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» 2015年08月06日 05時00分 UPDATE

CCENT/CCNA 試験対策 2015年版(20):リンクステート型ルーティングプロトコル「OSPF」

シスコの認定資格「CCENT/CCNA」のポイントを学ぶシリーズ。今回はリンクステート型のルーティングプロトコル「OSPF」を学習します。

[ドヴァ 齋藤貴幸,@IT]
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CCENT/CCNA 試験対策 2015年版

連載目次

 ネットワーク初心者がCCENT/CCNAを受験するために必要な知識を学ぶ本連載。前回は、シスコシステムズが発表しているCCENT試験内容の4.6「複数のルーティング手法とルーティング プロトコルの比較」の範囲から、ディスタンスベクター型のルーティングプロトコルの一つ「EIGRP」について説明しました。

 今回は、4.7「OSPF(シングル エリア)の設定と確認」の範囲から、リンクステート型のルーティングプロトコル「OSPF」(Open Shortest Path First)について説明します。

OSPFとは

 OSPFは、リンクステート型のルーティングプロトコルです。リンクステート型ルーティングプロトコルの特徴は、コンバージェンス(収束:ネットワークトポロジを把握した状態)までの時間が短いことです。ルーター間の回線の帯域幅を基準として、早い経路(帯域幅が太い経路)を最適経路とします。

OSPFの特徴

 OSPFには、下記の特徴があります。

ccent2015_20a.png OSPFの特徴

 次項目で詳しく解説していきます。

OSPFを理解するポイント

ダイクストラ(Dijkstra)のアルゴリズム

 OSPFは、「SPF(Shortest Path First)アルゴリズム」をコストの計算に使います。SPFアルゴリズムは、「ダイクストラ(Dijkstra)のアルゴリズム」とも呼ばれています。

 SPFアルゴリズムは、自身のルーターを「根」とする宛先への経路を「木構造(SPFツリー)」で管理するために使います。

 SPFツリーを生成する計算が複雑であるため、CPUやメモリなどのリソースを多く使用します。

コスト

 「コスト」は、OSPFのメトリック(ルーターが最適経路を選択する基準となる値)です。基準である「10の8乗(100Mbps)を帯域幅で割った答え」がコスト値です。宛先ネットワークまでの経路のコスト値を合計し、最小の合計値の経路が最適経路であると判断します。

 コスト値はOSPFに計算させることもできますが、手動設定もできます。

エリア

 OSPFでは、ルーティングアップデートを届ける範囲を「エリア」と呼びます。使用するエリアの個数に応じて「シングルエリアOSPF」「マルチエリアOSPF」と使い分けます。今回はシングルエリアOSPFを説明します。

 エリアは一つしかありません。シングルエリアOSPFの場合、エリアを区別する番号は「0」と決められています。エリア番号0のエリアは、特別に「バックボーンエリア」と名前が付けられています。OSPFはEIGRPとは違い、AS(Autonomous System)番号を使用することはありません。

プロセスID

 1台のルーターで複数のOSPFプロセスを動作させられます。このため、ルーターの中でどのOSPFであるかを特定するために、「プロセスID」という番号を使います。プロセスIDの範囲は「1〜65535」です。ただし、複数のOSPFプロセスを同一ルーターで稼働させることは現実的ではありません。

テーブル

 OSPFで使用するテーブルには、「ネイバーテーブル」「LSDB(トポロジテーブル」「ルーティングテーブル」があります。

 ネイバーテーブルは「隣接しているルーターの一覧」が保存されます。Helloパケットを交換できた隣接ルーターがネイバーテーブルに保存されます。

 LSDBには「トポロジ情報(ルーターの接続形態)」が保存されます。このトポロジ情報は、エリア内で共通の値となります。繰り返しですが、SPFツリーとは「LSDBを基に生成された自ルーターを根とした宛先ネットワークへのパスツリー(経路情報)」です。

 ルーティングテーブルには「最適経路」が保存されます。

LSUとLSA

 ネイバールーターからのLSR(Link State Request)に対し、「LSU(Link State Update)」を応答として返送します。LSUには複数の「LSA(Link State Advertisement)」が含まれます。

 一つ一つのLSAには、有効なインターフェースの情報として、「IPアドレス」や「コスト」「回線種別」などが含まれます。全てのネイバールーターとLSUを交換すると、SPFツリーが作成できます。

 LSUはEIGRPと同様に「VLSM(可変長サブネットマスク)」に対応しています。また、ネットワークトポロジの変更箇所だけをルーティングアップデートとしてアドバタイズ(広告)する「差分アップデート」に対応しています。

 OSPFは、本記事の内容以外にも「代表ルーター(DR:Designated Router)」「バックアップ代表ルーター(BDR:Backup Designated Router)」「ルーターID」「プライオリティ値」や、ルーター間の接続形態による「ネットワークタイプ」についても理解が必要です。これらについては、次回説明します。

演習問題

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Q1. OSPFで最適パスの計算に使用されるのはダイクストラのアルゴリズムだが、EIGRPではどのアルゴリズムが使われるか。

ア ダイクストラ/イ ベルマンフォード/ウ.DUAL/エ SPB


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A1. 「ウ」の「DUAL」が正解。
ベルマンフォードはRIPで使用されるアルゴリズム、SPBはレイヤー2でフレームが通過する経路を複数同時に使用するためのプロトコルである。


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Q2. 1000Mbpsの帯域幅を持つインターフェースに対するコストは幾らか。

ア 0/イ 0.1/ウ 1/エ 10/オ 100


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A2. 「ウ」の「1」が正解。
「100Mbps÷1000Mbps」となるので「0.1」と答えたいところだが、コスト値は整数値しかとらないので、1となる。基準となる「割られる数」が100Mbpsである事が原因。

対象方法は次の通りである。
1 bandwidth コマンドで帯域幅をインターフェースごとに指定する
2 ip ospf cost コマンドでOSPFコスト値をインターフェースごとに手動設定する
3 auto-cost reference-bandwidth コマンドをOSPF設定モードで入力する(単位Mbps)


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Q3. リンクステート型ルーティングプロトコルを2つ選べ。

ア BGP/イ EIGRP/ウ IPX/エ IS-IS/オ OSPF


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A3. 「エ」の「IS-IS」と「オ」の「OSPF」が正解。
アのBGPは、AS間をつなぐルーティングプロトコル、ウのIPXはIPと同様に「データそのものを定義するプロトコル」である。エのIS-ISはOSIによって定義されたリンクステート型のルーティングプロトコルだ。


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 次回は、今回に続き4.7「OSPF(シングル エリア)の設定と確認」の範囲から、「代表ルーター(DR:Designated Router)」「バックアップ代表ルーター(BDR:Backup Designated Router)」「ルーターID」「プライオリティ値」などを説明します。

「CCENT/CCNA 試験対策 2014年版」バックナンバー

筆者プロフィール 齋藤貴幸

齋藤貴幸(さいとうたかゆき)

ドヴァ ICTソリューション統轄本部 デベロップメント&オペレーショングループ 2部

情報系専門学校の教員を12年勤めた後に同社へ入社、エンジニアへ転向。沖縄県と首都圏を中心にネットワーク構築業務に携わる。また、シスコ・ネットワーキングアカデミー認定インストラクタートレーナーとして、アカデミー参加校のインストラクターを指導している。炭水化物をこよなく愛する男。


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