友達以上転職活動未満?――カジュアルな会社訪問のススメまた昭和な転職で失敗してるの? きのこる先生の「かろやかな転職」(2)(2/2 ページ)

» 2015年07月29日 05時00分 公開
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転職潜在層に、届け弊社のメッセージ!

 ここまでの分析で、「企業が、転職顕在層の中からだけで、活躍しそうなエンジニアを必要な人数採用するのはなかなか大変だ」ということがお分かりいただけたでしょうか。何しろ絶対数が少ないのですから、企業間で争奪戦が発生することもしばしばです。菌類も先日、最終面接の日程調整中だったエンジニアから「第一志望の企業から内定が出たので」と選考辞退の連絡を受けたところです。ぐぬぬ……配属先どころか座席まで決めていたのに……。

 転職顕在層から採用するのが難しいとなれば、企業が次に目を向けるべきは転職潜在層です。転職への意欲に温度差はありますが、全体の70%を占める層ですから、活躍してくれそうなエンジニアの割合も多いはずです。先ほどの計算式に当てはめてみましょう。

転職潜在層「70%」×活躍してくれそう「20%」=14%

 さっきよりはだいぶ希望が持てる数字が出てきました。

 転職サービスも企業も、エンジニア採用のために次にアプローチすべきはこの「転職潜在層」である、ということにもちろん気が付いていますから、さまざまな取り組みを始めています。そのうちの幾つかが、今「転職2.0」として注目されている転職フローにもなっているのです。

弊社来る? 「遊びに来てもらう」というアプローチ

 転職潜在層へのアプローチとしては先駆け的存在なのが「Wantedly」です。2012年に正式公開されたこのSNSは、「会社に遊びに行く」を軸に、企業と転職潜在層のマッチングを狙ったサービスです。

 サービスの流れを簡単にまとめてみましょう。

 「遊びに来てもらう」という体裁で企業が会社訪問の窓口を開設し、Wantedlyに情報を掲載する

 会社訪問の情報はSNSを通じて拡散し、転職潜在層にじわじわとリーチする

 「良いところがあれば」と思っている転職潜在層のエンジニアは、カジュアルに遊びに行き、企業の雰囲気や中で働くエンジニアなど「実際の開発現場」に近いところと接することができ、そこが「良いところか」どうかを見極める

 企業とエンジニア、お互いの意向がマッチすれば、そこで初めて転職の話に進展する

 「転職1.0」の問題として「情報格差」がありました。転職活動中のエンジニアは、内定が出るまでのフローでは、企業の会議室ぐらいしか見ることができませんし、話せる相手も人事担当者と面接担当エンジニアだけでした。しかし、出会いのきっかけが会社訪問から、というルートが生まれたことにより、企業とエンジニアの情報格差が是正され、よりオープンでフェアな転職活動ができる。ここに「転職2.0」の源流があります。

 企業にとって、会社訪問を受け入れるのはそれなりに大変ですし、会社の魅力を感じてもらう取り組みが必要です。しかし、転職潜在層と接触できることや、採用後のミスマッチが防げることなどは大きなメリットです。それ故に、このサービスを利用する企業は増加しているようです。

「紹介」による転職の再構築

 企業がエンジニアを採用するとき、一番安心して使えるルートは何だと思いますか?

 菌類は「社内で活躍しているエンジニアからの紹介」だと思います。特に、以前一緒に働いたことがあるぐらいの関係ですと、技術だけでなく人柄や仕事っぷりなど、総合的な能力を知ることができます。

 紹介されたエンジニアには、会社訪問に来てもらうのが効果的です。実際に働く環境を案内し、仲間になるエンジニアと話してもらい、企業やサービス、オフィスや環境のファンになってもらう。そうした一連の流れを経て採用に至ったエンジニアとは、ミスマッチが発生しにくくなり、モチベーションを高く保って働いてもらうことができます。菌類の直近2回の転職も、だいたいこんな流れで進みました。

 しかし、「紹介」によって採用できるエンジニアの数はたかが知れています。会社訪問から始まる転職フローをオープンなWebサービスとして構築したという点で、「Wantedly」は「転職2.0」の先駆けといえる存在です。

まとめと次回予告

 「Wantedly」を皮切りに、転職1.0とは違うタイプの転職サービスが次々と誕生しました。それらのサービスにより転職するルートが多様化することで、転職2.0へのバージョンアップが加速していったのです。

 先ほどの質問で「1」か「2」を選んだ皆さん、「遊びに行ってみたい企業はどこだろう?」と、ぜひ一度考えてみてください。そして、可能なら会社訪問の窓口を探し、実際に訪問してみてください。書類選考と面接を繰り返す転職1.0とは、違う景色が見えてくることでしょう。

 さて次回は、転職1.0の枠を打ち破った新しいサービスたちを紹介します。次々と現れたサービスごとの特徴と個性を見ることで、企業もエンジニアも「転職2.0」に向けてどういった取り組みをすれば良いか、が見えてくることでしょう。

 「なついあつ」だからって、家にこもってゲームばかりしていないで、積極的に会社訪問に出かけましょう!

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