ向けのユニファイドストレージとして、高可用性、高信頼性、データ保護に関する高度な機能を備えており、全ての機能がこれまでの実証されている。HA構成は当たり前のようにでき、アップデートおよびメンテナンスはノンストップでできる。スナップショットやクローンは、オーバーヘッドなしにできる。

 「他のストレージシステムとの連携が不十分」というのは、多くの場合、オールフラッシュストレージを、各ユーザーのOS領域専用に用い、データ領域は他のストレージに配置するところから生じる課題だ。

 オールフラッシュストレージは高価であるため、各ユーザーのデスクトップ仮想マシンとデータ領域を同じストレージに保存することはない。すると、新興ベンダーの製品の場合、フラッシュストレージしか提供していないため、データ領域用には必ず別のベンダーの製品を用いることになる。バックアップやディザスタリカバリ(DR)のための仕組みはベンダーによって異なるため、統合的な運用ができず、日常的な手間が大きいという問題が出てくる。

 一方、All-Flash FASの場合、各ユーザーのデータ領域はHDDベースのFASに作成すればいい。すると当然ながら、FAS同士で自然に連携できる。全ての管理が一括して行えるし、バックアップやDRにも共通のツールを適用し、統合的に運用できる。

 All-Flash FASはこのように、VDI導入後に「しまった」と後悔するようなポイントを、全てクリアできる製品だ。

VDIで求められる基本的な機能もしっかりカバー

 岩本氏は次のように話している。

 「『All-Flash FASは、既存のストレージ製品をSSDオンリーの構成にしただけの製品ではないか』と言われることがあります。しかし、ネットアップでは、VDI環境の運用に何が必要なのかを考えた結果、エンタープライズストレージ製品の持つ各種の機能が欠かせないと判断し、この製品を推奨しています」

 All-Flash FASは、FAS 8000シリーズの各モデルに、記憶媒体としてSSDをバンドルし、製品化したものだ。最小構成では、200GBのSSDが48本搭載される。こうした製品提供形態により、VDIにおけるオールフラッシュストレージ利用を阻む最大の壁ともいえる、価格への対処を行っている。性能は、同じネットアップ製品で圧倒的なコストパフォーマンスを誇る、「NetApp EFシリーズ」には及ばないが、最大44万IOPSを発揮する。

 価格、性能のいずれについても、VDIにおいてオールフラッシュストレージを利用する際に求められる要件をクリアし、さらに上記のとおり、運用に関わる問題を克服しているところに、この製品の実質的な価値がある。

重複排除でAll-Flash FASは不利?

 岩本氏は、VDIへの適用において、All-Flash FASが唯一不利だとされる点に、重複排除があるという。

 オールフラッシュストレージでは、フラッシュという高価な記憶媒体をできるだけ効率的に活用するため、重複排除機能を提供していることが多い。主要製品では、インライン型の重複排除機能が見られる。インライン型では、新たなデータがストレージに書き込まれる時点で重複排除、つまり既存のデータ情報と照らし合わせ、差分のみを保存する作業を行う。

 これに対し、All-Flash FASのOSであるclustered Data ONTAPでは、現在のところポストプロセス型の重複排除にしか対応していない(インライン型については、今後対応の予定)。ポストプロセス型では、毎日1回などの頻度で、保存されているデータを対象とした重複排除をまとめて実行するのが基本だ。すると、次の重複排除作業までの間にデータが増える分を、サイジングで余分に見積もらなければならず、容量効率上の無駄が生じると指摘されるのだという。

 念のため断わっておくと、VDIにおける各ユーザーのOS領域のデータ量が増加するスピードは、VDI環境の運用の仕方によって大きく異なる。

 「データは別ストレージで管理されるデータ領域(ユーザーから見ればDドライブなど)に保存」「各ユーザーは勝手にアプリケーションをインストールしてはならない」といった方針で運用されていれば、オールフラッシュストレージ上のデータが急速に増えるということはあり得ない。一方、(ユーザーにとっての)Cドライブへのデータ保存が許されている、各ユーザーが自由にアプリケーションをインストールできる、ということになると、オールフラッシュストレージの容量がそれなりのスピードで消費されていくことがあり得る。

 これに対し、インライン型の重複除外を実行していれば、オールフラッシュストレージの消費量の伸びは、いつでも最低レベルに抑えられることになる。

 では、インライン型の重複排除ができないAll-Flash FASではどうするか。岩本氏は、「ニアライン重複排除」という方法を提唱する。ニアライン重複排除とは、1時間に1回、30分に1回など、頻繁にポストプロセス型の重複排除を実行すること。これによって、ストレージのデータ量の伸びを積極的に抑えることができる。重複排除の定期的な実行は、自動化することが可能という。

図3 All-Flash FASで岩本氏が提唱するニアライン重複排除の効果

 運用で問題を回避するようなイメージがなくはないが、岩本氏はこのほうが実質的に有利な可能性があると話す。インライン型の重複排除では、常時オンに設定する以外の選択肢が基本的に提供されない。すると、朝の出社時に、多数のユーザーが自分の仮想デスクトップを一斉に立ち上げ、ログインしてユーザープロファイルにアクセスすることで発生する、いわゆる「ログインストーム」が発生している最中に重複排除を実行すると、重複排除の実行時間が延び、さらにレイテンシーへの悪影響が発生する可能性があるからだ。

ネットアップのフラッシュ技術関連エバンジェリスト、岩本知博氏

 All-Flash FASのニアライン重複排除では、ログインストームの発生する時間帯に、重複排除作業をしないという設定が可能だ。また、clustered Data ONTAPの重複排除では、ホストからのI/Oを優先し、これを邪魔しないような形で作業を実行するインテリジェンスが備わっているため、ストレージの高負荷時に、パフォーマンスに悪影響を与えることはないことが、同氏の実施した検証で明らかになったという。

 このように、唯一の不利なポイントも、容易に克服できるAll-Flash FAS。岩本氏は「VDIを確実に運用したい情報システム部門にとって、この製品は数少ない有効な選択肢になります」と話している。

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