Windows 10/Visual Studio 2015への期待と課題業務アプリInsider 読者調査レポート(2/2 ページ)

» 2015年04月24日 05時00分 公開
[かわさきしんじInsider.NET編集部]
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2015年の技術トレンドと業務アプリ開発について

 多くの業務アプリ開発者にとって、2015年は重要な年となる。それはもちろん、OSとそれに対応した開発環境、つまりWindows 10とVS 2015がリリースされる年となるからだ。以下では、Windows 10/マイクロソフトの戦略/VS 2015に関する調査結果をまとめよう。まずは注目事項と、Windows 10の導入についてどう考えているかだ。

Windows 10で注目する新機能/提供形態、導入に対する動向

Q. マイクロソフトは2015年内に、新OS「Windows 10」をリリースする見込みです。Windows 10の主な新機能や提供形態の中で、あなたがアプリ開発/実行環境として注目する項目があれば、いくつでもお選びください。

Windows 10:注目の新機能/提供形態(n=295) Windows 10:注目の新機能/提供形態(n=295)

Q. 業務アプリの開発/実行環境として、あなたはWindows 10の導入(アップグレード)にどの程度興味がありますか?

Windows 10の導入意向(n=294) Windows 10の導入意向(n=294)

 上のグラフ「Windows 10:注目の新機能/提供形態」で一番注目されているのが、「リリース後1年間限定での無償アップグレード提供」で全体の約半数(51.2%)が注目している。多数のクライアントPCを抱える組織の場合、期間限定ではあっても、その期間内に従来のアプリの動作を検証し、問題がなければ無償でOSを移行できるのは大きな魅力といえる。

 一方、下のグラフ「Windows 10の導入意向」では、その数値よりは若干低いが、4割強の人が無償アップグレード期間中におけるWindows 10の導入を考えている。業務アプリの移行コストを低減させるという意味では、アプリの動作が検証できしだい無償のアップグレードが行える期間が設けられたのはよいことだといえる。

 上のグラフ「Windows 10:注目の新機能/提供形態」で注目の新機能の2番目に挙げられたのはWindows 10用のユニバーサルアプリだ(45.4%。グラフでは単に「ユニバーサルアプリ」と表記)。これはWindows PC、Windowsタブレット、Windows Phoneなどのデバイスで共通に動作する単一バイナリのアプリのこと(詳細は近日公開の記事を参照されたい)。デバイスごとの差異をプログラミング時に吸収する必要はあるが、一つのアプリでデスクトップ、タブレット、Windows Phoneの全てをサポートできるのであれば、これもまた開発コストの削減やアプリの迅速なリリースにつながる。特に日本国内でもWindows Phoneの発売が予定されている現在では、採用するかどうかは別として、Windows 10用のユニバーサルアプリ開発について予習くらいはしておきたい。

マイクロソフトの開発戦略への関心度

Q. Microsoftは2014年11月以降、同社が提供する開発環境の大きな戦略転換を発表してきました。以下に挙げる項目の中で、あなたが現在関心のあるものをいくつでもお選びください。

マイクロソフトの開発戦略への関心度(n=294) マイクロソフトの開発戦略への関心度(n=294)

 ここでは、.NET Coreのオープンソース化への関心が最も高かった(39.1%)。これをどう解釈すればよいかはなかなか難しい。.NET Coreに積極的に関与することを意味するのか。それとも、自社のアプリに.NET Coreのオープンソース化の成果をいかに取り込んでいけるかを検討するのか。「ASP.NETのクロスプラットフォーム対応」が3番目に注目されていることを考えると(33.0%)、純粋に新技術への関心の強さを示しているとも取れる。

 VS Community 2013への関心も高い(39.1%)。無償でVS Pro相当の開発環境を使えるのはうれしいことだが、実はCommunityは使用する上での制約がきつい(「Visual Studio Community 2013」や兄弟サイトのBuild Insiderの記事『「Pro相当機能が無料!」と話題になった「Visual Studio Community」の光と“影”』を参照)。無償で使えるVSとしてはVS Expressもあるので、場合によっては、そちらも選択肢として考えられる。

 ちなみに、上記の「Visual Studio Community 2013」ページには「現時点では Express エディションは 2015 バージョンではリリースする予定はありません」とある。しかし、VS 2015の製品ラインアップが発表された際に、VS 2015でもExpressエディションがリリースされることがアナウンスされている。恐らく、VS CommunityではVS Expressのユーザー層をカバーしきれないことから、方針を変更したのだと思われる。

