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» 2015年05月19日 05時00分 UPDATE

山市良のうぃんどうず日記(36):続報、Windows 10って、古いPCでも本当に動くの?

「Windows 10」は、Windows 7およびWindows 8.1(Enterpriseエディションは対象外)のユーザーに1年間の限定で無償アップグレードが提供される予定です。以前、この発表の直後に筆者は古いPCでWindows 10が動くかどうかを検証しました。今回はその続報です。

[山市良,テクニカルライター]
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最新ビルド「10074」が動くかどうかを古いPCで試してみました

 本連載第26回では、Windows 10 Enterprise Technical Previewのビルド「9926」で「Windows To Go」起動メディアを作成し、筆者が所有する古いPCでWindows 10が起動するかどうか、全てのデバイスを認識するかどうかを検証しました。

 具体的には10年モノのデスクトップPCと、2007年前後に一瞬はやったUMPC(Ultra-Mobile PC:ウルトラモバイルPC)で検証を行いました。どちらもビルド「9926」の起動に問題はなく、デスクトップPCに標準搭載されていたグラフィックスカード「AMD ATI FireGL V3100」を除けば、デバイス認識も問題ありませんでした。問題のグラフィックスカードについては、たまたまわが家に転がっていたグラフィックスカード「AMD ATI Radeon HD4350」に交換することで解決しました。

 今回は、2015年4月末に公開されたWindows 10 Insider Previewのビルド「10074」で、同じ2台のPCをもう一度検証してみます。新しいビルドで状況が変わっているとなると、Windows 10に無償アップグレードして、まだまだ現役を続行してもらおうという筆者の計画が狂ってしまいます。

 今回はオマケとして、さらに古い12年モノのWindows XP搭載ノートPCも用意してみました。このノートPC、実はハード的な問題がいろいろとあり(低スペック、ディスプレーのヒンジが破損、バッテリ故障などなど)、サポートも終了しているWindows XPなので、長い間、電源を入れることなく放置していたものです。以下は、今回の検証で使用したPCのスペックになります。

●デスクトップPC
発売 2005年5月
CPU Intel Pentium D 3.4GHz(標準のPentium 4を換装)
メモリ 6GB
認定ロゴ Designed for Microsoft Windows XP
現在のOS Windows 7 Ultimate Service Pack(SP)1
その他の特長 2モニター+USBディスプレー

●ウルトラモバイルPC
発売 2007年9月
CPU: Intel Processor A110 800MHz
メモリ 1GB
認定ロゴ Designed for Microsoft Windows Vista
現在のOS Windows 8.1
その他の特長 画面解像度がWindows 8/8.1の要件である1024×768より小さい1024×600

●ノートブックPC
発売 2003年10月
CPU AMD Athlon XP-M 2400+
メモリ 512MB
認定ロゴ Designed for Microsoft Windows XP
現在のOS Windows XP Home Edition SP3
その他の特長 Windows XPでさえ遅い低スペック

まずは「Windows To Go」メディアの作成から始めよう

 「Windows To Go」は、USBデバイスから起動できるポータブルなWindowsです。Windows To Goメディアは、Windows 8以降のEnterpriseエディションを実行するPCで作成できます(画面1)。Windows To GoでPCを起動して、起動したWindowsを利用できるかどうかは、いくつかライセンス要件をクリアする必要がありますが、今回は「Insider Preview」の評価ということになるので問題はないでしょう。

画面1 画面1 Windows 10 Enterprise Insider Previewビルド「10074」がインストールされたPCで、Windows To Go対応USBデバイスとWindows 10 Enterprise Insider PreviewのインストールメディアからWindows To Goメディアを作成する

 本来なら、Windows To Goの使用権は「Windowsソフトウエアアシュアランス」(SA)や「Windows VDA」(Virtual Desktop Access)、「Windows CSL」(Companion Subscription License)に含まれます。

 現在、Windows 8/8.1のEnterpriseエディションを実行しているPCが手元にあるなら、Windows 8/8.1のWindows To Go作成ツールを使用して、Windows 10 Enterprise Insider PreviewのWindows To Goメディアを作成することも可能です。

 Windows To Goメディアを作成したら、後はPCに挿して起動するだけ。そのメディアで起動するのが初めてのPCでは、デバイスの検出とインストールが行われます。また、そのメディアを初めて起動したときは、Windowsのインストールの最終ステップを実行する必要があります(写真1)。セットアップを正しく完了するために、初めて起動する際にはWindows 10が確実に動きそうな、比較的新しいPCで試してみる方がよいでしょう。

