連載
» 2015年08月20日 05時00分 UPDATE

vCloud Air入門(7):vCloud Airによるハイブリッドクラウド――プライベートクラウド基盤vSphereとvCloud Airの接続 (1/4)

vSphereユーザーにとってvCloud Airはどのような可能性を持っているのでしょうか? 今回はvCloud Airを使ったハイブリッドクラウドの実際を見ていきます。

[山本祥正,富士ソフト株式会社]

backn2.gif

連載バックナンバー

はじめに

 本連載では、ヴイエムウェアが提供するパプリッククラウドサービス「VMware vCloud Air」(以降、vCloud Air)の基礎知識、実際の使い方を紹介しています。ここまでの連載の内容はバックナンバーをご覧ください。

 今回は本連載の最後のテーマ「ハイブリッドクラウド」について見ていきましょう。本連載第一回でも触れた通り、ハイブリッドクラウドはvCloud Airサービスの基本コンセプトでもあります。

 ここでは、ヴイエムウェアが示すハイブリッドクラウドの概念、ユースケース、コンポーネントについて紹介します。また、前回までと同様に設定方法についても具体的に紹介していきます。

vCloud Airにおける「ハイブリッドクラウド=vSphere+vCloud Air」の利点

 本稿における「vCloud Airによるハイブリッドクラウド」はオンプレミス(vSphere)とパブリッククラウド(vCloud Air)を融合した一つのクラウドを指します。

 vCloud Airによるハイブリッドクラウドは、オンプレミスとvCloud Air間を、ネットワークや地理的距離を意識せずにシームレスに接続して、あたかも一つのクラウドに見せる、ヴイエムウェアが提唱する「One Cloud」を実現します。

 オンプレミス環境と他のパブリッククラウドを単純に連携する場合と比べ、アーキテクチャなどを共通化することで、より柔軟で便利な環境を提供しようとするものです。

 vCloud Airをパブリッククラウドに選択した場合、vSphereユーザーが受ける恩恵は次の三つに大別できるでしょう。

利点(1)オンプレミス/パブリッククラウド間の双方向の移動が容易になる

 vSphere+vCloud Airによるハイブリッドクラウドでは、オンプレミスとパブリッククラウド間を、煩雑な設定変更や構成変更なしに双方向で移動できるようになります。これにより、システムが利用するインフラストラクチャ(オンレプミスもしくはvCloud Air)を、サービスや開発状況などに応じて柔軟に変更できるようになります。

利点(2)オンプレミス/パブリッククラウド混在システムの稼働が比較的容易

 vSphere+vCloud Airによるハイブリッドクラウドでは、オンプレミスとパブリッククラウドを混在してシステムを稼働させる、といった柔軟な構成が可能になります。例えば、オンプレミスのサーバーの冗長化でパブリッククラウドを使う、などの方法が考えられます。

利点(3)既存オンプレミス向けの管理ツールで統合できる

 vSphere+vCloud Airによるハイブリッドクラウドでは、vSphereの運用・管理で利用する「vSphere Client」や「vRealize Operations Manager」など既存のツールがvCloud Airにも対応しているため、オンプレミスとvCloud Airをまたぐ環境であっても、統合運用管理が可能です。

 vSphere+vCloud Airによるハイブリッドクラウドにはこのような利点があるため、ヴイエムウェア製品のユーザーにとっては使いやすい環境ということができるでしょう。

vCloud Airにおけるハイブリッドクラウドの三つのユースケース

 それでは、vSphere+vCloud Airによるハイブリッドクラウドは、具体的にはどういった使い方が考えられるでしょうか? ここからは、実際にvCloud Airによるハイブリッドクラウドのユースケースを見ていきましょう。

ユースケース(1)テストや開発環境の効率化

 ITプロジェクトでは開発環境の準備に一定の時間とコストが掛かります。また、開発環境が本番環境と異なることが課題となるケースもあります。他のクラウドサービスと同様、vCloud Airでも、イニシャルコストを抑えた柔軟性の高い開発環境を準備できます。リソースが不足した場合は即座に追加することも可能です。

 加えて、vCloud Airによるハイブリッドクラウドの場合は、開発環境と本番環境の双方でvSphereの技術を使っているため、アーキテクチャが共通であることから親和性が非常に高く、リスクが少ない開発環境を実現できます。

 開発が終わったプロジェクトでは、「環境をオンプレミスに移行する」「vCloud Air上でリソースを抑えて保持する」というように、構成方法の選択肢が多いため、さらなるコスト削減効果を期待できます。

ユースケース(2)IT運用の効率化

 昨今、企業のICTニーズは増大する一方です。オンプレミスの場合、システムの拡大はICT担当者への大きな負担になりますが、ハイブリッドクラウドでは既存の仮想マシンをそのままvCloud Airへ移行できるので、ハードウエア運用をクラウドにオフロードできます。

 vCloud Air上に移行した環境では、ハードウエア更改やvSphereのバーションアップなどからも解放されるので、運用コストの削減が期待できます。

ユースケース(3)ピーク性のあるシステムの効率的な利用

 「キャンペーンサイト」や「社内の健康診断のWeb予約システム」など、季節や時間によって需要が大きく変わるシステムでは、オンプレミスでリソースを確保するのは非効率になりがちです。ハイブリッドクラウドを利用すれば、ピーク時だけvCloud Airを利用して、それ以外はオンプレミスで稼働といった運用形態を選択することも可能です。

 ここで挙げたユースケースの多くは、一般のパブリッククラウド環境でも実現可能なものですが、vSphere+vCloud Airによるハイブリッドクラウドの特異な点は、これらを、既存のvSphereによるオンプレミス環境運用の延長として実現できる点にあります。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

@IT Special

- PR -

TechTargetジャパン

この記事に関連するホワイトペーパー

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。