VS2015 Previewで利用したい新機能

Q. 2014年12月に、Visual Studio 2015 Previewが公開されました。以下に挙げる新機能の中で、あなたが利用してみたいと思う項目があれば、いくつでもお選びください。

VS2015 Previewで利用したい新機能(n=291) VS2015 Previewで利用したい新機能(n=291)

 2015年4月現在、VSの新バージョンであるVS 2015はプレビュー版をダウンロードして、その新機能を試せるようになっている。その中で、頭一つ抜けて注目されたのは「クロスプラットフォームモバイル開発」(30.2%)であり、その下の「.NET Framework 4.6」(23.4%)と「C#/Visual Basic言語の新機能」(21.3%)を大きく引き離している。

 XamarinやCordovaを利用してiOSデバイスやAndroidデバイスに対しても、普段使い慣れている開発環境でアプリを提供できるのは大きな魅力といえる。加えて、Windowsファミリーを統一的に扱えるWindows 10用のユニバーサルアプリもある(上述)。これらの技術が広く使われるようになると、業務アプリ開発の方法に大きな変化が生まれるかもしれない。

 だが、業務アプリに求められるのは革新性ではない。日常の業務を遂行するのに必要な要素が手堅くまとめられ、それが間違いなく実行できることが重要だ。新技術を業務アプリに取り入れるに当たっての課題、そのためにはどんな情報が必要かと読者が感じているかを次に見てみよう。

新しい技術の業務アプリ開発への採用

上記のような新しい技術の業務アプリ開発への採用について、あなたのご意見や知りたいことがあれば、具体的にお聞かせください。

新しい技術の業務アプリ開発への採用についてのコメントをまとめたもの
新しい技術の業務アプリ開発への採用についてのコメントをまとめたもの 新しい技術の業務アプリ開発への採用についてのコメントをまとめたもの

 課題は「互換性問題」「最新技術よりも枯れた技術が安心」「時間が足りないことや環境が新技術の採用を妨げる面がある」といった言葉でまとめられるだろう。一方、上の図の「新技術への前向きな取り組み」としてまとめられたコメントを見ると、新技術に興味を持ち知識を得ることで、従来の技術との比較や採用の検討が行えるようになることも分かる。Insider.NET/業務アプリInsiderでは、いただいたコメントを基に、読者の皆さんのお役に立てるような記事を公開していけたらと思う。

 最後に、業務アプリInsiderにいただいたフィードバックをまとめよう。

『@IT 業務アプリInsider』フィードバック

今後読みたい記事と参加したいセミナー/勉強会

Q. あなたが今後「@IT 業務アプリInsider」で読みたい記事内容があれば、いくつでもお選びください。

今後読みたい記事内容(n=287) 今後読みたい記事内容(n=287)

Q. あなたが今後参加してみたい「@IT 業務アプリInsider」主催セミナー/勉強会があれば、いくつでもお選びください。

今後参加したいセミナー/勉強会(n=278) 今後参加したいセミナー/勉強会(n=278)

 上のグラフ「今後読みたい記事内容」を見て、筆者がビックリしたのは、「JavaによるWeb業務アプリ開発入門」が31.0%と上位に位置していることだ(実は去年も)。業務アプリInsiderは.NETテクノロジにこだわる必要がないサブフォーラムであり、去年も試験的に「JAX-RSを活用して、JavaクラスをWebサービス化しよう」という記事を公開している。可能であれば、このような声にお応えしてJava関連の記事も実現したい。それ以外には、「オープンソース活用の基礎知識」(34.8%)、「VS 2015 IDE使い方ガイド」(33.8%)、「マルチプラットフォームアプリ開発」(32.1%)、「Excel業務帳票/データのWebアプリ化」(31.4%)が上位に位置し、本稿で見てきた要素と読んでみたい記事がある程度の一致をしている。他の要望も踏まえて、皆さんのお声を参考によい記事を公開できるよう努力しなければと、背筋を伸ばしたところだ。

 セミナー/勉強会については言うまでもない。これしかないだろうという結果となった。次回の業開中心会議は夏に開催の予定なので、こちらにもご期待いただけると幸いである。


 今回のアンケートにご協力いただいた皆さんに感謝したい。次回もぜひご協力いただけるとうれしい。

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