写真1 写真1 Windows To GoメディアでPCを起動して、初回起動時にWindowsのセットアップを完了する

 なお、Windowsのインストールメディアの「Install.wim」を使用してWindows To Goメディアを作成した場合は、「日本語106/109キーボード」配列ではなく、「英語101キーボード」配列でセットアップされてしまいます。

 これを修正するには「レジストリエディター」(Regedit.exe)を起動して、「HKEY_LOCAL_MACHINE\CurrentControlSet\Services\i8042prt\Parameters」キーにある「LayerDriver JPN」「OverrideKeyboardIdentifier」「OverrideKeyboardSubtype」を、以下の画面2のように変更してからWindows To GoのWindowsを再起動してください。

画面2 画面2 レジストリを修正して、Windows To Goのキーボード配列問題を解消する

結果発表(成功したもの)――前回の2台は全く問題なし

 デスクトップPCは、前回グラフィックスカードを新しくしたこともあって、全く問題なく起動できました(画面3)。認識されたデバイスのドライバーは、全て自動的にインストールされました。USBディスプレーのインストール時に画面がブラックアウトするという問題に遭遇しましたが、再起動で解消しました。

画面3 画面3 デスクトップPCはビルド「10074」でも問題なし。認識されたデバイスのドライバーは全て自動的にインストールされた

 ウルトラモバイルPCも正常に起動できました(写真2)。Windows 8/8.1では、1024×768ピクセル以上の解像度でないと「ストアアプリ」の起動がブロックされますが、Windows 10では解像度1024×600であってもストアアプリを起動できます。なお、アプリによっては1024×768以上のブロックがかかっているものがあるかもしれません。

写真2 写真2 解像度1024×600ピクセルのウルトラモバイルPCでもWindows 10を起動できた

 ウルトラモバイルPCに搭載されているデバイスについては、デバイスドライバーを自動的にインストールできない不明なデバイスがいくつか出てきました。しかし、これらのデバイスドライバーはもともとのWindows 8.1環境のドライブをマウントして「Windows\System32」から検索させることで、全てのインストールを完了させることができました(画面4)。

画面4 画面4 不明なデバイスドライバーがいくつか出てきたが、Windows 8.1のドライブをマウントして「Windows\System32」から検索させることでインストールを完了できた

結果発表(失敗したもの)――分かっていたけど、やっぱり……

 Windows XP搭載の古いノートPCの結果は、見るまでもありません(写真3)。実は、やってみる前から「できない」ことは知っていました。

写真3 写真3 もはや“粗大ゴミ”でしかないWindows XPノートPCは、Windows 10で起動できるか?

 まず、この古いノートPCは「USBデバイスから起動する」という方法を知りません。そのため、Windows To Goメディアから起動する方法はありません。

 そこで、Windows 10のISOイメージをDVDメディアに書き込んで、DVDメディアからインストールを試みました。CD/DVDからの起動を選択すると、Windowsのロゴが表示されてしばらくして、エラーが発生し「Your PC needs to restart」と表示されてしまいました(写真4)。やってみる前から知っていたことはこのことです。このノートPCのCPUはAMDのAthlon XPですが、Windows 8のCPU要件をクリアしていないのです。

写真4 写真4 CD/DVDから起動を試みるも無情のエラー表示。もはやここまで……

 Windows 8のCPU要件とは、「PAE(Physical Address Extension)」「NX(No-eXecute)」「SSE2(Streaming SIMD Extensions 2)」をサポートしていること。Athlon XPは、このうちのPAEにしか対応していません。

 WindowsのCPU要件のハードルが上がったことはWindows 8が登場したときに話題になりましたが、Windows 8をスキップした人は知らないかもしれません。CPUが古すぎるPCでは、Windows 8以降は動かないのです。

 今お使いのPCのCPUがWindows 8以降に対応しているかどうか気になる場合は、「Windows Sysinternals」の「Coreinfo」ユーティリティで確認するとよいでしょう(画面5)。

画面5 画面5 Windows 8以降を動かすには、CPUがPAE、NX、SSE2をサポートしていることが必要。「Coreinfo」ユーティリティで確かめるとよい
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筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2015)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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